「カゾクを支える、カイゴを変える」
介護と親と向き合うサイト

要介護3とは自力での生活が難しい状態|費用や介護事例を丁寧に解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

「要介護3ってどんな状態なのかなあ」

あなたは今こんな悩みを抱えていませんか?

要介護は7つの段階があり、それぞれがどのような状態のことを指すのか、はっきりとよくわからないですよね。実際のところ、要介護者の状態は千差万別であり、同じ要介護度であったとしても、状態は様々です。

今回は、それも踏まえて、一般的な状態像の目安として、ご紹介させていただきます。

7つの段階の要介護度の中でも要介護3は介護度数が中度の「起き上がりや寝返りが自力ではできない状態」と言われています。

要支援1 日常生活の能力は基本的にあるが、要介護状態とならないように一部支援が必要
要支援2 立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで一部介助が必要だが、身体の状態の維持または改善の可能性手がある
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで一部介助が必要
要介護2 起き上がりが自力では困難。排泄、入浴などで一部または全介助が必要
要介護3 起き上がり、寝返りが自力ではできない。排泄、入浴、衣服の着脱など全介助が必要
要介護4 日常生活の低下が見られ、排泄、入浴、衣服の着脱など多くの行為で全介助が必要
要介護5 介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態。意思伝達も困難

要介護3は自力で生活をすることは難しく、誰かの補助が必要になります。

せめて、要介護3と認定されたらどのような生活スタイルをとれるのか知れたらいいですよね。

そこでこの記事ではまず、要介護3の方の状態を解説し、実際の要介護者3の方のケアプランをご紹介しました。

まずは1章と2章のケアプランをみて、要介護3はどんな状態か、どんな生活ができるのかを理解してください。

さらに後半では、要介護3の方の生活にかかる費用、要介護度が状態像の目安と大きく相違しており、かつ、したい生活が今の要介護度では出来ない場合の対処法を解説しています。

ぜひ最後までご覧になってください。

この記事を読むことで要介護3とはどのような状態であるのかを理解できます。

では解説していきます。

 1.要介護3とは起き上がりや寝返りが自力ではできない状態

要介護3の状態像の目安とは「起き上がりや寝返りが自力ではできない」状態のことをいいます。

排泄、入浴などで一部または全介助が必要です。

要介護1と2が一部介助が必要になると定義されているのに対し、要介護3からは介護への依存度があがり、全介助が必要になる と定義されています。

要介護度 状態
要支援1 日常生活の能力は基本的にあるが、要介護状態とならないように一部で支援が必要とする状態
要支援2 立ち上がりや歩行が不安定。排せつ、入浴などで一部の介助が必要だが、身体の状態の維持または改善の可能性がある状態
要介護1 立ち上がりが不安定で、排せつ、入浴などで一部介助が必要な状態
要介護2 起き上がりが自力では困難で、排せつ、入浴、衣類の着替えで全介助が必要とする状態
要介護3 起き上がり、寝返りが自力ではできず、排せつ、入浴、衣類の着替えなどで全介助が必要とする状態
要介護4 日常生活能力の低下が見られ、排せつ、入浴、衣類の着替えなど多くの行為で全介助が必要とする状態
要介護5 介護なしには日常生活を行うことがほぼ不可能で、意思伝達も困難な状態

そのため、要介護3と認定された方は、介護の必要度が高く訪問介護や通所介護、施設介護など、自宅にいながら受けることができるまたは施設で介護サービスを利用する方が多いです。

では次章から要介護者3の方の1週間の予定、ケアプランを解説していきます。

2 .要介護3のケアプランを紹介

介護保険は、要介護度によって月々の利用できるサービスの限度額が定められています。

また、負担額も要介護度ごとに設けられています。

そこで、要介護3の在宅介護のケースを紹介します。

時/曜日
6
7
8
9 身体介護A
10 デイサービス デイサービス
11
12 身体介護B 訪問看護
13
14
15 身体介護A 身体介護A 身体介護A
16
17
18
19
20

