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アパシーとは?認知症の関係やうつ病との違い、家族の関わり方について解説

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親が無気力状態になってしまった。

母がある日突然、ご飯も食べず、お風呂にも入らなくなってしまった。

それはアパシーかもしれません。

アパシー(apathy)とは、ギリシャ語の a=失う、pathos=感情・苦悩を組み合わせた言葉です。

周囲の出来事だけでなく、自分自身の周りに関しても無気力・無関心になってしまう状態を指します。

アパシーは症状から、うつ病と混同されることが多いです。

しかし、うつ病とは異なる点がいくつかあります。

今回の記事では、アパシーと認知症の関係やうつ病との違い、家族の関わり方について解説します。

1.アパシーとは

アパシーとは、周囲の出来事だけでなく、自分自身の周りに関しても無気力・無関心になってしまう状態を指します。

高齢者がアパシーの状態になると、生活習慣が乱れ、衛生的にも健康的にもたくさんの問題が生まれてしまいます。

特に、一人暮らしをする高齢者の場合、周りの目が行き届かず、アパシーの症状に気づきにくいです。

アパシーの症状は、無気力・無関心が主です。

それに関連して様々な症状が現れます。

2.アパシーとうつ病の違い

アパシーは症状から、うつ病と混同されることが多いです。

しかし、うつ病とは異なる点がいくつかあります。

2-1.症状の自覚

アパシーは自覚が難しく、自ら治療をするために働きかけることはありません。

一方うつ病は、自覚症状があり、改善のために自ら働きかけます。

2-2.気分の浮き沈み

アパシーは、無気力・無関心が主な症状です。

そのため、気分の浮き沈みがなく、気持ちが深く落ち込むことも少ないです。

2-3.薬による治療

うつ病には、様々な治療薬が開発されていますが、アパシーに有効な薬はまだ研究段階です。

そのため、精神療法が多くの場合行われます。

3.認知症とアパシーの関係

アパシーは、認知症の周辺症状として見られることが多いです。

特に、脳梗塞や脳出血などによって発症する血管性認知症で多く現れます。

突然起こることが多いため、周囲の人は比較的気づきやすいでしょう。

また、パーキンソン病の症状の1つとして現れる場合もあります。

パーキンソン病とは、脳の黒質と呼ばれる場所にあるドパミン神経からドパミンの分泌量が低下してしまう病気です。

症状としては、動きが鈍くなる、手足の震えなどの運動症状、睡眠障害や認知機能障害などの非運動症状も現れます。

4.家族がアパシーになったら?

家族がアパシーになったらどうすればよいのでしょうか?

ここでは2つの対策を紹介します。

4-1.規則正しい生活を

まずは、規則正しい生活を支援しましょう。

アパシーを発症すると、無気力で食事を取らなかったり、運動を全くしなかったりします。

このような状態が続くと、認知症や生活習慣病にかかりやすくなります。

決まった時間に起床して、食事をさせて、運動を促しましょう。

4-2.サポートしすぎない

アパシーを発症した高齢者に対して、サポートしすぎることもよくありません。

無気力になっただけであり、機能まで衰えてしまったわけではないです。

着替えやトイレなど、サポートしすぎずに、残存応力をなるべく活かすように心がけましょう。

5.介護者がアパシーになる可能性も

アパシーを発症するのは、高齢者だけではありません。

介護をする家族がアパシーを発症してしまう場合もあります。

介護の中での肉体的な負担や「大事な家族をきちんと見なくては」という責任感など精神的な負担により、「介護疲れ」を感じます。

その「介護疲れ」を溜め込んでしまうためにアパシーを起こしてしまいます。

6.「老人性うつ」についても知っておこう

老人性うつとは、正式な名前ではありませんが、65歳以上の高齢者がかかるうつ病を総称して呼ばれています。

老人性うつは、認知症の初期段階の症状と大変似ており診断が難しいです。

認知症は治療が難しいですが、老人性うつは早期に正しく治療をすれば治る病気です。

様子がおかしいと思ったら、認知症と決めつけず、老人性うつの可能性も同時に疑ってみましょう。

6-1.原因

老人性うつは、大きく環境的要因と心理的要因の2つの要因によって引き起こされます。

環境的要因では、「定年退職してやることがなくなった」「子どもが独立した」「引っ越しをした」など環境の変化が原因となります。

また、心理的要因では、「配偶者が亡くなった」「重い病気にかかった」「長年かっていたペットが亡くなった」など心理面での原因があります。

6-2.症状

うつ病は、気分が落ち込む、注意力が散漫になる、物事への興味や幸福を感じない、やる気が出ない、食欲が落ちる、眠れないなどの症状が出ます。

そのような症状に加えて、老人性うつの場合は、「頭痛やめまい」「肩こり」「吐き気」「耳鳴り」「しびれ」などの身体的な不調が現れます。

また、記憶力がや判断能力が低下するなどの症状も現れるため、認知症ととても間違われやすいです。

上記の症状をそのまま放置していると、病状はどんどん悪化していき、最悪の場合自殺に至るケースもあるため、早期に医師の治療を受ける必要があります。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?

アパシーとは、周囲の出来事だけでなく、自分自身の周りに関しても無気力・無関心になってしまう状態を指します。

アパシーは自覚症状がないため、周りの働きかけが大切になります。

家族がアパシーになった場合は、正しい生活習慣の促進と過度なサポートをしすぎないことを意識しましょう。

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