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介護を仕事に海外で働くためには?日本と海外の介護の違いを知ろう!

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海外での介護の事情を知っていますか?

こちらのデータは先進国の高齢者数の変化を示しています。

どの国も、高齢化が急速に進んでいるのがわかります。

出典:内閣府高齢社会白書

そんな先進国では、

日本と比べて「介護」が進んでいる国が大半です。

“海外の介護事情を知りたい方” や、“先進国の介護技術を身に着けたい方”へ。

今回は、先進国の介護事情を徹底解説しました。

そして後半では、そんな海外で「介護士として働く方法」を紹介します。

 

1.日本と海外の介護の違い

外国人

まずは、先進国の中でも介護制度の進んでいる

フィンランド、オランダ、アメリカ、

3つの介護事情と日本との違いについて解説します。

 

1-1.日本とフィンランド

フィンランドはどんな国?

フィンランドは、北ヨーロッパに位置する共和制国家です。
北欧諸国の一つであり、西はスウェーデン、北はノルウェー、東はロシアと隣接しています。

国連が発表する世界幸福度報告では世界7位(2013年)、世界幸福地図では第6位と幸福度の高い国として有名です。

フィンランドの高齢者政策は、1982年に国連で採択された国際行動計画に基づいています。

高齢者の経済的自立、自己決定権、社会統合と公正の保障を配慮し、可能な限り自立して暮らし、良質な福祉サービスが受けられることを目指しています。

 

<日本との違い2点>

①「子の親に対する扶助義務」の廃止

フィンランドは、1970年に「子の親に対する扶助義務」の廃止が決定し、福祉サービスの責任は地方自治体が負います

それに対して日本では、子が責任をとらなければならなりません。
この点が日本との大きな違いです。

つまり、周囲の人が世話をするのではなく自立生活の支援を提供する仕組みが整っています

 

②年金の20%は自由に使える

もう一つの大きな違いは、年金の使い方です。

公立の老人ホーム入居者は、年金の80%をホームに払い、20%は自由に使えるという点です。
それは、どんなに高額な医療や治療を受けても変わることはありません。

一方、日本の公立老人ホームは、
そもそもの定員が少なく、様々な条件を満たさなければ入居できません。

 

1-2.日本とオランダ

オランダはどんな国?

オランダは、西ヨーロッパに位置する立憲君主制国家です。
東はドイツ、南はベルギーと国境を接し、北と西は北海に面しています。

古くより他国で思想・信条を理由として迫害された人々を受け入れることで繁栄してきたため、何ごとに対しても寛容であることが最大の特徴といえます。

また、寿命を迎えての死のあり方が国民間で共有されており、それを支える仕組みも整備されています。

 

<日本との違い2点>

①集団的ケアから個別ケア

これまでの生活の延長線上にある老人ホームの形を実現するため、
グループホームやユニット型のケアに変革しています。

日本もユニットケアの導入を進めてきましたが、日本よりもさらに進んでいる点があります。
それが「施設内に町を作る」という試みです。
つまり、施設内で普通の生活が成り立ちそこで完結するのです。

入居者は普通の生活を安心して送る事ができる反面、入居者は簡単に外へはでられないという課題もあります。

 

②生死観の違い

世界の先進国の中で最も病院死が少ないのがオランダ

オランダでは自宅や老人ホームでの老衰死、自然死が常識であり、病院での死亡率は30%を切っています。

その価値観は国民間で共有されており、世界で初めて安楽死を法律化した国でもあります。

一方、日本人の75%は病院で亡くなっています
理由は、寿命を延ばすための治療が主流のだからです。

 

1-3.日本とアメリカ

アメリカはどんな国か?

アメリカとは50の州および連邦区からなる、連邦共和国家です。
アメリカ本土の48州はカナダとメキシコの間の北アメリカ中央に位置し、北アメリカの北西部にアラスカ州、太平洋に位置するハワイ州を持つ大国です。

多文化国家のアメリカでは、個々の生活は自己責任であるという考え方が強いです。
公的な保険制度は厳しい基準が設けられ、だれもが受けられるものではありません。
そのため、お金を払って民間の保険に加入している一部の人が施設を使える状況です。

現在、アメリカの高齢者の割合は10%にとどまっていますが、ベビーブーム世代の高齢化が進み高齢者福祉の関心が高まってきています。

 

<日本との違い2点>

①介護施設や食べ物がアメリカンサイズ!

アメリカの場合は、老人ホーム、デイサービス、訪問介護などがすべて集まります。
まるで、複合型施設のような大規模な介護施設が存在しています。

一方、日本ではそれぞれ分かれて存在していることが多いです。

食事内容はバイキング形式で、ファーストフードなど好きなものを食べて豪華に過ごします

 

②介護士の給料が高い

介護施設は民間施設であり、入居者はお金を払って入ります。
そのため、介護従事者の給料が高いのです。

介護士はきれいに整備された施設で、充実したサービスを入居者に提供します。

それ対して、日本の介護施設では働く人の低賃金、過重労働が問題になっています。

2.海外で働くメリット・デメリット

考える

介護士として海外で働くメリット・デメリットについて、
気になる方も多いのではないでしょうか。

ここではメリット・デメリットを3点づつ、ご紹介します。

 

2-1.メリット

①海外の価値観に触れることができる。

ただ寿命を伸ばすのでなく、楽しく人生を過ごすことを重視した介護の現場で働くことができます。
高齢者の自立生活の支援をする、新しい世界に触れることができるでしょう。

海外では、胃ろうによる延命治療を進ことは滅多にありません
ティーを片手にクッキー食べるような、優雅な生活を目の当たりにするかもしれません。

 