例:女性80歳、息子夫婦と同居中。

息子夫婦は、平日働いているため、平日の日中にサービスを集中させている。

身体介護A 20~30分未満(8回/週)
身体介護B 1時間未満(2回/週)
訪問看護 1時間未満(1回/週)
デイサービス 6時間(入浴介助付き)(2回/週)
福祉用具貸与 車いす
公的介護保険の自己負担額(一割負担) 31,028円(月額)

公的介護保険の中でケアプランを組むとやや介護が大変になり、介護疲れの原因になるかもしれません。

その場合は、保険外で土日のデイサービスや平日の夜に身体介護を頼むとよいでしょう。

身体介護:自宅での食事、入浴、排泄など身体に関わる援助

デイサービス:介護施設で、入浴や健康状態の確認などの支援を日帰りで受けるサービス

福祉用具貸与:日常生活の自立を助けるための福祉用具を貸与

訪問看護:看護師が自宅に訪問して行う療養の世話や診察の補助

 3.要介護3の方にかかる費用

ではここから要介護3の方にかかる費用を解説していきます。

介護をするとなると在宅介護か施設介護かのどちらかが考えられます。

それぞれの費用を解説していきます。

3-1. 要介護3と公的介護保険

介護認定を受けた場合、介護サービスを受ける際に介護保険を利用することができます。

区分 認定区分 区分支給限度額(1単位=10円の場合) 自己負担額(1割)
予防給付

(予防サービス)

要支援1 50,030円 5,003円
要支援2 10,4730円 10,473円
介護給付

(介護サービス)

要介護1 166,920円 16,692円
要介護2 196,160円 19,616円
要介護3 269,310円 26,931円
要介護4 308,060円 30,806円
要介護5 360,650円 36,065円

要介護2として利用できる公的介護保険の限度額は以下の通りです。

要介護3のサービスの利用限度額(1ヶ月)

認定区分 区分支給限度額(1単位=10円の場合) 自己負担額(1割)
要介護3 269,310円 26,931円

限度額を超えてサービスを利用した分は、全額自己負担となります。

介護サービスを利用した時の事業者への支払いは、原則として利用料の1割または2割、3割と決められています。(自己負担の割合は所得によって決まる)

*福祉用具購入費、住宅改修費はそれぞれ限度額がもうけられており、上記の支給限度額に含まれません。

・福祉用具購入費:1年間10万円(自己負担1万円または2万円、3万円)

 3-2.在宅介護の場合

公益財団法人家計経済研究所によると在宅介護にかかる介護費用の自己負担額は平均すると6万円であることが分かっています。

在宅での介護費用の内訳としては主にデイサービス、デイケア、訪問介護などが考えられます。

在宅で介護をする場合は他にも、光熱費や食費、生活費などがかかるため、それらを加味するとおおよそ10万円〜12万円ほどが在宅介護の費用の合計でかかります。

また在宅で介護をする場合は、初期費用としてご自宅に手すりをつけたり、段差を解消する必要がある場合、一時的に住宅改修費用が数十万円〜数百万円程かかることもあります。

ただし、その費用の一部は介護保険を利用すれば、1割から3割負担ですみます。

 3-3.施設介護の場合

では施設で介護をした時にかかる費用をみていきます。

施設での介護費用は要介護3以上が入居条件である特養老人ホーム、民間企業が運営する有料老人ホームの2つのを紹介していきます。

❐特養老人ホーム

社会福祉法人などに運営されている特養老人ホームは入居条件として「要介護3以上」という規定があるものの、費用面の安さや手厚い介護を受けられることからも待機者がでるなど非常に人気の介護施設です。

<多床室(複数人部屋)>

介護サービス費用(自己負担額) 約20,850円(695円/日)
居住費 約25,200円(840円/日)
食費 約41,400円(1,380円/日)
日常生活費 約10,000円
合計 約97,450円

