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孫のお受験(2)

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念のために、アマゾンでかるたを調べてみると、予想通り実にさまざまなかるたが売られており、オーソドックスなかるたは「犬棒かるた」と呼ばれていることがわかった。他にも定番の「小倉百人一首」やさまざまなキャラクター商品、教育的な効果を狙ったものなどいろいろである。

機能的にはそれらはすべて「かるた」としての機能を備えていると考えていいのだろう。でもたとえば「小倉百人一首」は、通常のかるたとは異なり「ひらがな」だけが書かれている方が取札で、歌人の絵が入っているのは読札であるから、知らなければ騙されたと思うかもしれない。

実は、わたしは、小学生の時、「百人一首」を好奇心から買ったものの、やり方を知らずに、最初は絵を並べていた。それを見た父親にやり方を教えてもらうまで、そんなかるたがあるなんて思いもしなかったのである。同じ時に、花札も買ったことを今、書いていて思い出したが、そちらは家族のだれもやり方を知らず、お正月で(だからそんなものを買いこんだのだと思う)挨拶に来ていた大学生のいとこに教えてもらったのだった。

話がそれるが、父が米国に行くというのでタロットカードを買ってきてくれ、と頼んだところ、カリフォルニアの知人には話が通じず、普通のトランプを買ってきたことがある。そのとき知人は父に、子供に賭博をやらせるのか、と真顔で聞いたそうだ。あるいはそれは父の冗談だったのかもしれないが、確かにトランプといえばババ抜きより七並べより、ポーカーやブリッジのためのものであるのは明らかだし、デビッド・ニーブン版007の『カジノロワイヤル』も観ていたから、言われて妙に納得した記憶がある。そうか、米国では子供にはトランプはさせないのだな、と漠然と思い、それ以来一度も確認することなく今に至っている(今ならネットで調べればすぐにわかるだろうが、もはやどうでもいい)。

それはともかく、心配性の母は、翌日がたまたま再開したコーラス会の日だったので、面接の日を待たずにおもちゃ屋に行ってきたと言い、

「今は季節じゃないから、かるたは置いてないんだって」と母はガッカリしたように言うのだった。

それで、近くの書店にも行ってみたがやはりかるたは置いておらず、トランプもなにか普通のものとは違う感じのものしかなかったが、もうおもちゃ屋に戻るのは面倒だったので、そこでトランプだけ買ってきた、ということだった。

ところが、帰ってきてトランプを開けてみると、それは世界地理教育トランプで、ハートやスペードのマークや女王様の絵の代わりに、国旗と国名や名産品などが所狭しと書かれているトランプだったので、母はさらにガッカリしてしまった。母が言うには、トランプにはハートやスペードのマークが数字の数だけついていないと、小さい子は数がわからないし、キングやクイーンの絵がないとトランプらしさが感じられない、というのである。要するに普通のトランプが欲しかったということなのだが、それなら、最初のおもちゃ屋にいくらでもあっただろう、とわたしが言うと、それはそうだが、疲れてしまってとても戻る気にはならなかったのだ、と言う。

オンラインだろうが店頭だろうが、騙される時は騙されてしまうのだなあ、と思った。騙されるといっても、これは誰かが騙そうとしてやっていることではなく、単にこちら側の問題なのだから、まあ自業自得なのであった。ケースをよく見ればわかったのではないかと思ったが、疲れてそれすらしなかったのであろう。

実は、おもちゃ屋のひとつ上の階に、母が行った書店の2倍はある大書店があり、わたしは、そこに行くことを強く勧めていたのだったが、母は、本屋といったら昔からある書店しか知らず、なにも考えずにそちらに向かったという。

結局、面接当日の朝、わたしが先に書店とおもちゃ屋に行って、めぼしい商品を選んでおき、後から母と待ち合わせたのだった。幸い、わたしが選んだトランプとかるたはどちらも好評だったようだ。もっとも、母が買った世界地理トランプもそれなりに好評だったというから、今時の5歳児は侮りがたい。

ちなみに、わたしが選んだのはマリオブラザースのトランプ(ある意味本家本元のトランプである)と動物さんのかるた(というか絵合わせに近い)で、どちらも受験を終えて帰って来た下の子に大うけだったそうだ。はいはい、精神年齢が近いんです。そうなんです。それはよくわかってます。

※こちらの記事は、2020年12月14日にながさごだいすけ氏によって、note上にて公開されたエッセイになります。

孫のお受験(2)|ながさごだいすけ|note

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