寝たきりが続いていて筋力の低下が心配。。。
廃用症候群ってどんな病気??
人間は、一週間寝たきりになると筋力の15%が低下してしまうと言われています。
ただでさえ筋力の低下が著しい高齢者の筋力が15%も下がってしまうと、身体に様々な影響を与えます。
過度な安静や寝たきりなどで活動量が低下したとき生じる様々な病的状態を廃用症候群と言います。
あなたの過度な介護が、病状を引き起こしているかもしれません。
今回は、廃用症候群の原因や対処法、予防を解説します。
目次
1.廃用症候群とは
廃用症候群とは、過度な安静や寝たきりなどで活動量が低下したときに生じる身体の様々な病的状態を差します。
廃用症候群は、子どもや若者にも現れる症状ですが、高齢者に多く見られます。
理由としては、加齢により身体機能が低下し始めているためと考えられています。
廃用症候群の症候は、筋骨格系、循環・呼吸器系、内分泌・代謝系、精神神経系など多岐に現れ、日常生活自立度を低下させてしまいます。
〇多岐にわたる具体的な症状
筋萎縮・・・筋肉がやせおとろえる
関節拘縮・・・関節の動きが悪くなる
骨萎縮・・・骨がもろくなる
心機能低下・・・心拍出量が低下する
起立性低血圧・・・急に立ち上がるとふらつく
誤嚥性肺炎・・・唾液や食べ物が誤って肺に入り起きる肺炎
血栓塞栓症・・・血管に血のかたまりがつまる
うつ状態・・・精神的に落ち込む
せん妄・・・軽度の意識混濁のうえに目には見えないものが見えたり、混乱した言葉づかいや行動を行う
見当識障害・・・今はいつなのか、場所がどこなのかわからない
圧迫性末梢神経障害・・・寝ていることにより神経が圧迫され、麻痺がおきる
逆流性食道炎・・・胃から内容物が食道に逆流し、炎症がおきる
尿路結石・尿路感染症・・・腎臓、尿管、膀胱に石ができる、細菌による感染がおきる
褥瘡(じょくそう)・・・床ずれといわれる皮膚の傷
2.廃用症候群になる3つの原因
2-1.過度の安静、過度の介護が原因
人間の筋力は、1週間の絶対安静で10~15%、3~5週間で50%まで低下するといわれています。
病気やケガで長期の入院をしたり、要介護度が高く寝たきりの状態になり、全身の筋肉を動かさない状態が続くと廃用症候群を引き起こしてしまいます。
また、残存能力があるにも関わらず、車いすや杖などを使用する場合も注意が必要です。
体を動かす機会が損なわれてしまい、廃用症候群が引き起こされる可能性が高まります。
2-2.関節などの痛みが原因
高齢になると、筋肉が衰え関節などに痛みや動きが鈍くなることが増えます。
痛みがあると、外出や運動を控えるようになり、より筋力が低下してしまいます。
このような状態が続くと、廃用症候群が進行してしまいます。
2-3.外部的な要因
外部的な要因としては、介護者の不在により活動量が制限されている場合や骨折によりギブスで体の一部を固定されてしまっている場合に引き起こされることがあります。
3.廃用症候群の予防法
3-1.過度の介護をしない・してもらわない
要介護者の残存能力を奪わないことが大切です。
可能な限り、要介護者の運動機会を奪わないようにしましょう。
時間を意識するあまり、短い距離でもタクシーや車を使ったり、着替えを手伝ったりすることをがあるかと思います。
しかし、その行動が廃用症候群へ近づいていることを意識してください。
3-2.なるべく体を起こす
体を起こすことで自然と筋力を使います。
寝たきりで一日過ごすのではなく、定期的に体を起こしてあげましょう。
ただし、顔色が悪くなったり、吐き気を伴ったりする場合は無理に行わないでください。
3-3.介護サービスの利用
介護サービスの利用を検討しましょう。
介護リハビリやデイサービスを利用することで運動機会を得られます。
また、ご家族の負担軽減や社会との関わりを作れるなど様々なメリットがあります。
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4.廃用症候群になったときの対処法
4-1.運動機会を作る
最も大切なことは、運動機会を作ることです。
運動機会とは、スポーツをしたり、ウォーキングをしたりするだけではありません。
日常の生活で、着替えを手伝わない、起き上がるときに支えるだけで力を加えないなど、残存能力をなるべく活かす介護をすることも運動機会の一つです。
また、ご本人ができる家事があれば一部でも手伝ってもらうことも効果的です。
4-2.薬物療法を行う
関節などに痛みがあると、外出や運動を控えるようになり、より筋力が低下してしまいます。
それが原因で、廃用症候群の症状が出てしまった場合には痛み止めの薬物療法が効果的です。
また、うつ症状など精神障害を発症している時にも同様です。
薬物療法を行う時には、必ず医師の診断を受けましょう。
ドラッグストアなどで売っている痛み止めは、医師の許可なしに使うことはオススメできません。
4-3.リハビリを行う
リハビリを行うことも効果的です。
廃用症候群に特化したリハビリを行っている病院もありますので、まずは医師に相談してリハビリを検討しましょう。
また、リハビリを行う際は、ご本人の意思を尊重しつつ、リハビリに対するモチベーションを上げるような声掛けが大切になります。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
過度な介護や寝たきりの状態が続くと廃用症候群を引き起こしてしまいます。
労力はかかってしまいますが、過度な介護はせず、残存能力を活かし介護生活を送りましょう。
また、介護サービスを利用することも大切です。
廃用症候群の疑いがある場合にはすぐに医師の診断を受けましょう。