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【費用早見表】老人保健施設の費用を抑えるための制度とポイント4つ

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「介護老人保健施設の費用っていくらかかるんだろう…」

あなたは今こんな不安や疑問を抱いてはいませんか?

介護老人保健施設 請求事業所数

   (出典:厚生労働省「介護給付費実態調査」(各年5月審査分~翌年4月審査分)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf

 

上記のグラフは日本に存在する介護老人保健施設数の推移です。

見ていただくとわかるように、介護老人保健施設の数は年々、増えてきています。利用する上での費用は、施設によって異なってくるため施設の数が増えるほど幅が変化していきます。

しかし介護老人保健施設を利用を考える中で、平均費用、費用の目安を知っておくことは非常に大切なことになります。

そこで、この記事では介護老人保健施設の費用目安を施設のタイプ別で紹介しつつ、費用を抑えるための知識や費用についての大切な考え方を解説していきます。

 

是非この記事を読んでいただいて、介護老人保健施設の利用を検討してください。

1.介護老人保健施設の費用目安を表で解説

費用

それでは介護老人保健施設の費用目安を表で見ていきましょう。

 

まずは、施設の部屋のタイプ別の「居住費」と「食費」の目安金額についてです。

 

居住費目安 食費目安 合計目安
従来型個室 49,200円(1,640円/日) 41,400円(1,380円/日) 90,600円/月
多床室 11,100円(370円/日) 41,400円(1,380円/日) 52,500円/月
ユニット型個室 59,100円(1,970円/日) 41,400円(1,380円/日) 100,500円/月
ユニット型個室的多床室 49,200円(1,640円/日) 41,400円(1,380円/日) 90,600円/月

 

上記のように、介護老人保健施設の部屋のタイプは4つあります。もちろん施設によって居住費、食費の設定は違いますので、費用の目安として考えておいてください。

それでは次にサービス体系による費用と、上記の表と合わせた月にかかる費用の合計をみていきましょう。

 

従来型個室(基本型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

20,940円/月

(698円/日)

22,290円/月

(743円/日)

24,120円/月

(804円/日)

25,680円/月

(856円/日)

27,210円/月

(907円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

111,540円 112,890円 114,720円 116,280円 117,810円

出典:厚生労働省

 

従来型個室(在宅強化型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

22,170円/月

(739円/日)

24,300円/月

(810円/日)

26,160円/月

(872円/日)

27,840円/月

(928円/日)

29,490円/月

(983円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

112,770円 114,900円 116,760円 118,440円 120,090円

出典:厚生労働省

 

多床室(基本型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

23,130円/月

(771円/日)

24,570円/月

(819円/日)

26,400円/月

(880円/日)

27,930円/月

(931円/日)

29,520円/月

(984円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

75,630円 77,070円 78,900円 80,430円 82,020円

出典:厚生労働省

 

多床室(在宅強化型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

24,540円/月

(818円/日)

26,760円/月

(892円/日)

28,620円/月

(954円/日)

30,300円/月

(1,010円/日)

31,950円/月

(1,065円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

77,040円 79,260円 81,120円 82,800円 84,450円

出典:厚生労働省

 

ユニット型個室(基本型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

23,310円/月

(777円/日)

24,660円/月

(822円/日)

26,520円/月

(884円/日)

28,110円/月

(937円/日)

29,640円/月

(988円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

123,810円 125,160円 12,7020円 128,610円 130,140円

出典:厚生労働省

 

ユニット型個室(在宅強化型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

24,660円/月

(822円/日)

26,880円/月

(896円/日)

28,740円/月

(958円/日)

30,420円/月

(1,014円/日)

32,070円/月

(1,069円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

125,160円 127,380円 129,240円 130,920円 132,570円

出典:厚生労働省

 

ユニット型個室的多床室(基本型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

23,310円/月

(777円/日)

24,660円/月

(822円/日)

26,520円/月

(884円/日)

28,110円/月

(937円/日)

29,640円/月

(988円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

123,810円 125,160円 12,7020円 128,610円 130,140円

出典:厚生労働省

 

ユニット型個室的多床室(在宅強化型)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
保険適用

1割負担の場合

24,660円/月

(822円/日)

26,880円/月

(896円/日)

28,740円/月

(958円/日)

30,420円/月

(1,014円/日)

32,070円/月

(1,069円/日)

月額合計目安

(居住費+食費+サービス費)

125,160円 127,380円 129,240円 130,920円 132,570円

出典:厚生労働省

 

いかがでしょうか?上記の表は目安になります。

上記表の基本型、在宅強化型のサービス体系のほかに、その他型、療養型などの体系もあり、また体制の状況により加算体系も施設によって違います。

介護老人保健施設は、「公的」な施設のため、入所一時金は必要ありません。なので比較的に低コストで利用できる施設となります。

まずはこの表を見て費用の目安にすることで、すべての介護でかかる費用の算出に役立てましょう。

 

2.<タイプ別>老人保健施設の部屋の費用

第1章でご紹介した表を見ながら、もう少し細かく費用についてお話していきます。

 

−1. 一番高額なユニット型

一番高額なタイプのサービスはユニット型個室でかつ在宅強化型のものになります。

ユニット型とは、9人または10人で1組とし一緒に生活をしていきます。トイレやキッチンなどをユニットの全員で共有して使用し、家族のように過ごしていきます。10人の大家族で生活し、一人一人の部屋が用意されているようなイメージになります。介護職員は1ユニットに常時1人以上つくことが決まっており、生活をサポートしてくれます。

