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年金で介護をやりくりする方法~介護保険から介護にかかる費用まで徹底解説~

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「介護にはどれくらいお金がかかるのだろう」
「年金だけで介護のやりくりできるのかな」

あなたはこう思っていませんか?

介護にかかるお金、不安ですよね。
この記事では、介護保険制度から年金だけで介護をやりくりできるのかまで詳細に説明します。

記事を最後まで読んでいただくことで、介護にかかるお金を知っていただけます。

それでは、紹介していきます。

1. 介護保険料は40歳から支払う

まず、介護にかかるお金を把握するには、介護保険に対する理解が必要です。

ここでは、介護保険料から公的介護保険を利用する流れを説明します。

介護保険料は、40歳から64歳までは「健康保険」の一部として納めます。

特別な手続きは必要ありません。

65歳からは、「介護保険料」として支払います。

介護保険料は一生支払うことになり、支払い続けることで被保険者の資格を得られるのです。

1-1. 2種類ある介護保険料の徴収方法

介護保険料の支払い方法は、2種類あります。

1-1-1. 年金から天引きされる「特別徴収」

65歳以上の方で、公的な年金を年間18万円以上受給している方は「特別徴収」です。

支払われる年金から天引きされ介護保険料を納めます。

そのため、納めに行く手間が省け、支払い忘れるのを防げます。

天引きの対象となる年金は、以下の3つです。

・老齢福祉年金
・遺族年金
・障害年金

1-1-2. 納付書による「普通徴収」

市区町村から介護保険料納付書が送られてくるのが「普通徴収」です。

直接市区町村に行くか、金融機関や口座振替で納めます。

普通徴収になる対象者は、年金の受給額が年間18万円以下の方、年金支給が一時差し止めになった方です。

また、引っ越した場合、以前住んでいた場所では特別徴収だった方は、転入して半年から1年対象になります。

1-1-3. 滞納した場合

介護保険料を滞納した場合、督促手数料や延滞金が追加されます。

また、長期間滞納すると介護サービスが十分に受けられません。

本来であれば介護サービスを自己負担1割で受けられるものが、全額自己負担となります。

通常は特別徴収のため納付し忘れることはありませんが、普通徴収の場合は滞納しないよう十分注意しましょう。

2. 公的介護保険3つの保障内容

公的介護保険の保障内容を3つ紹介します。

2-1. 費用は最安1割負担

介護サービスを利用する際、費用の負担は1割から3割です。

負担の割合は、所得によって異なります。

負担割合 所得基準
1割負担 以下に当てはまらない方
2割負担 合計所得160万円以上

・単身世帯:年金+その他の所得=280万円以上(年金のみの場合は280万円以上相当)
・夫婦世帯:年金+その他の所得=346万円以上

3割負担 合計所得220万円以上

・単身世帯:年金+その他の所得=340万円以上(年金のみの場合は344万円以上相当)
・夫婦世帯:年金+その他の所得=463万円以上

(出典:https://avenue-life.jp/blog/life/burden-ratio/)

2-2. 高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、申請することで同じ月で一定の金額を超えた分が払い戻しされることです。

自己負担額が下記の表より超えた分だけ返されます。

     高額介護サービス費の自己負担の上限額(月額)

区分 負担の上限
現役並み所得者がいる世帯 44,400円(世帯)
一般世帯(市区町村民税を課税されている方がいる世帯) 44,400円(世帯)
低所得世帯(全員が市区町村民税を課税されていない世帯) 24,600円(世帯)
前年の所得金額+年金の合計が80万円以下の方など 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護を受給している方など 15,000円(個人)

現役並み所得者は、世帯内に課税所得145万円以上の被保険者がいる場合であって、かつ世帯内の第1号被保険者の収入が520万円以上の世帯です。

世帯内に第1号被保険者が一人しかいない世帯は383万円以上の場合が対象となります。

2-3. 高額介護合算療養費制度

高額介護合算療養費制度とは、公的医療保険や公的介護保険の給付を受けても、1年間の医療費と介護費の自己負担額が高額な場合に、超過分を払い戻しできる制度です。

毎年8月から翌年7月に、同じ世帯でかかった医療費と介護費を合算、所定の上限額が超えていたら払い戻しされます。

上限額は、収入で変わります。

70歳未満がいる世帯
適用区分 医療保険種別 基準額
国保 被用者保険
区分ア 901万以上 年収1160万以上 212万
区分イ 600万以上~901万未満 770万以上~1160万未満 141万
区分ウ 210万以上~600万未満 370万以上~770万未満 67万
区分エ ~210万未満 ~370万未満 60万
区分オ 市民税非課税世帯 市民税非課税世帯 34万
70歳以上のみの世帯
適用区分 医療保険種別 基準額
国保・後期高齢者 被用者保険
現役並み所得者 690万以上~ 年収1160万以上 212万
380万以上~690万未満 770万以上~1160万未満 141万
145万以上~380万未満 370万以上~770万未満 67万
一般 現役並み所得者、低所得者以外 156万以上~370万未満 56万
低所得者2 低所得者1以外の市民税非課税世帯 低所得者1以外の市民税非課税世帯 31万
低所得者1 市民税非課税世帯で全員の所得が一定基準を満たさない 市民税非課税世帯で全員の所得が一定基準を満たさない 19万

