
「介護ってお金がかかるな……」
「控除って何?介護にも適用される?」
「お金の話だと難しくてよくわからない」
そんな悩みを抱えていませんか?
介護保険制度のサービスには、医療費控除の対象となるものがいくつもあります。
その中の一つが老人ホーム。
この記事では、医療費控除の対象となる介護サービスを紹介します。
医療費控除への理解を深め、家計の負担を少しでも減らしましょう。
目次
1.控除とは
控除とは、ある金額から所定の金額を差し引くことです。
所得税などで「控除が適用される」場合、「控除が適用されない」場合と比べて少ない金額で税金を納められます。
1-1.老人ホームで控除が受けられる?
老人ホームでも施設や特定の条件に該当するのであれば、控除が受けられます。
基本的に控除の対象となるのは、扶養控除と医療費控除の2つです。
2.扶養控除
2-1. 扶養控除と扶養控除を受けられる条件
扶養控除とは、配偶者以外の親族(※)を養っている場合に受けられる所得控除です。
※対象となるのは、生計を一つにしていて、なおかつ年間の合計所得が38万円以下(給与のみの場合は給与収入103万円以下)である16歳以上の親族です。
この控除額は、扶養対象者につき38万円です。
ただし、扶養対象が高齢者の場合は、さらに多くの控除を受けられます。
具体的には、扶養対象者が70歳以上の場合は48万円の控除、加えて同居している場合には58万円の控除になります。
2-2. 別居していても扶養家族と見なされる場合も
扶養控除の条件は、「生計を一つにしている」ことです。
つまり、扶養対象の親族と別居していることは問題ありません。
例えば、扶養対象の親族に生活費や医療費を仕送りしている場合などには控除を受けられます。
3.医療費控除
3-1. 医療費控除とは
医療費控除とは、医療費が所定額を超えた場合に所得控除が受けられる制度です。
医療費控除額は、一年間に支払った医療費から、保険金などで補われている金額を差し引きします。
そこからさらに10万円を引いた金額が医療費控除額です。
式にすると以下のようになります。
医療費控除の金額 =実際に支払った医療費の合計額 ー 保険金などで補填される金額 ー 10万円
ただし総所得が200万円未満の場合は10万円ではなく総所得額に5%をかけた金額が差し引かれます。
医療費控除は最高で200万円であることにも注意が必要です。
3-2. 医療費控除を受けられる施設
医療費控除が受けられるのは、以下の介護保険の施設です。
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・指定地域密着型介護老人福祉施設
・介護医療院
・指定介護療養型医療施設
医療費として月額利用料を申請することができます。
ただし、上記に紹介した施設の中でも、日常生活費は申請の対象とならないので注意しましょう。
3-3. 介護サービスは医療費控除になる!
上記で紹介した介護老人保健施設と介護医療院、指定介護療養型医療施設は医療系施設サービス施設と呼ばれます。
医療系福祉サービスでは介護費と食費、居住費の全額が医療費控除の対象となります。
また、特別養護老人ホームと指定地域密着型介護老人福祉施設は福祉系サービス施設と呼ばれます。
福祉系施設サービスでは、介護費と食費、居住費の半額が医療控除の対象です。
3-4. 医療費控除でいくら戻ってくる?
医療費控除額の計算は以下の通りです。
医療費控除額=支払った医療費の合計ー(あ)ー(い)
(あ)=保険などで補填される金額
(い)=10万円(その年の所得が200万未満の場合はそう所得の5%)
例えば、同じ家計内で実際に支払った(補填された保険金額を差し引いた)医療費の総額が16万円だとします。
その場合の控除は16万円ー10万円=6万円です。
ただし、実際の還付額は医療費控除に所得税をかけた額です。
そのため、所得税が10%の場合は6,000円、20%であれば12,000円が目安です。
4.医療費控除を受けるには?
4-1. 医療費控除に必要なもの
まず、所得税の医療費控除を受けるためには、確定申告を行います。
確定申告は、税務署に確定申告書を提出することで行えます。
その際、「領収書を基に作成した医療費控除の明細書」の提出が必要です。
医療費控除のために必要なものは、①確定申告書②源泉徴収票③医療費控除の明細書④医療費の領収書⑤交通費の領収書(通院にタクシーなどの交通費がかかった場合)の5つです。
また、おむつ代も医療費控除の対象です。
その際、医師から「おむつ使用証明書」をもらいましょう。
申請の際に必要です。
4-2. 離れて暮らす親も医療費控除の対象に
医療費や介護費は家族(生計を一つにする親族)で合算して申請できます。
ただし同居していても、経済的に自立している場合には合算できません。
4-3. 高額介護サービス費の利用
高額介護サービス費とは、同一家計内での介護サービスの自己負担額の合計が所定額を上回ったときに、超過分が介護保険から払い戻される制度です。
この制度に基づいて払い戻された金額は、医療費控除の対象とはならないので注意しましょう。
5.特別養護老人ホームの入居者が控除申請できる費目
特別養護老人ホーム内でかかるお金の中にも控除申請できるものがあります。
特別養護老人ホームとは、在宅生活が困難になった要介護の高齢者が入居できる介護保険施設です。
「特養」とも呼ばれます。
この特別養護老人ホームでも、介護費用や食費などのサービス費用の半額が医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象となるサービスは、施設側から受け取る領収書の中に記載があります。
ただし、医療費控除を受ける条件は所得によって変わるので注意しましょう。
6.医療費控除が受け取れる在宅介護サービス
介護保険施設へ入居せずに、在宅で介護サービスを受けている場合でも、いくつかのサービスは医療費控除の対象です。
例えば、訪問看護や訪問リハビリ、通所リハビリなどの医療系サービスでは医療費控除が適用されます。
しかし、訪問介護、通所介護などの福祉系サービスは基本的には医療費控除の対象とはなりません。ただし訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリなどの医療系サービスを併用している場合には、訪問介護などの福祉系サービスのうち、生活援助中心のサービスを除いたものについては、その利用分も控除対象となります。
また、福祉用具の貸与等は医療費控除には含まれません。
7.領収書やレシートを保管しておきましょう
医療費控除の申請には、領収書またはレシートが必要です。
「これは控除の対象になるのかな……」と思うレシートがあれば保管しておきましょう。
わからないことがあれば、居住地区の税務署に問い合わせてみると良いです。
8.まとめ
老人ホームでは医療費控除を受けられます。
そのために確定申告をしたり、控除に該当しているか調べるのは手間がかかるかもしれません。
しかし、控除できるのであればかなりお得でしょう。
医療費控除の対象となるサービスは地区によって異なる場合があります。
地区のホームページや税務署に確認すると良いでしょう。