「カゾクを支える、カイゴを変える」
介護と親と向き合うサイト

異食とは?認知症の症状で食べ物以外のものを食べようとする行為

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

食べ物じゃないものを食べてしまう。。。

ティッシュを食べているのを見かけてしまった。。。

異食はどう予防すればいいの?

このような悩みを抱えているのではないでしょうか?

異食とは、食べ物以外のものを食べようとする行為をいいます。

異食をしてしまうのは、大きく3つの理由があり、それぞれに対策をする必要があります。

命に関わる場合もあるため、しっかりと対策を取りましょう。

1.異食とは

異食とは、食べ物以外のものを食べようとする行為をいいます。

認知症の※BPSDでしばしばみられる症状です。

認知機能の低下により、判断がつかなくなり現れる場合が多いです。

場合によっては、電池やビニール袋、タバコなどを飲み込んでしまうこともあるため注意と対策が必要になります。

※BPSDとは、認知症の症状の一つで中核症状に付随して発生する二次的な症状を指しており、周辺症状と呼ばれることもあります。

2.異食がおこる3つの理由

認知症患者が異食を行う理由は、大きく3つ考えられます。

2-1.認知症の中核症状

認知症の中核症状が影響している場合があります。

特に、「失認」と「記憶障害」が異食には関わっています。

中核症状が原因で現れる2つのパータンを紹介します。

①食べ物だと誤認してるパターン

食べ物だと誤認してるパターンでは、「失認」が関係していると考えられます。

失認とは、五感による認知力を正常に使い状況を把握することが難しい状態です。

身体に問題はなく感覚を感じているが、その意味を理解できなくなります。

例えば、フルーツの香りがする芳香剤を食べてしまうなどがあります。

②食事をしていると認識しているパターン

食事をしていると認識しているパターンでは、「記憶障害」が関係していると考えられます。

記憶障害は、薬を飲み忘れたり、二重に飲んでしまう、ついさっき言われたことを忘れてしまうなど、今何しているかわからなくなる、質問を繰り返すなどです。

体験全体を忘れることから、話しのつじつまが合わなかったり、作り話をしてしまうこともあります。

https://carers-navi.com/memory

そのため記憶障害の症状として、食べ物と誤認するのではなく「今が食べる状況」なのだと誤認してしまう場合が考えられます。

いつも食事をしている席に座ったり、食事を終えた後に食事をしたこと自体を忘れたりして、テーブルの上にある生け花や紙を食べようとすることがあります。

2-2.空腹感から

認知症が進行すると、満腹や空腹を感じる脳の機能まで衰えてしまいます。

そのため、空腹を感じると認知機能の低下も重なり、手近なものを口に入れてしまうことがあります。

このような原因で異食している場合は、時間を問わず異食が見られます。

2-3.不安などストレス

認知症のBPSD全般に当てはまることですが、BPSDの症状はストレスが大きく関わっています。

患者がストレスを感じている場合は、BPSDが現れやすいです。

具体的なストレスの要因には、ケガや急病などの身体的ストレス、身内や友人の不幸などの心理的なストレス、薬品に含まれる成分への反応などがあります。

このようなストレスを感じている場合には、不安を取り除く工夫をしてみましょう。

3.異食の予防方法

異食を予防するには、理由を探りながら対策をしましょう。

3-1.認知症の中核症状に対する予防

認知症の中核症状に対する予防は2つのパターンで解説します。

①食べ物だと誤認してるパターン

食べ物だと誤認している場合は、食べ物と見間違える可能性のあるものは極力ご本人の近くにおかないようにしましょう。

特に、丸くて小さいものや食べ物のイラストが書いてあるものは要注意です。

また、電池やタバコ、薬など飲み込んでしまうと危険なものもしっかりと片づけておきましょう。

②食事をしていると認識しているパターン

食事をしていると認識している場合は、生活リズムを整えましょう。

まずは、食事やおやつの時間を決めることをオススメします。

そして、食後はすぐに食器を片付け、食事の感想を話すなど環境に注意を払い、「食事をしている状況」と「それ以外の状況」の区別をはっきりとさせましょう。

3-2.空腹感に対する予防

脳の障害によって、どうしてもお腹がすいてしまうことはやむを得ません。

満腹や空腹を感じる脳の機能まで衰えている場合は、食事を小分けにして回数を増やすことをおすすめします。

3-3.不安などストレスに対する予防

BPSDの症状は、精神や身体のストレスが大きく関わっています。

ご本人との会話や行動に気を配り、ストレスの原因を探ってみましょう。

気持ちに寄り添うように声掛けをすることがポイントです。

また、食事以外に意識が向くように趣味などを提案することもおすすめです。

趣味に集中することで食事への意識が下がり、異食が改善する場合もあります。

4.万が一異食をしてしまったときの対応

4-1.食べようとしているときの対応法

4-1-1.慌てず落ち着く

まずは、慌てずに落ち着きましょう。

周りが騒いでしまうと、慌てて飲み込んでしまう可能性があります。

4-1-2.否定をしない

否定をすると、馬鹿にされたと感じてさらに怒ったり暴力をふるってしまう場合があります。

「これは食べ物ではありません。」と強く言うことは避けましょう。

また、たとえ否定でなくても、「でも」「だけど」などの否定語の使用も避けましょう。

4-1-3.力で押さえつけない

最も避けるべきは、力で押さえつけることです。

力で押さえつけると恐怖心が芽生え、より症状がひどくなります。

怒鳴ったり、叱りつけても何の解決にもなりません。

4-1-4.意識をそらしたり食べ物と交換してもらう

異食をしようとしているときは、別の話題を話しかけて意識をそらしたり本物の食べ物と交換してもらいましょう。

また、口に入れてしまっている場合も強引に取り出そうとはせずに、他の食べ物を進めながら自分から吐き出すように働きかけましょう。

4-2.食べてしまったときの対処法

窒息を起こしている場合は、すみやかに救急車を呼びます。

また、何もないように見える場合でも必ず医療機関にかかりましょう。

万が一に備えて異食が見られる場合は、あらかじめ医療や介護の専門の方から窒息時の対応法について学んでおきましょう。

タバコや芳香剤など中毒性のあるものを飲み込んでしまった場合には、安易に対応せずに119番(消防署)や日本中毒情報センター(大阪072-727-2499 つくば029-852-9999)などに連絡し対応方法を聞きましょう。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

異食をしてしまう理由には、「認知症の中核症状」、「空腹感」、「不安などストレス」があります。

理由を探りながら、対策をしましょう。

異食は、日々起こるため、常に見守りができない場合には、ショートステイなどの介護サービスの利用も一つの選択肢です。

1人で抱え込まずに、まずはケアマネージャーやかかりつけ医に相談しましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

ご相談はこちらから