人工透析での介護は何を気を付ければいい?
透析治療をしていても入居できる施設はあるの?
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
人工透析とは、腎臓の働きの一部を人工的に補う治療法で、主に腎不全の患者に行われます。
2017年時点では、国内で33万人が受けている人工透析ですが、週に3回程度の通院で1回あたり4~5時間の治療を行います。
この記事では、精神的にも負担が大きい人工透析について解説します。
目次
1.人工透析とは
人工透析とは、腎臓の働きの一部を人工的に補う治療法で、主に腎不全の患者に行われます。
腎臓には、体内の毒素を分解したり余分な水分を尿として排泄する役割があり、慢性の腎不全になると、体内の老廃物が出せなくなってしまいます。
その結果、思考力の低下や頭痛、吐き気など、尿毒症症状が現れます。
慢性腎不全の治療法は、主に人工透析か臓器移植です。
しかし、日本では臓器移植の治療は少なく、人工透析の治療が一般的です。
2.人工透析の種類
人工透析には、主に血液透析と腹膜透析の2種類があります。
そして、日本では、患者の約97%が血液透析を選択しています。
2-1.血液透析療法
血液透析療法は、機械に血液を通し、血液中の老廃物や不要な水分を除去し、血液をきれいにする方法です。
一般的な血液透析では、1週間に2~3回程度、透析を行う施設に通い、だいたい4時間以上をかけて血液を浄化します。
2-2.腹膜透析療法
腹膜透析療法は、お腹の中に透析液を入れ、腹膜を使って透析を行う、自宅でできる透析療法です。
一般的な腹膜透析では、1日に4回程度で透析液と言われる液の交換を行います。
月に1度の通院で管理が可能なため、体への負担や生活への影響が軽減できます。
ただし、この治療法を継続できるのは約5年とされています。
2-3.血液透析と腹膜透析の比較
血液透析療法 | 腹膜透析療法 | |
透析場所 | 医療機関 | 自宅 |
治療時間 | 週に3回程度を4~5時間 | 1日30分程度を4回 |
通院回数 | 週に3回程度 | 月に1回程度 |
食事制限 | 水分、塩分、カリウム、リン、タンパク質の摂取量に制限 | 制限はないが、水分、塩分、カリウム、リン、タンパク質を取りすぎてはいけない |
旅行 | 旅行先で透析施設を利用できれば可能 | 旅行先に機械や透析液を手配することで可能 |
起こりやすいトラブル | 〇不均衡症候群
細胞の内側と外側で成分のバランスが乱れ、頭痛や吐き気などが起こります。 治療の初期に現れることが多く、しばらくすると和らぐことが主です。 〇血圧変動 透析中は血圧が乱れやすいです。 冷や汗やあくび、目の前が暗くなるなどの症状が出た場合は、スタッフに申し出ましょう。 |
〇感染
器具と皮膚を清潔に保つ必要があります。 赤みや痛み、腫れなどがみられた場合は、かかりつけ医を受診しましょう。 〇透析液の貯留 透析液がうまく排出できず、腹膜の中で溜まってしまう場合があります。 体重の著しい増加などがみられるときには医師に相談しましょう。 |
3.生活や介護における注意点
3-1.シャントを守る
シャントとは、動脈と静脈をつなげることで、動脈で勢いよく流れる血液を、静脈へ流すことです。
シャントは透析を続けていくうえで必要不可欠です。
長持ちさせるために、シャントの閉塞や感染などを予防しましょう。
毎日シャント部分を観察し、1日2回は耳を当てて音を確認しましょう。
また、シャント部分に触れて拍動が正常に感じられるかの確認も大切です。
そして、感染しないように常に清潔を保つことも大切です。
透析日は針跡からの細菌侵入を防ぐため、浴槽での入浴は避け、シャワー浴にとどめましょう。
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/cure/hemodialysis/everyday-life/
3-2.厳密な栄養管理
透析生活をを行う上で、栄養管理も欠かせません。
医療従事者や管理栄養士によって決められたカロリーを守り、1日3食をしっかりと食べましょう。
カリウムの制限 | 高カリウム血症を防ぐために、摂取量に気をつけましょう。 カリウムは、果物、生野菜、芋類、肉類に多く含まれています。 野菜は水にさらしたりゆでこぼしたりすることで、カリウム量を減少できます。 また、ドライフルーツにはカリウムが濃縮され多量に含まれているので、食べないように注意しましょう。 |
水分と塩分の制限 | 塩分を摂りすぎると、むくみ・高血圧を起こしやすく、心臓への負担が大きくなります。さらに、喉が渇き水分がほしくなり、水分管理が難しくなります。
透析治療を終えてから次の透析までの間に、体重が増えすぎないように注意しましょう。 |
禁酒・禁煙 | 飲酒、喫煙はできるだけやめるようにしましょう。 |
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/cure/hemodialysis/everyday-life/
4.介護施設に入居できる?
血液透析の場合、医療機関との連携や食事管理が必要となるため、受け入れが難しい場合も少なくはありません。
しかし、最近では医療機関との連携を強め、積極的に受け入れをしている施設も増えつつあります。
透析治療患者を受け入れている有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、通院にかかる時間の削減や大きな安心感を得ることができます。
4-1.人工透析をされている方が老人ホームを選ぶときのポイント
人工透析をされている方が老人ホームを選ぶときのポイントを紹介します。
・人工透析に関するケアに熟練したスタッフが在籍している
・透析が行える医療機関との連携が整っている
・医療機関への送迎サービスがある(無料だとなおよい)
・食事制限に柔軟に対応している
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
人工透析の患者を介護する際は、シャント部分を清潔に保つケアや厳密な栄養管理が重要です。
また、最近では、医療機関との連携を強め、積極的に受け入れをしている施設も増えつつあります。
施設を選ぶ際は、人工透析に関するケアに熟練したスタッフが在籍している点や透析が行える医療機関との連携が整っている点に注意してください。