多床室は1室に対して複数のベッドが配置されているタイプの部屋で、4人部屋となっている施設が多いです。

特別養護老人ホームの部屋タイプの中でも一番費用面で負担がかからないのがこの多床室で相場はおおよそ10万円前後です。

<ユニット型個室(個室)>

介護サービス費用(自己負担額) 約23,280円(776円/日)
居住費 約59,100円(1,970円/日)
食費 約41,400円(1,380円/日)
日常生活費 約10,000円
合計 約133,780円

ユニット型個室は多床室とは違い、プライベートが保たれる完全個室の部屋タイプです。

そのため、多床室に比べると費用がかかります。

ユニット型個室の費用相場は入居する方の食費、生活費によって変わるものの、10万円以上は必要になってきます。

  ❐有料老人ホーム

では次に民間が運営する有料老人ホームの費用を解説していきます。

下記は実際に要介護3の方が有料老人ホームを利用した際の費用の事例になります。

介護サービス費用(自己負担額) 約40,000円
居住費 約80,000円
食費 約45,000円
日常生活費 約10,000円
合計 約175,000円

民間が運営する老人ホームは特養老人ホームよりも月々の費用が高額になる施設が多いです。

また、民間の老人ホームは特養老人ホームと違い、入居時に一時金が施設によって必要になるケースがあります。

施設ごとに一時金の金額は違うので、入居を検討する際には、一時金は必要か、必要としたらどのくらい必要なのかを確かめておくようにしましょう。

4.要介護認定に納得出来ない時の2つのパターンを紹介

先程でも説明した通り、要介護認定によって、介護保険の月々の限度額、自己負担額が変わってきます。

要介護3と認定された方の月々に利用できる介護保険の限度額は269,310円です。

それに対し、要介護4に認定された方の月々に利用できる介護保険の限度額は308,060円で、要介護3よりも月々に約38,750円ほど違ってきます。また、利用料単価は、要介護3よりも要介護 4の方が高くなります。

このように、介護認定の段階によって、負担額や利用できるサービス量に差があるのです。

そのため認定された要介護度では、必要なサービスを利用することができない場合もあります。

そういった場合でなおかつ、要介護度の状態像の目安とは明確に相違がある場合には、要介護認定に対して、不服申し立てできます。

2つの異議申したて、申請方法を解説するのでいざという時は参考にしてください。

4-1.介護保険審査会に不服申し立てをする

認定結果に不服がある場合は、都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」という第三者機関に「審査請求(不服申し立て)ができます。

認定の通知を受けた翌日から60日以内に申請する必要があるので注意してください。

審査請求できるのは原則は被保険者本人ですが、代理人に委任して請求することも可能です。

判定が妥当であるかどうかが検討され、必要であれば要介護認定をやり直すことになります。

介護保険審査会に不服申し立てをした場合、審査結果が出るまでに数ヶ月ほどかかります。

4-2.区分変更を申請する

区分変更は認定後に心身の状態が変わり、介護の必要度が変わった場合に、次の更新(次の更新までの期間は3〜36ヶ月ほど)を待たずに認定調査する方法です。

流れとしては、再度認定調査を受け、主治医に意見書を発行してもらい、介護審査会を通して新たな要介護度が決定するというものです。

例えば、今までは要介護3の認定をうけていた母親が転倒し、状態が急激に悪化し介護の必要度が大きく高まりました。

息子は認定期間の終了を待たずに、区分変更を申請した所、要介護4の認定があり、親子ともに安心感を取り戻すことができた事例もあります。

区分変更をしたい場合は担当のケアマネージャーか、地域包括支援センターに相談するようにしましょう。

 5.まとめ

いかがだったでしょうか。

要介護3とは起き上がりや寝返りが自力ではできない状態でした。

介護サービスを上手に利用している事例を参考に、要介護者や家族の状況や意向に合ったケアプランを立てましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

ご相談はこちらから