「介護現場の防災で特に気をつけることはある?」
「高齢者が災害時に直面する問題は?」
そのような疑問を持ってませんか?
日本は地震大国とも言われ、その他の災害も多い国の一つです。
特に介護現場では、自力での避難が困難な高齢者や、避難所での特別なケアを必要とする方を抱えていることから、常に防災意識を高めておく必要があります。
この記事では、介護現場で必要な備えや災害時に必要な高齢者へのケア、家庭でも備えられるものなどについて紹介します。
目次
1.介護現場の防災
1-1. もしもの時に備える
世界の国々と比較しても日本は災害が多い国の一つです。
内閣府によれば、世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数約20%、活火山数7%、災害被害額約18%となっています。
これは、日本の国土面積が世界の0.25%であることを考えると非常に高い割合です。
1-2. 介護現場における防災の必要性
介護現場では、自力での避難が困難な高齢者や、特別なケアを必要とする方がいます。
そのため、普段から災害時の対応を考えておく必要があります。
平時の備えが、災害時のパニックを防ぎ被害を最小限に抑えることに繋がります。
2.高齢者が災害時に直面する問題
2-1. 自力での避難が困難
日常生活において介護を必要とする方々は、自力での避難が困難な方も多いです。
また、自力で避難できる能力がある方でも、長時間の移動に対しては体力面や怪我のリスクなどを考慮する必要があります。
2-2. 避難生活への適応
災害の種類や規模によっては、長期間に及ぶ避難所での生活が必要です。
そのような場合に、ストレスが身体や精神に影響し、避難生活への適応をより困難にすることがあります。
さらに、慢性的なストレスは認知症の悪化や、避難所生活への不適応行動を促してしまうリスクもあります。
3.介護現場で必要な備え
3-1. 安全な避難経路の確保
災害が起きた時に、どこに、どのように避難すれば良いかを事前に知っておくことが大切です。
さらに、安全な避難経路を複数把握しておけば、万が一の際にも安心でしょう。
また、施設内の避難経路は常に広く空けておいたり、非常用ライトを常備しておくと良いです。
3-2. 必要物資の備蓄確認
災害時に備えて、水や保存食を備蓄しておきましょう。
備蓄量の目安は3日分と言われています。
可能であれば、1週間程度常備しておくと安心です。
3日分の備蓄量の目安は、一人当たり水9L、9食、毛布1枚程度です。
3-3. 家具の固定
建物や家具の倒壊から身を守るためにも、大きな家具はしっかりと固定しましょう。
家具の固定は、大怪我を防ぐだけではなく、避難経路の確保にも繋がります。
3-4. 緊急連絡先の把握
避難所で生活する可能性を踏まえ、介護施設にいる方々の緊急連絡先を把握しておきましょう。
また、その際は家族や友人だけではなく、かかりつけ医やケアマネージャーの連絡先も知っていると安心です。
必要な連絡先を把握しておくことは、避難生活でも適切な介護を受けることにも繋がります。
3-5. 防災訓練への参加
日頃から防災訓練に参加することで、緊急時にも落ち着いて行動しやすくなり、被害を最小限に抑えられます。
また、地域によっては自治体が防災訓練を実施しています。
地域住民との繋がりを作ることで、災害時の助け合いにも繋がるでしょう。
3-6. 停電対策
災害の規模や種類によって、電力の供給が止まってしまうこともあります。
安全に避難し、またその後も安心して生活するためにも、非常用ライトやガスコンロなど、停電時の対策をしてくこと安心です。
4.災害時に介護施設に求められること
大規模な地震がおきたら、介護施設では施設内の方々の避難と並行して、安全確認を行う必要があります。
今後も安全に施設を使用するために、建物の毀損や倒壊の恐れ等を確認します。
具体的な点検項目については、内閣府の指針を参考にし、普段からチェックシートを用意しておくと良いでしょう。
https://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/kinkyuutenken_shishin/index.html
5.災害別対策
5-1. 地震対策
地震対策としては、第一に家具を固定しましょう。
ベッドのそばに重いものや倒壊の恐れのあるものを置かないことも大切です。
また、災害時の速やかな避難や救助のため、避難経路を広く空けておきます。
5-2. 台風対策
台風の被害が大きくなりやすい地域においては、早めに避難できるようにしておくことが大切です。
台風の情報をチェックし、高齢者等避難開始のアナウンスがあった時点ですぐに対応できるように準備しておきましょう。
また、浸水してしまった場合の対策や、冠水して車が使えない時の対策なども事前に考えておくと良いです。
6.災害時に必要な高齢者へのケア
6-1. 避難スペースの確保
災害時のために避難経路を広く空けておくことはもちろん、高齢者にとっては避難先でのケアも非常に大切です。
避難所ではできるだけトイレに近いスペースを確保したり、軽く運動ができる場所を探したりすると良いです。
6-2. 精神的サポート
災害時には、慣れない避難所での生活によりストレスが溜まりやすいです。
そうした不安定な精神状態は、持病を悪化させてしまうこともあります。
また、避難所によりますが、保健師や臨床心理士などがサポートしてくれる場合には積極的に利用しましょう。
6-3. 食事面
災害時や避難所では、普段通りの食生活を送ることが困難な場合もあります。
なるべく食事に配慮してもらうように相談しましょう。
また、介護食や義歯持参の有無、排泄の変化などについて確認することも大切です。
7.家庭でも準備できるもの
7-1. 介護食
災害時に避難所で生活する場合には、普段と異なる食生活を送ります。
被介護者の負担を出来る限り減らすために、普段から防災食と同様に介護食を常備しておきましょう。
介護食の中には、調理の必要がないものも販売されています。
また、折に触れて保存期限確認し、期限が切れる前に消費しましょう。
7-2. 医薬品
常に服用している薬がある場合には、十分に備蓄しておきましょう。
災害時には、薬を一つずつ持ち出す余裕がないため、普段から1週間分程度を持ち出せるようにしておくと安心です。
また、万が一薬がなくなってしまった時に確保できる可能性を高めるため、お薬手帳を携帯することも大切です。
8.まとめ
まとめると、日本は災害が非常に多い国であり、いつどこで避難が必要になるかわかりません。
普段からの備えが被害を最小限に抑えることに繋がります。
また、災害時に発生する問題としては、介護現場特有のものも多々あります。
災害時の負担をできるだけ減らせるように、介護食や医薬品の常備、防災訓練への参加、緊急連絡先の把握などに気を配っておきましょう。