「親が一人で入浴するのが難しくなってきた……」
「家族だけで入浴介助するのは負担が大きいな……」
そういった悩みを抱えていませんか?
要介護度が高くなると、自宅での入浴が難しくなってきます。
自宅の浴槽に一人で入れない方や、介助の負担が大きくてお困りの方におすすめしたいのが、訪問入浴サービスです。
この記事では、訪問入浴サービス内容やメリット・デメリット、利用対象者や利用までの流れ、費用などについて紹介します。
入浴サービスを上手く利用して、介護の負担を減らしましょう。
目次
1.訪問入浴サービスとは?
訪問入浴サービスとは、専用の浴槽を使って入浴をサポートしてくれる介護サービスです。
基本的には看護師を含めた3名がスタッフとして自宅に訪問してくれます。
寝たきりなどの理由により、ご自宅の浴槽では、要介護者本人が自力での入浴が困難であったり、家族のサポートだけでは入浴が難しい場合、こうしたサービスを受けることで、ご本人の清潔が保たれて、家族の負担も軽減されます。
1-1. 入浴の効果3つ
入浴には主に3つの効果があります。
1つ目の効果は疲労回復。浴槽につかることにより、血液循環を促進したり、自律神経を刺激したりできます。
2つ目はマッサージ効果。浴槽内の静水圧は、体全体のマッサージになります。
3つ目はリハビリ効果。浮力作用によりリハビリ効果が期待できます。
2.訪問入浴の対象者
訪問入浴の対象者は、主に要介護1以上の認定を受けた方です。
ただし、要支援1や2の方でも下記の条件つきで訪問入浴を受けることができます。
条件とは、自宅に浴槽がない場合や、感染症などが原因で施設で入浴できない場合などです。
訪問入浴サービスの利用を検討する場合は、主治医に許可をもらいましょう。
血圧の数値などによっては、入浴ができない場合もあります。
3.訪問入浴サービスのメリット・デメリット
3-1. 訪問入浴サービスのメリット
3-1-1. 体を清潔に保てる
訪問入浴サービスの大きなメリットは、体を清潔に保てる点です。
特に、寝たきりなど要介護度の重い方が入浴するのは難しいことが多いもの。
訪問入浴サービスを利用することで、看護師や介護職のサポートを得ながらご自宅での入浴が可能です。
3-1-2. リラックス効果
訪問入浴の目的は全身を清潔に保つことと心身機能を維持することです。
それだけではなく、浴槽に全身つかることで、リラックス効果も得られるでしょう。
3-1-3. 家族の負担を軽減
要介護度が重くなるほど、家族による入浴サポートの負担も大きくなります。
訪問入浴サービスを利用することで、負担は大きく軽減されるでしょう。
3-2. 訪問入浴サービスのデメリット
3-2-1. 費用が高い
訪問入浴サービスの一番のデメリットは、利用料金が高いことです。
訪問入浴を60分利用した場合の自己負担額(1割の場合)は約1,300円が相場です。
利用回数を増やしたくても経済的に難しいケースもあるでしょう。
3-2-2. 体を他人に見られるストレス
他人に体を見られることがストレスになってしまう場合も。
本人の意思をしっかり確認するようにしましょう。
4.訪問入浴サービス利用までの流れ
介護サービスを利用したことがない場合には、まずはケアマネージャーを選ぶ必要があります。
地域包括支援センターや介護保険窓口などで相談しましょう。
すでにケアマネージャーがいる場合にはケアマネージャーに相談すると良いです。
ケアマネジャーは利用者や家族の要望を聞いて、事業所をいくつか選びます。
事業所を選んだら同意書の作成と契約書を交わして契約が成立します。
5.訪問入浴サービス当日の流れ
訪問入浴サービスの当日は、訪問入浴専用の浴槽を乗せた車でスタッフが計3名来ます。
スタッフは看護師が1名と介護スタッフが2名です。
入浴の流れをこれから紹介します。
5-1. 健康チェック
健康チェックは、入浴前に看護師が行います。
身体の状況を確認し、入浴できるか判断します。
具体的には体温や血圧、呼吸などの測定を行います。
万が一、体調の関係で全身浴ができない場合は、身体の一部だけお湯につける部分浴や、蒸しタオルで身体を拭くサービスに切り替える場合もあります。
5-2. 入浴準備
入浴が可能であれば、入浴準備に移ります。
まずはスタッフが入浴に必要な器材の搬入と、簡易浴槽の組み立てを行い、お湯を貯めます。
準備が完了したら、スタッフが介助しながら利用者の脱衣を行います。
5-3. 浴槽への移動
スタッフが介助を行い、浴槽に移動します。
寝たきりの場合には、楽な姿勢で入浴できるよう入浴枕が使用される場合もあります。
5-4. 洗顔・洗髪
希望に沿って介護スタッフが髪や体を洗います。
身体の状況に配慮して洗身をしてくれるため安心です。
そのあとは、浴槽でゆっくりリラックスします。
5-5. 健康チェック
入浴が終わると、スタッフの介助で移動と着衣を行います。
そのあとは健康チェックです。
体温や脈拍、血圧、呼吸を測定します。
5-6. 機器の片付け
利用者の入浴が済んだら、介護職員は浴槽を片付けます。
使用したお湯は、利用者宅の排水へと排出されます。
5-7. 訪問入浴サービスの所要時間
入浴サービスの所要時間は、準備や片付けも含めて50分程度。
内訳は入浴準備に20分、入浴に10分、入浴後に20分です。
6.訪問入浴サービスの費用
訪問入浴サービスの費用は、回数によって決まります。
訪問入浴サービス一回あたりの料金目安は、要介護1以上の方は1,300円、要支援の方は900円程度です。
ただし加算内容は事業所ごとに異なります。
事前に確認をしておきましょう。
7.訪問入浴サービスの利用頻度
訪問入浴サービスの利用頻度の目安は週1から2回程度です。
予算や利用者の体調に合わせて増減が可能です。
保険が適用される利用回数が何回までなのかなど、詳しくはケアマネージャーに相談しましょう。
8.まとめ
人が生活を送る上で入浴は欠かせません。
しかし、入浴介助は重労働で負担も大きいもの。
特に寝たきりなどの要介護度が重い場合、家族だけでの入浴介助は転倒の可能性もあり危険です。
そういった場合でも、最低限の負担で入浴できるサービスが訪問入浴サービスです。
また、介護される方にとっても心身ともにリラックスできる機会となります。
まずはケアマネージャーに気軽に相談してみてください。