「食べ物を飲み込む力が弱っているからと、食事を積極的に摂ろうとしない……」
「噛む力が弱くなってきたので、今後の食事が心配」
「介護食品ってなんだか美味しくなさそう……」
そういった悩みを抱えている方は、スマイルケア食をご存知ですか?
この記事では、スマイルケア食や従来の介護食品との違い、スマイルケア食の種類、スマイルケア食の売り場を詳しく紹介していきます。
目次
1.スマイルケア食とは
スマイルケア食とは、新しい介護食品の愛称です。
農林水産省が公募をして名前が決まりました。
スマイルケア食のポイントは、見た目の美しさや食欲を促進する工夫などがされていること。
食べやすさや味の工夫だけではない点がこれまでの介護食品とは異なります。
スマイルケア食は幅広いメニューが開発されています。
雑炊やおかゆなどの主食や焼き魚、ハンバーグなどのメイン料理、また中華料理などもあります。
2.スマイルケア食と介護食品との違い
スマイルケア食と介護食品の違いは「食べたい!」という気持ちにしてくれるかどうか。
従来の介護食品は、ただ食事を細かくしたものが多く、栄養を摂るためのものとして作られていました。
その点、スマイルケア食は見た目や食感などに配慮して作られています。
栄養を摂るだけではなく、食事の美味しさや満足感を得るといったような、「食事を楽しむ」気持ちを思いださせてくれるでしょう。
2-1. スマイルケア食は介護食品をアップデートしたもの?
これまでは一口に「介護食品」といっても、その線引きは明確ではありませんでした。
その上、要介護者の食事は施設や家庭に任されており、美味しさや食欲促進の部分にアプローチする食品は少なかったです。
このような状況では、介護者がどのような介護食品を選べば良いのか迷ってしまうでしょう。
こうした状況を改善するために始まったのが、農林水産省による「スマイルケア食」です。
3.スマイルケア食の分類
スマイルケア食は色ごとに3つに分類されます。
その中でも、その食べやすさによって7種類に分けられます。
青のマークは嚥下には問題ないものの、栄養補給の補助としてスマイルケア食を用いたいという人向けです。
黄のマークは、噛むことが困難な人向けです。
赤のマークは、飲み込むことが困難な人向けです。
3-1. スマイルケア食の区分表
ここからは区分表で詳しく解説していきます。
スマイルケア食の選び方の参考として、食品の硬さや身体機能の状態によってこのようなチャートが作られています。
食事に関する悩みを抱えている人は医師や管理栄養士などに相談しながら、スマイルケア食を選ぶときの目安にしてはいかがでしょうか。
次の章では、スマイルケア食の色と数字を具体的に紹介していきます。
(参考:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/attach/pdf/kaigo-74.pdf)
3-2. スマイルケア食の青マーク
青マークがつけられたスマイルケア食は、健康な体を維持して活動するために栄養補給を必要とする人を対象とした食品です。
農林水産省が定める基準を満たす必要があります。
青マークが表示された商品は、事業者が「自己適合宣言」という形で提示しているものです。
詳しくはこちらをご覧ください。
3-3. スマイルケア食の黄マーク
黄マークがつけられたスマイルケア食は、食機能にやや問題がある方に向けたものです。
特に、上手く食事を噛めない人におすすめです。
黄マークがつけられている商品は、JASマークが付けられています。
黄マークは、さらに4種類に分類されます。
一つ目は、柔らかく張り付きにくいもので、容易に噛めるものです。
ただし、適度なかみごたえがあるものに限ります。
上記の図では、スマイルケア食[5]として、焼き豆腐が例としてあげられています。
二つ目は、柔らかく張り付きにくいもので、歯ぐきで潰せる程度のものです。
上記の図では、スマイルケア食[4]として、もめん豆腐が例としてあげられています。
三つ目は、柔らかく張り付きにくいもので、舌と口蓋の間で押しつぶすことができるものです。
上記の図では、スマイルケア食[3]として、絹ごし豆腐があげられています、
四つ目は、噛まなくても咀嚼ができるものです。
上記の図では、スマイルケア食[2]として、粒のあるペースト食があげられています。
具体的には水をたっぷりと使用した、おもゆなどがあげられるでしょう。
3-4. スマイルケア食の赤マーク
赤マークがつけられたスマイルケア食は食機能に問題がある方に向けた食品です。
特に、飲み込む機能に問題がある方におすすめです。
スマイルケア食の赤マークは、特定の表示許可制度に基づいて示されています。
赤マーク申請のための要件は以下の通りです。
(ア)医学的、栄養学的見地から見てえん下困難者が摂取するのに適した食品であること。
(イ)えん下困難者により摂取されている実績があること。
(ウ) 特別の用途を示す表示が、えん下困難者用の食品としてふさわしいものであること。
(エ)使用方法が簡明であること。
(オ)品質が通常の食品に劣らないものであること。
(カ)適正な試験法によって成分または特性が確認されたものであること。
詳しくはこちらをご覧ください。
赤マークは、さらに3種類に分類されます。
一つ目は、少し咀嚼しすれば簡単に飲み込めるものです。
例としてはおもゆなどがあげられます。
二つ目は、少量を口の中で潰せば飲み込めるものです。
柔らかく張り付きにくい、ゼリーやプリン状のものです。
おかゆのゼリーやおもゆのゼリーがあげられます。
三つ目は、そのまま飲み込めるものです。
硬さに配慮されたゼリーがあげられます。
4.栄養の重要性と高齢者の低栄養
健康を維持するためには、食事と睡眠、運動のバランスが欠かせません。
とりわけ食事に関しては、栄養を補給するだけではなく、生きる楽しみにも繋がります。
国立長寿医療研究センターが行なった調査によれば、低栄養の高齢者は約37%。
低栄養のおそれがある人を数に加えれば約7割となっています。
https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/roken/rojinhokoku4_24.pdf
低栄養とは、なんらかの原因で食事量が減り、身体機能の維持に必要なエネルギーやタンパク質が不足している状態をのことです。
低栄養になることによって、介護の必要性が増すおそれがあります。
5.スマイルケア食を買うには
スマイルケア食は、介護用品を扱う店舗やドラッグストア等で購入することができます。
また、インターネットを通じても購入が可能です。
詳しくは、農林水産省のこちらのサイトをご覧ください。
6.自分の口で食べることの重要性
自立した生活を長く送るためには、食事を自分でとることがかかせません。
また、自分の口で食べることを通して、食べる喜びや楽しみを感じることもできます。
スマイルケア食は、噛んだり飲み込んだりするする機能が弱くなってしまった場合にも、自分の口を通して食べられるような工夫がされています。
7.まとめ
最後に、スマイルケア食のポイントは、見た目の美しさや食欲を促進する工夫などがされていることです。
単に栄養をとるだけではなく、食事を楽しむという目的の方にもおすすめです。
食事に関わる機能に応じて7種類に分けられており、幅広い方が対象となっています。
長く自分の口で食事を摂り続けるためにも、ぜひスマイルケア食を取り入れてみてください。