昨今の介護現場では共感疲労が問題視されています。
イライラしやすくなったと感じる人や、ネガティブな思考になったという人は、もしかすると共感疲労になってるかもしれません。
本記事では、介護における共感疲労の概要や症状、なりやすい人の特徴、対処法などについて詳しく解説します。
目次
介護における共感疲労とは?
共感疲労とは、他の人の悲しみや怒りなどのネガティブな感情に共感することで自分の心も疲れてしまう現代病です。
この共感疲労は、現代の介護現場で問題視されています。
介護現場では、介護を必要とする方とのコミュニケーションを重要視しており、介護職の人と話すことでストレス軽減をしたり、認知症の進行を遅らせるなど、さまざまな効果が期待できます。
そのため、介護職員は仮にイライラすることを言われたり、言い返したくなることを言われても、そのような感情を表に出すことはなく、受容することや共感することが基本姿勢として求められます。
そのため、感情疲労が発生しやすくなってしまうのです。
介護現場における共感疲労の主な原因としては以下のような因子が挙げられます。
- 精神的消耗感
- 援助者としての規範意識へのとらわれ
- 利用者との対応場面でのストレス
- 援助者としての感情管理
- 心身のストレス反応
(出典:厚生労働省「高齢者福祉施設における介護人材の共感疲労およびレジリエンスの構造」)
感情疲労の感じ方には個人差があるため、介護職員だからといって全員が共感疲労になってしまうわけではありません。
しかし、ほかの職業に比べて高度なコミュニケーションの求められる介護職は共感疲労が発生しやすい職業といえるでしょう。
介護における共感疲労の症状
介護における共感疲労の症状には以下のようなものがあります。
- 小さなことでイライラするようになった
- 怒りっぽくなった
- 感情の起伏が激しくなった
- 休暇を取っても疲れが取れない
- 食欲がなくなった
- 寝つきが悪くなった
- 要介護者への関心が薄れた
- 周囲から孤立していると感じる
- 仕事に対して意欲が薄れた
- 仕事中に感情が揺さぶられることがある
このように、共感疲労の症状は多岐に渡るため、共感疲労だという確信がない場合でも、以前と比べて精神的・肉体的に違和感を感じる場合は共感疲労を疑うことも大切です。
共感疲労になりやすい介護職員の特徴
共感疲労になりやすい介護職員の特徴は以下の通りです。
- 感受性が強い人
- 日頃から気を遣いすぎる人
- 責任感の強い人
それぞれの特徴について、以下で詳しく解説します。
1.感受性が強い人
「周囲の環境から影響を受けやすいこと」や「他人の気持ちを感じ取る力に優れていること」という特徴のある感受性の強い人です。
介護現場においても多くの感情を感じ取ることができるため、共感疲労になりやすいのです。
2.日頃から気を遣いすぎる人
相手の気持ちを敏感に感じ取って行動することの多い人は、気を遣いすぎてしまうことから相手中心の行動になりやすいため共感疲労を起こしやすいです。
3.責任感の強い人
責任感の強い人は、困っている人や自分を頼りにしている人に対して許容範囲を超えてまで行動してしまうことが多いため、共感疲労を起こしやすいです。
介護において共感疲労にならないための対処法
介護において共感疲労にならないための対処法は以下の通りです。
- 仕事とプライベートにメリハリをつける
- ストレス発散方法を見つける
- 誰かに相談して気持ちの整理をする
それぞれの対処法について、以下で詳しく解説します。
1.仕事とプライベートにメリハリをつける
仕事とプライベートにメリハリがついていないと、自宅にいても感情疲労を引き起こしてしまうことがあるため、しっかりとメリハリをつけることが大切です。
仕事とプライベートを完全に切り離すことは難しいですが、プライベート環境に仕事に関わるものを持ち込まないことや、趣味に没頭するなどの対策をすることで徐々にメリハリをつけることができます。
2.ストレス発散方法を見つける
日頃からストレスを溜めてしまうと感情疲労を引き起こしてしまうため、プライベートの時間を活用してストレス発散を行うことが大切です。
ジムに通う、飲みに行くなど、仕事帰りでも行えるストレス発散方法でもいいですし、休日を1日活用して散歩したり、運動するなど、自分の好きなことをしてストレスを発散しましょう。
3.誰かに相談して気持ちの整理をする
自分の中に整理できない感情がある場合は、誰かに相談することが効果的です。
友人に相談するのでもいいですし、知り合いに相談したくない場合はソーシャルサポートを受けることも検討しましょう。
まとめ
本記事では、介護における共感疲労の概要や症状、なりやすい人の特徴、対処法などについて詳しく解説しました。
共感疲労は誰にでも起こりうることですので、介護職員は些細な違和感についても放置せずに共感疲労を疑ってみることも大切です。
ぜひ本記事を参考にして共感疲労についてチェックしてみてください。