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延命治療はどこから?延命治療で後悔しない準備と進め方を詳しく解説

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「延命治療ってどこから?」

「延命治療についてよくわからないけど、高額な医療費がかかりそう……」

そういった悩みを抱えていませんか?

延命治療に賛成のシニアは、実は9%というデータもあります。

この記事では、延命治療の内容や入院費、メリット・デメリット、本人の意思を尊重するために準備しておくことなどを詳しく解説します。

1.延命治療とは

延命治療とは、一時的に命をつなぐことを目的として、医療措置を施すことです。

医療行為を行わない場合には短期間で命が失われることが必至である場合に行われます。

たとえば、人工呼吸や人工透析があげられます。

1-1. 延命治療に賛成のシニアは9%

平成29年版の高齢社会白書の報告によると、延命治療を希望している65歳以上のシニアは約9%です。

ご本人が本当に延命治療を希望しているかを聞いておくことは、ご本人の尊厳を最期まで尊重することに繋がるでしょう。

2.延命治療の内容

2-1. 人工呼吸

人工呼吸とは、呼吸機能が低下して自力で呼吸できない方に行われる治療です。

一度人工呼吸器を取り付けると、外すことはかなり難しくなります。

自力で呼吸ができるようになれば、人工呼吸器を外すことができます。

2-2. 人工栄養

人工栄養とは、自力で口から食事ができない方に行われる治療です。

具体的には、点滴や胃ろうから栄養と水分を人工的に取り入れて生命機能を維持する処置をさします。

胃ろうとは、腹部に小さく穴を開けてチューブを差し込み、直接流動食を注入する方法です。

2-3. 人工透析

人工透析は、腎臓の機能が低下して血液の老廃物を除去できない方に行われる治療です。

人工透析を用いて、血液中の老廃物を除去したり、水分量を維持する処置を行います。

3.延命治療の入院費と高額療養費制度

延命治療は、長期間の入院になることが多いです。

そのため、継続的に医療費がかかることを認識しておく必要があります。

基本的には医療保険が適用され、自己負担額は1割から3割になります。

また、どのような延命措置を施すかによって負担額も異なります。

3-1. 人工呼吸

3割自己負担の場合での終末期の入院治療平均額は、1日あたり約3万円から10万円です。

人工呼吸の費用は、どのような病気で入院するか、また何日間入院するかによって大幅に異なります。

死亡退院の場合では、平均の入院日数が19.1日です。

​​http://www6.plala.or.jp/brainx/elcost.htm

3-2. 人工栄養

人工栄養の費用の内訳は、胃ろう造設と胃ろう交換、人工栄養剤に分けられます。

胃ろう造設には約10万円がかかります。

そのためには1週間程度の入院が必要で、10万円前後かかります。

胃ろうの交換には、約3万円ほど、人工栄養剤には、1ヶ月あたり2万円から3万5千円かかります。

3-3. 人工透析

延命治療で人工透析を行う場合の費用は、1ヶ月あたり30万円から50万円かかります。

ただし、人工透析の主な対象者は慢性腎不全の方です。

慢性腎不全の方は、年収により自己負担額が異なります。

年収が770万円未満の方は月に1万円、770万円以上の方は月に2万円が自己負担額です。

※慢性腎不全の場合、障害者の制度が適用になります。

4.延命治療のメリット・デメリット

4-1. メリット

4-1-1. 家族の負担が軽減される

延命治療を行う場合は、基本的に入院になります。

在宅で治療を行っていた場合に必要だった、見守りや服薬管理等の負担を軽減できます。

4-1-2. 最期に向けた準備ができる

延命治療を施さなければ、ご本人はすぐに命を維持できなくなります。

そこで延命治療を施すことで、最期に向けた準備の時間を設けられます。

4-2. デメリット

4-2-1. 本人の意思が尊重されないことも

急な事故や病気の場合、ご本人と意思疎通が測れない可能性もあります。

そのようなとき、本人の意思とは無関係に延命治療が施される場合もあります。

たとえば、交通事故後に家族がとっさの判断で人工呼吸器を繋いでしまうなどのケースがあげられます。

4-2-2. 医療費負担が大きくなる

延命治療は、継続的に施す治療です。

上記の通り、月々の医療負担額は大きくなります。

また、いつまで延命治療の医療費がかかるかわからないという点も不安なところです。

4-2-3. 家族の精神的負担になる場合もある

延命治療について、ご本人と話し合っていなかった場合や、気が動転してご本人の意思とは無関係に延命治療を施してしまった場合、家族の精神的な負担になる可能性もあります。

また、家族で延命治療の継続をやめると判断した場合にも、精神的な負担が大きいでしょう。

5.延命治療以外の医療

5-1. 通院

延命治療を行わない場合には、通院は主な方法の一つです。

その際の目的は根本的な治療ではありません。

病気の状態を定期的に診てもらいつつ、鎮痛剤を処方してもらう対処療法になります。

5-2. 緩和ケア病棟

病気の進行具合や痛みの程度があまりにも大きい場合には、一般的な通院ではなく、緩和ケア病棟に入院することもあります。

緩和ケア病棟は、症状緩和の専門家がおり、ご本人も家族も安心して任せられる環境です。

5-3. 在宅療養

住み続けた自宅で療養することもできます。

自宅で在宅介護を続けつつ、病気の進行具合によっては入院等に切り替えることもできます。

6.事前指示書を作成しよう

6-1. 事前指示書とは

事前指示書とは、ご本人との意思疎通が難しくなる前に、最期を迎えたい場所や、して欲しくない処置などを記しておくことができます。

事前指示書は、別名リビング・ウィルとも呼ばれます。

最期までご本人の意思を尊重しやすいというメリットがあります。

6-2. 事前指示書の作成にあたって注意すべきこと

ご本人だけではなく、家族と共に考え、話し合う姿勢が大切です。

判断に迷った時には、医師やケアマネージャーなどにも相談してみましょう。

よく考えたり、話し合ったりする必要があるため、時間をかけて作成すると良いです。

6-3. 事前指示書の内容

事前指示書には、最期を迎えたい場所や心肺蘇生の有無、輸血、胃ろうの造設などを記載します。

また、事前指示書は書き換えも可能です。

一度に全て決めてしまうことは精神的な負担も大きいため、修正しつつ事前指示書を完成させましょう。

7.まとめ

まとめると、延命治療とは、一時的に命をつなぐことを目的として、医療措置を施すことです。

医療行為を行わない場合には短期間で命が失われることが必至である場合に行われます。

延命治療には、家族の負担軽減などのメリットがありますが、本人の意思が尊重されないなどのデメリットもあります。

事前指示書を余裕を持って作成しておくなど、最期まで本人の意思を尊重させられるように周到に話し合っておくことが大切です。

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