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認知症の転倒予防にはコグニサイズ!注意力を鍛えて万全の対策を

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「認知症で転倒を繰り返す」「認知症の転倒を予防したい」という悩みを抱える介護者は多いと思います。

この記事では、認知症の転倒とはどんな場合に生じるのか、そして、転倒を予防するための「コグニサイズ」について解説します。

1.認知症の転倒原因は?

認知症の方は、なぜ転倒を繰り返すのでしょうか。

ここでは、体の特徴として転倒する危険の高い原因を2つご説明します。

1-1.注意力の低下

認知症によって様々な認知機能低下が生じますが、その中でも特に「注意力」が転倒と深く関連しています。

注意力とは、以下のような能力のことを言います。

・一度に2つ以上のことを同時にこなす(野菜を切りながら鍋の火加減を気にするなど)

・集中力を保つ(授業中、周囲の物音に気を取られずに先生の話を聞き続けるなど)

・たくさんの情報の中から必要なものを選ぶ(買い物に行き、多くの商品の中から必要な商品を選ぶなど)

注意力が低下すると、「歩いていて障害物にぶつかる」など、転倒の危険が高まります。

1-2.運動能力の低下

認知症はその名の通り、認知機能が低下する病気ですが、認知機能低下だけが生じるわけではありません。

人間の脳は単純ではなく、たくさんの神経回路が複雑に脳内を走っています。

そのため、認知症になると、認知機能低下だけでなく、何らかの運動能力低下も伴うのです。

また、加齢による筋肉の衰えや柔軟性の低下など、認知症とは直接関係ない変化も起こります。

よって、「最近よくつまずく」「靴下をはく時の片足立ちが不安定」などの経験が増え、転倒の危険が高まるというわけです。

◉認知症による歩行能力低下についてはこちら

認知症の歩行とは?その特徴や介助のポイント、転倒予防についてご紹介!

◉高齢者の転倒についてはこちら

〈内部リンク〉要介護になる10%以上の原因は転倒⁉高齢者の転倒の原因と対策を解説

2.転倒の危険性を簡単にチェックする方法

認知症の繰り返す転倒に悩むだけでなく、将来、転倒のリスクが高いかどうか気になる方は多いと思います。

そこで、注意力と運動能力それぞれの、転倒危険性を簡単にチェックする方法をご紹介します。

2-1.注意力低下による転倒の危険をチェック

注意力低下による転倒の危険は、「歩いている途中に話しかけるとどうなるか」でわかります。

ある研究で、歩いている途中に話しかけられた際に立ち止まってしまった高齢者は、将来転倒するリスクがとても高かったということが報告されています。

また、別の研究では、立ち止まらなくても、歩く速さがゆっくりになったり、歩く方向を間違えたりする場合も転倒のリスクが高いと報告されています。

つまり、歩きながら会話をすることが苦手な人は転倒注意です。

〈引用文献〉Stops walking when talking”as a predictor of falls in elderly people. 

〈引用文献〉Dual-task testing to predict falls in community-dwelling older adults: a systematic review

2-2.運動能力低下による転倒の危険をチェック

高齢者の転倒の危険を予測できるバランスのテスト「Functional Balance Scale(FBS)」をご紹介します。

FBSは、以下の14個のテストから成り、それぞれを0〜4点で採点し、全ての項目の合計が45点以下(満点は56点)であれば転倒の危険が高いと予測できるテストです。

1.椅子からの立ち上がり

2.立位保持

3.座位保持

4.着座

5.移乗(椅子から椅子へ移る)

6.閉眼立位保持(目を閉じて立位保持する)

7.閉脚立位保持(足を閉じて立位保持する)

8.上肢の前方リーチ(その場で前に手を伸ばしてバランスをとる)

9.床から物を拾う

10.左右の肩越しに後ろを振り向く

11.360°回転(その場で360°回る)

12.段差踏み替え(段差に足を交互にのせる)

13.継ぎ足での立位保持(前足の踵と後ろ足のつま先を合わせて立つ、平均台を歩くイメージ)

14.片脚立位保持(片足立ち)

◉FBSを実際にチェックする際はこちら

〈引用文献〉Functional Balance Scale(FBS)

3.認知症の転倒を防ぐ「コグニサイズ」

認知症の転倒を防ぐために最も効果が高い「コグニサイズ」をご紹介します。

コグニサイズとは、認知(cognition)と運動(exercise)を組み合わせた造語で、運動と脳トレを組み合わせたエクササイズのことを示します。

軽度認知機能障害(MCI)の方にコグニサイズを行った結果、認知症の進行を抑え、記憶力アップにも繋がったことが報告されています。

また、コグニサイズを行うポイントは、中等度のきつさの全身運動であること、脳トレは難し過ぎないこと、週に3回以上行うことで効果が上がることです。

では、具体的なプログラムを2つご紹介します。

3-1.計算ウォーキング

「100-3」の連続計算をしながらウォーキングを行います。

「100-3は97、97-3は94、94-3は91・・・」と声に出しながら歩きます。

「100-3」が簡単な場合は「100-7」で行うと難易度が上がります。

1人で行うより、ペアで交互に言い合いながら行う方が楽しみながらできます。

3-2.足踏み連想ゲーム

足踏みをしながら、リズムに合わせて連想ゲームを行います。

1人ではできないゲームなので、2人以上で行います。

方法ですが、「〇〇と行ったら△△」というように、前の回答者の発言から連想された単語を言います。

例えば、「バナナと言ったら黄色」「黄色と言ったら向日葵」「向日葵と言ったら夏」「夏と言ったら・・・」のように。

足踏みが簡単であれば、踏み台昇降に変更して行うのも良いでしょう。

〈引用文献〉認知症予防のための運動療法

〈引用文献〉国立長寿医療研究センター:コグニサイズー認知症予防へ向けた運動

〈引用文献〉認知症予防プログラム大分県

4.まとめ

認知症の転倒原因や転倒リスクのチェック方法、認知症予防のコグニサイズについてご紹介致しました。

認知症予防と足腰を鍛えるという一石二鳥のコグニサイズで転倒を予防しましょう。

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