②介護スタッフへの待遇が良い。

お給料は日本よりも多くもらえ、介護スタッフの健康、安全を第一に考えてくれます。
なぜなら、なくてはならない存在の介護士は、医療と同様の社会的地位が高い職業だからです。

日本 アメリカ フィンランド
15万~17万円 30万円 20万~30万円

日本では、資格の有無や雇用形態でお給料が大きく変わります。
正規職員の平均月収は15万~17万。

それに対して、アメリカでは月平均30万円、フィンランドでは月に20万~30万円と言われています。

ちなみにアメリカでは、社会福祉制度が進んでいないため、
お給料は州や施設によって異なることに注意が必要です。

また、社会的地位の高さで有名なのが、フィンランド。
介護の仕事は、容易ではなく、介護の仕事はなくてはならない仕事です。

そのため、介護士は仕事に見合った収入と、尊敬されるべき仕事である、という認識が国全体で共有されています。
フィンランドでは、仕事に誇りをもって働ける国と言えるでしょう。

 

③自分のスキルをためすことができる。

海外の介護の現場では、介護の専門知識を前提に語学や対応力などの力が必要です。

介護士の次のステップに進みたい人には、確実に自分を磨くことのできる最適な場所です。

2-2.デメリット

①人種の違いによるトラブル

現地の被介護者とは、文化も年齢層も違います。
例えば、外国から来た介護士に介護されるのには抵抗がある高齢者の方もいます。

また、現地の介護士スタッフとも価値観の違いによってトラブルが起こることもあるでしょう。お互いを理解しあい認めるスキルが必要です。

 

②資格の壁

日本の介護現場は介護保険法と厚生労働省令に準拠しています。
つまり、国ごとに法が異なるため、海外では日本の資格は不適合とみなされる場合がほとんどです。

イギリスでは、イギリスの法律で決められた資格試験に合格しなければいけません。
例えば、介護士が腰痛にならないように福祉用具を使うことが、法律で決められています。

何の資格をもつべきなのか、を事前に調べておく必要があります。

また、日本の社会福祉士との技量の差は同じですが、英語が話せることは必須です。

 

③孤独や不安

海外で働くとなると、生活や仕事内での人間関係を一から作らなければいけません。
文化や習慣の違いから最初は孤独に感じるかもしれませんが、
そうした不安を乗り超えて前に進む必要があります。

社会福祉に関するボランティアやインターンシップもあるので、短期で海外に慣れてから仕事を考えるのも良いかもしれません。

 

3.海外で働く方法

笑顔

海外で介護士として働く方法を2つ、ご紹介します。

 

3-1海外へ積極的に事業展開している企業で働く

大手企業が、海外で現地に住む高齢者を対象にした介護施設を作っている所もあります。
また、介護士の教育学校が海外に展開している例もあります。

そうした場合に、日本人スタッフがスタッフ教育や施設運営の責任者として派遣されることがあります。

介護の実務はもちろんのこと、人材育成や施設運営の経験や実績がないと、
派遣のチャンスを得ることは難しいでしょう。

 

【アジアへ事業展開している企業例】

<メディカル・ケア・サービス株式会社>
www.mcsg.co.jp/overseas/

<一般社団法人 海外介護士育成協議会>
www.kaigai-kaigoshi.jp/

 

3-2現地の介護施設に就職する

現地の介護施設へ直接就職する方法です。
そうは言っても、海外の求人情報を手に入れるのは難しいので、
海外の求人案件に強い転職サイトから仕事を見つけるのがおすすめです。

ここでは2つのサイトをご紹介します。

<ビズリーチ>

中堅層からベテラン社員まで支持率の高いサイトです。
職種・業種が幅広く扱われているのも人気の一つです。

ビズリーチではスカウト制があるので登録することで、希望職種が見つかる可能性が高くなるでしょう。

<JACリクルートメント>

中国・東南アジア・北米への転職が強みとなっています。
日系グローバル企業や外資系企業専門のエージェントです。

4.海外で働くときの注意

介護士として海外で働くときに、注意するべき点を3点あげます。

 

4-1資格の違い

国によっては介護福祉士を職業として認めていないところもあり、看護師資格が必要な場合もあります。

また、対象国の資格試験に合格しなければならない場合もあります。
その国の介護事情を知っておくことが必要です。

そのため、介護福祉やケアマネージャーよりも海外では
「ソーシャルワーカー」「ケアワーカー」などが一般的な呼び名です。

4-2ビザの条件

その国で就労可能なビザを事前に確認する必要があります。

就職先の会社がビザの手続きなどを協力してくれるところであれば、スムーズに仕事を始められるでしょう。

 

4-3文化や風土の理解

その国で大切にしていることや習慣に柔軟に対応する力が必要です。

また、就職先の会社の風土を理解しておくようにしましょう。

 

例えば、海外の職場は、チームの力よりも「個人の能力」を重視します。

「勤務時間分はきっちり働き、自分のやることをやればよい」という考え方も多いようです。

日本人からすると勤勉でないように思えますが、量より質を重視した効率的な考え方です。

文化の違いを知っていれば、少しでも余裕をもって海外勤務に挑むことができます。

5.まとめ

日本とスウェーデン、オランダ、アメリカの介護事情の違いと
海外で介護士として働く方法をご紹介しました。

実際に海外で働くことは簡単ではありませんが、
日本にないシステムや倫理観に触れながら絶大なやりがいを実感できる仕事となるでしょう。

海外介護の現場で、自分の道を切り開いてみてはいかがでしょうか?

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