※国保、後期高齢者の場合、基礎控除33万を差し引いた所得額によって判定
※同じ医療保険の世帯単位(住民票の世帯とは異なる)で基準額を設定して適用する
※70歳未満と70歳以上が混在する世帯においては、まず70歳以上の自己負担額から70歳以上の基準額を適用したのち、その残額と70歳未満のh自己負担額合計に70未満の基準額を適用させる

3. 公的介護保険を利用する流れ

公的介護保険サービスの対象者は、2種類に分かれます。

・第一号被保険者:65歳以上、介護や支援が必要な方

・第二号被保険者:40~65歳未満、16の特定疾患が要因で要介護状態になった方

また、利用には、市区町村の窓口に行き申請が必要です。

ここでは、申請から利用するまでの流れを説明します。

3-1. 要介護認定を申請

まず、市区町村の窓口にて、要介護認定の申請をしましょう。

申請には、年齢により必要なものが以下のように異なります。

・第一号被保険者(65歳以上):介護保険被保険者証

・第二号被保険者(40~65歳以上):医療保険証

3-2. 認定調査を受ける

要介護認定をするために、市区町村の調査員が訪問し、利用者の心身の状態や日常生活の様子を確認します。

この際、かかりつけ医(主治医)による主治医意見書が必要です。

利用者のかかりつけ医(主治医)がいない方は、市区町村が指定する医師の診察が必要です。

3-3. 審査判定

要介護度の判定には2段階あります。

1段階目では、調査結果及び主治医意見書をもとに、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行われます。

その後、2段階目が介護認定審査会による要介護度の判定です。

3-4. 認定

市区町村は要介護認定を行った後、申請者に結果を通知します。

要介護認定後から通知までかかる期間は、原則30日以内です。

また、要介護認定は有効期限があるため、更新を忘れないようにしましょう。

有効期限は、新規で6か月~12か月、更新すると、12か月~36か月です。

この有効期限を過ぎると介護サービスを受けられないので、注意しましょう。

3-5. ケアプラン作成

介護サービスの利用にはケアプラン作成が必要です。

ケアプランとは、要介護者が日常生活を安心安全に過ごすために介護のサービスをいつ、どう利用するかやどういった支援を受けるかなどの計画書です。

また、ケアプランの作成元は、要介護度によって以下のように異なります。

・要支援1と要支援2:地域包括支援センターもしくは地域包括支援センターが委託した居宅介護支援事業所

・要介護1以上:介護支援専門員がいる居宅介護支援事業所

4.年金のみで介護をやりくりする方法

これまで、介護保険制度について紹介してきました。

ここでは、年金のみで介護サービスを利用する方法を述べていきます。

4-1. 年金の受給額を確認

まず、給付される年金はいくらか確認します。

給付は2ヶ月に一度なので、通帳に記載されている金額を2分の1にして、月額いくらもらっているか計算しましょう。

厚生年金受給額の平均月額は14万6千円、国民年金受給額の平均月額は5万6千円です。

4-2. 年金でまかなえる老人ホームを探す

月額の年金受給額を確認したら、その額を頭に置き老人ホームを探します。

この際、目安として入居一時金がない所にしましょう。

なぜなら、入居する際の初期費用となる入居一時金は、平均額が480万円前後と大きい額だからです。

各施設の月額相場は、以下の通りです。

・特別養護老人ホーム:6~15万円

・有料老人ホーム:21.4万円前後

・グループホーム:15~30万円程度

特別養護老人ホームであれば、年金の範囲内でまかなえる可能性があります。

しかし、価格帯の低い老人ホームは、サービスが充実していない、入所する競争率が高いといった問題があります。

よく施設を見学してから利用しましょう。

4-3. 年金で在宅介護を活用する

在宅での介護であれば、持ち家があったり、家族と同居していれば食費や生活費が少なく済んだりと、年金で介護サービスをやりくりできます。

また、在宅介護サービスの場合、ケアマネジャーが介護保険の限度額内でサービスを組んでくれます。

できるだけ介護者の負担が少ないようプランを作成してくれるため、安心です。

4-4. 年金だけで老人ホームに入れない場合の対処法

老人ホームを利用したいけど、年金のみで入居できない場合の対処法について紹介していきます。

4-4-1. 生活保護を受ける

現在の貯蓄額と、年金支給額のみで生活が非常に困難な場合、生活保護を活用しましょう。

生活保護を利用することで、不自由のない最低限の生活が送れます。

https://carers-navi.com/welfare

4-4-2. ケアハウスを利用する

ケアハウスとは、60歳以上の方が食事や洗濯などの介護サービスを受けられる施設です。

身寄りがない、家族との同居が困難な方が、老人ホームより比較的安い費用で利用できます。

また、ケアハウスは年収が低い人ほど利用料が安くなる特徴があります。

費用の目安は、以下の通りです。

・入居一時金:数10万~数100万円

・月額費用:7万~20万円

http://carers-navi.com/carehouse-cost

5.まとめ

いかがだったでしょうか。

介護保険と年金の関係について紹介しました。

介護保険料は、65歳以上になると年金から天引きされる「特別徴収」が一般的です。

滞納すると介護サービスを利用できない場合があるため、注意しましょう。

年金だけで介護をやりくりする場合は、有料老人ホームは難しいです。

在宅介護や生活保護、ケアハウスなど、経済的にも無理のない範囲で介護サービスを活用しましょう。

この記事が少しでも参考になったら幸いです。

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