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遺言書の種類、メリット・デメリット、紛失や改ざんを避ける方法も解説

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「遺言書っていつ書けば良い?」

「遺言書では何ができる?」

「遺言書を預けられる?」

そういった疑問を抱えていませんか?

万が一に備えて、遺言書を準備しておこうという方も多いでしょう。

遺言書の執筆は自分で行うことも専門家に依頼することもできます。

ただし、所定の形式を守らないと無効になることもあります。

この記事では、遺言書でできることや、遺言書の種類とそれぞれのメリット・デメリット、遺言書を預ける場合の手順を詳しく紹介します。

 遺言書とは

遺言書とは、故人の最終的な意思を表示した文書を指します。

遺言書は亡くなった後も自分の意思を残しておける良い手段です。

ただし、正しい手順を踏まないと、遺言書が無効になることもあるため注意が必要です。

遺言書でできること

誰に何を渡すのか指定できる

遺言書では、お金やもの、土地など様々なものをどれだけ、誰に渡すかを指定できます。

資産が誰に相続されるかは法で定められています。

しかし、遺言書を使えばお世話になった方や友人など、相続する相手を指定することも可能です。

相続する権利を剥奪できる

遺言書では、誰に何を渡さないかを指定することもできます。

たとえば、法で定められた相続人に暴力を受けている場合などに、その相手を相続人から外せます。

遺言執行者を決められる

遺言執行者とは、ご本人が亡くなった後に、相続等の手続きを率先して進める人を指します。

遺言書では、遺言を執行する人を指定できます。

遺言書内で指定がなければ、家庭裁判所が選びます。

遺言書作成のタイミング

遺言書を書き始めるタイミングは、なるべく早いほど良いとされています。

結婚や出産、家の購入、退職など、大きなライフイベントに合わせて書くのが一般です。

法的にも満15歳以上であれば遺言書は有効です。

そのため、自分の人生を振り返るタイミングで書き始めてみるのも良いでしょう。

遺言書の種類とメリット・デメリット

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、財産目録を除くすべての項目をご本人が書いた遺言書です。

財産目録とはその時点において保有する不動産や預貯金などの財産、またローンなどを一覧にしたものです。

メリット

自筆証書遺言のメリットは、自分で作成するため手軽で費用がかからないことです。

また、書きあがった遺言書は法務局で預かってもらうこともできるため安心です。

デメリット

自筆証書遺言のデメリットは、遺言書には書き方のルールがあるため無効になる可能性があることです。

また、自宅保管の場合には紛失してしまう恐れや、発見されない可能性もあります。

公正証書遺言

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公正文書として作成される遺言書です。

公正証書遺言の作成は法律実務経験のある準国家公務員が行います。

公正証書遺言作成を依頼する際の費用の目安は2~5万円です。

メリット

公正証書遺言のメリットは、紛失や偽造、発見されないなどのリスクがなく、もっとも確実に遺言書を作成できることです。

また、専門家が文書を作成するため、文書が無効になることがありません。

デメリット

公正証書遺言のデメリットは、作成を依頼してから時間と費用がかかることです。

さらに、遺言書の訂正や追記にはさらに時間と費用がかかります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは

秘密証書遺言とは、ご本人が亡くなるまで文書の存在を秘密にしておける遺言書です。

周囲の誰にも遺言書の内容を伝えることなく、公証役場で遺言書の存在のみを証明してもらうことが可能です。

メリット

秘密証書遺言のメリットは、亡くなるまで周囲に知られたくないことを知らせずに置いたり、偽造を確実に防止したりできる点です。

また、パソコンで作成しても有効となるため、手書きの必要がない点も手軽です。

 デメリット

秘密証書遺言のデメリットは、公証役場に行って証明してもらう手間が必要であることです。

また、自宅保管になるため、紛失の恐れがあることもデメリットです。

さらに、秘密証書遺言が有効となるためには亡くなった後に家庭裁判所で検認してもらう必要もあります。

遺言書が無効になりやすいケース

遺言書が無効になりやすいケースで最も多いのはご本人が執筆していないものです。

ご自身で執筆しない場合には、全ページに署名押印が必要です。

他には、署名押印や作成期日がどこにも記載されていないものも無効になります。

さらに、遺言能力がない方が書いた文書も無効です。

遺言能力は、民法963条で、遺言の内容を理解し遺言の結果を弁識できる意思能力と定められています。

自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言保管制度とは

自筆証書遺言保管制度とは、自筆した遺言の原本を法務局に預け、画像をデータ化して保管してもらう制度のことです。

この制度は比較的新しく、2020年より施行されています。

自筆証書遺言保管制度のメリット

 偽造や改ざん防止

自宅保管の場合には、紛失を避けるために周囲の人に遺言書の保管場所を伝えることもあります。

保管場所を教えたために、相続人やその他の人によって、文書の内容を偽造されたり廃棄されたりすることを防げるメリットがあります。

無効になりづらい

遺言書の保管を法務局に依頼する際に、窓口でチェックしてもらうことができます。

そのため、形式に不備があり無効になってしまうというケースを避けられます。

相続人に発見してもらいやすい

ご本人が亡くなった時に、法務局から指定の相続人に通知がいきます。

そのため、遺言書が発見されないリスクを減らせます。

検認手続きが不要に

これまで、自筆証書遺言が有効となるためには、家庭裁判所で検認を受ける必要がありました。

自筆証書遺言保管制度が誕生したことで、法務局で証明された文書に関しては、家庭裁判所の検認手続きを行うことなく有効となりました。

自筆証書遺言保管制度利用の注意点

自筆証書遺言保管制度を使って法務局に提出する際、形式に関してチェックしてもらえますが、内容に関しては確認されません。

また、法律面のアドバイスや遺言に関する質問事項については、別途専門家に聞く必要がありますので注意しましょう。

自筆証書遺言を法務局に預ける方法

管轄の法務局

まずは、自筆証書遺言を作成し、遺言を預ける法務局を決めます。

遺言を預ける法務局は、ご本人の住所地または本籍地、所有する不動産の所在地のいずれかから選択できます。

遺言書を取り扱う法務局は全国に312箇所あります。

申請書を記入

次に、申請書を準備します。

申請書については、法務省の自筆証書遺言書保管制度からダウンロードできます。

https://www.moj.go.jp/MINJI/06.html

事前予約

遺言書を預けるには予約が必須です。

各法務局に専用の予約サイトがあります。

以下のリンクから予約しましょう。

https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/top/portal_initDisplay.action

まとめ

まとめると、遺言書とは故人の最終的な意思を表示した文書を指します。

遺言書作成のタイミングは、結婚や出産、家の購入、退職など、大きなライフイベントに合わせて書くのが一般です。

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言保管制度とは、自筆した遺言の原本を法務局に預け、画像をデータ化して保管してもらう制度のことです。

自筆証書遺言保管制度を利用すれば、偽造や改ざんを防止したり、紛失を避けたり、検認手続きが不要になったりするメリットがあります。

自筆証書遺言を法務局に預ける際には、申請書の記入と予約を忘れず行いましょう。

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