「カゾクを支える、カイゴを変える」
介護と親と向き合うサイト

高齢者が熱中症になりやすい5つの理由と介護の時に気を付けたいこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

高齢者は、様々な要因から熱中症になりやすいといわれています。

総務省によると、2019年では、 71,317人熱中症により救急搬送されています。

そのうち、37,091人、つまり52%は65歳以上でした。

また、救急搬送された高齢者の約50%は自宅から要請がありました。

介護状態でずっと家にいるから安心という訳にはいきません。

この記事では、高齢者が熱中症になりやすい理由や対策、気になるマスクと熱中症について解説します。

1.高齢者が熱中症になる5つの理由

熱中症は、高温多湿の環境で、体の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節機能が乱れて、体内に熱がたまってしまう状態です。

高齢者は、熱中症になりやすいと言われており、平成30年では、年間の熱中症死亡者1518人のうち81.5%が65歳以上の高齢者でした。

高齢者が熱中症になりやすい理由は5つあります。

1-1.加齢とともに体内の水分量が減っていく

体に占める水分の割合が成人で約60%に対して、高齢者は50%~55%に減ってしまいます。

高齢になると筋肉量が減り、筋肉中に水分を保持できなくなることが原因です。

その結果、熱中症が引き起こされやすくなります。

1-2.腎臓の機能が低下して、尿の量が増える

腎臓は、血液中の老廃物をろ過して、余分な水分と体外へ排出する役割があります。

しかし、高齢になると腎臓機能が低下して、必要以上の水分を排出してしまいます。

その結果、体内の水分量が低下してしまいます。

1-3.水分をあまり摂れない

高齢になると様々な理由から水分の摂取が難しくなるのです。

例えば、食事量が減り、食事からとれる水分量が少なくなります。

また、トイレが近くなり、水分の摂取を自ら控える、のどの渇きを感じにくくなるなどがあげられます。

1-4.暑さを感じにくくなる

年齢を重ねるにごとに皮膚の温度感覚が鈍くなり、暑さを感じにくくなります。

その結果、室温の調節や適切な服装を選ぶなどができず、熱中症になりやすくなります。

1-5..熱が発散しにくい

高齢になると皮膚の血流量や発汗量が少なくなります

そのため、体温が上がっても熱を発散しづらくなります。

2.熱中症の3段階の症状

分類 症状 対応
Ⅰ度(軽度) 大量の発汗や立ちくらみなど 体を冷やす・水分や塩分の補給などの応急処置
Ⅱ度(中等度) 頭痛や嘔吐、倦怠感など 病院への搬送が必要
Ⅲ度(重度) 痙攣や意識障害など 病院への搬送・集中治療が必要な場合がある

熱中症は3つの段階に分けることができます。

Ⅰ度の段階では、涼しい場所に移動し、経口補水液や一つまみの塩を入れた水を摂取して様子を見ましょう。

Ⅱ度の場合は、Ⅰ度の対処で改善がみられなければ医療機関へ搬送が必要です。

Ⅲ度の症状が出ているのであれば、すぐに救急車を呼びⅠ度の応急処置を行いながら到着を待ちましょう。

症状は短時間で変化するので、早めに変化に気づき対応することが大切です。

3.熱中症対策

実際にどのような対策で熱中症を防ぐことができるでしょうか?

この章では、5つの対策を紹介します。

3-1.水分の補給はこまめにたくさん

「1日2ℓの水を飲みましょう」と一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

実は、2ℓとは欧米人に推奨される目安で、日本人の高齢者は1.5ℓが目安です。

水分のとり方として、コップ1杯程度(200ml程度)を1日6~8回くらいに分けて飲むといいでしょう。

また、心臓、腎臓などの臓器に持病がある場合は、水分の取りすぎに注意が必要です。

水分を摂りすぎると代謝しきれず、持病の悪化の可能性があります。

医師と相談して適切な水分量を決めることをオススメします。

3-2.ミネラルや塩分を補給

熱中症予防には、水分だけでなくミネラルや塩分も必要です。

スポーツ飲料は、塩分が少なく糖分が多く含まれているので、なるべく経口補水液を摂取しましょう

また、みそ汁には塩分もミネラルも含まれており、1日に1杯は補給するとよいです。

3-3.周囲の人が協力する

周囲の人が健康状態を把握できる環境をつくりましょう。

家族が見られないときは、見守りサービスがあります。

見守りサービスとは、高齢の両親の健康状態を見守ることができるものです。

訪問型やセンサー型など様々なサービスがあります。

https://carers-navi.com/mimamori-service

3-4.エアコンを使用する

エアコンの冷気が苦手だったり、電気代を抑えるために使用を避ける高齢者が多いです。

しかし、消防庁の調査によると、高齢者の熱中症で救急要請は、「住宅等居住場所」が全体の半数以上となっています。

エアコンの冷気が苦手な場合には、扇風機との併用をするなどを行い、室温を下げましょう。

目安は、室温28℃以下、湿度60%以下です。

3-5.日傘や帽子を身に付ける

デイサービスや買い物などで日中に出かけなければならないことが多いですね。

その際は直射日光を避けるために、日傘や帽子を身に付けることを忘れないようにしましょう。

次の章では、便利な熱中症対策グッズを紹介します。

4.対策グッズ

4-1.冷感タオル

Amazonより

濡らして、絞って、振るだけで冷たくなる冷感タオル。

温くなったら、また濡らして繰り返して使えます。

夏場の散歩や運動の際に使用してみてはいかがでしょうか?

4-2.ハンディファン

ハンディファンとは手持ち扇風機のことです。

ハンディサイズにもかかわらず十分な風量を発揮します。

信号やバスの待ち時間にオススメです。

4-3.吸い飲み

Amazonより

吸い飲みとは、寝たままでも水を飲めるようにした容器のことです。

寝たきりの方を水分補給するたびに起こすのは大変ですよね。

その大変さのあまり、十分な水分補給ができない場合があります。

ぜひ吸い飲みを使用してみてください。

5.マスクと熱中症

今年は新型コロナウイルスの影響で、マスクによる熱中症が心配されています。

マスクには、呼吸による水分の発散を防ぎますが、熱のこもった息を吸うことで体温を上げてしまいます。

タイミングを見て定期的にマスクを外しましょう。

厚生労働省は、屋外では、人との距離が2メートル以上空いているときはマスクを外すことを推進しています。

新型コロナウイルスは怖いですが、同じくらい熱中症も危険です。

人との距離が十分に離れているときは安心してマスクを外しましょう。

6.まとめ

高齢者が熱中症になりやすい理由は以下の5つでした。

①加齢とともに体内の水分量が減っていく

②腎臓の機能が低下して、尿の量が増える

③水分をあまり摂れない

④暑さを感じにくくなる

⑤熱が発散しにくい

適切に予防すれば熱中症は防げます。

まだまだ暑い日が続くので、油断せず対策をしましょう。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

ご相談はこちらから