高額な理由は、「居住費」が高くなることがあげられます。1人1部屋用意してくれるので、アパートを借りるようなものです。またその施設の設定によってこの「居住費」は変動するので、詳しい料金を知りたい場合は検討している施設に問い合わせしましょう。

 

2−2. 一番費用が安い従来型多床室

ユニット型個室とは違い、1番費用を安くすませることができるのが「多床室」と呼ばれる部屋のタイプです。

多床室は、病院の1室を想像していただくとわかりやすいかもしれませんが、部屋に2台〜4台のベッドが用意された中で他の入居者と一緒に睡眠をとるタイプの部屋になります。

個室とは違い、パーソナルスペースが少ないことや1人の時間を作ることが難しいため、費用が抑えられることになります。

人間関係の構築が苦手な人や、1人の生活を好む方には合わないタイプの部屋ですので、入居を考える際は入居者の方の性格を考える必要があるので注意しましょう。

 

それでは次の章から、費用を抑えるためのポイントとなる知識を紹介します。知らないと損をすることがありますのでしっかり覚えておきましょう!

 

3.費用を抑えるためのポイント4つ紹介

3ー1.介護保険適用外の費用を考えましょう

まず前提として、先ほどまで紹介していた介護老人保健施設の平均費用ですが、「居住費」「食費」「サービス費」この3つの合計になります。

しかし施設を利用し生活していく中で、生活に必要な費用が別途かかってきます。

例えば携帯電話ですが、通信費や本体のお金を自己負担金になります。そもそも携帯をもてない施設も存在しますが、そういう施設の場合家族と電話するための通信費などは「その他費用」として請求されます。他にも「洗濯」「理美容」「新聞紙などの読み物」といった生活で使用するものの料金が「その他費用」に含まれます。

ただこの料金の内容にも施設によって差があるため、費用を抑えたい方は「その他費用」として請求されるものに何があるかを調べてみましょう。

 

3ー2.高額医療高額介護合算療養費制度を解説

高額介護合算療養費制度というものがあります。

こちらの制度は、「医療保険」と「介護保険」の両方を利用する世帯を対象とした制度です。自己負担額がかなりの高額になってしまう場合に負担を減らしてくれます。医療保険と介護保険の自己負担額を足して限度額を超えた場合に、超えた分の金額がかえってきます。対象となる期間は1年間で毎年8月1日〜翌年7月31日では限度額はいくらなのかを、表でみていきましょう。

 

対象区分 70〜74歳の方のみの自己負担限度額 70歳未満を含む自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上または課税所得690万円以上(70歳以上:現役並み所得者Ⅲ) 212万 212万
標準報酬月額53~79万円または課税所得380万円以上
(70歳以上:現役並み所得者Ⅱ)
141万 141万
標準報酬月額28~50万円または課税所得145万円以上
(70歳以上:現役並み所得者Ⅰ)
67万 67万
標準報酬月額26万円以下または課税所得145万円以下
(70歳以上:一般)
56万 60万
世帯全員が市区町村民税非課税者 31万
かつ合計所得金額と課税年金額の合計が年額80万円以下の場合:19万
34万


次に支給例をみていきましょう。

[実際の例:80歳以上で標準報酬28万~50万円の方の場合]
55歳のAさん(被保険者)は医療サービスの自己負担金52万、80歳のお母さん(被扶養者)は介護サービスの自己負担金35万円支払っているとします。この場合、52万円+35万円=87万円となります。この世帯の自己負担限度額は67万円なので、87万円ー67万円=20万円となり、この20万円が返ってくる制度になります。ただし次に説明する高額介護サービス費や高額療養費の制度を利用して還付された金額分は除外されます。この制度は申請をしないと費用が返ってこないので、知らずに損をしている場合があります。なので自分がどの対象区分になるのか、またどのように手続きをしたらよいかという詳しい情報は、お住みの市区町村の役所にいって確認しましょう。

 

3−3.高額介護サービス費を解説

 

高額介護サービス費という制度は、その月に支払った自己負担額の合計が決められた額を超えた時に、超えてしまった分の費用が返ってくるという制度です。では表で簡単にこの制度で定められている自己負担限度額をみていきましょう。

対象者 自己負担限度額
生活保護受給者(個人) 15,000円/月
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方(世帯) 24,600円/月
世帯内のどなたかが市区町村民税を課税されている方(世帯) 44,400 円/月
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方(世帯) 44,400 円/月

 

いかがでしょうか?表をみていただけたらわかるかと思いますが、どんな場合でも月の自己負担金が44,400円を超えていれば利用できる制度になります。知らないと損をすることになるので覚えておきましょう。

また自己負担金の対象外として、ショートステイを含む介護保険施設での食費や居住費、日常生活費などの自己負担分や、介護のために実家を改修した費用、介護に必要な用品の購入費用などがあるので併せて覚えておきましょう。

 

先ほど紹介した「高額医療高額介護合算療養費制度」と同様、申請をしないと返ってくることはないので注意が必要です。こちらの制度も知らないと損をする内容です。逆に知っていて利用をすれば、高額な自己負担金もある程度抑えられます。

 

3−4.特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)を解説

介護保険施設やショートステイでは、「居住費」「食費」の一部を負担してくれる場合があります。実際にかかった負担額と所得や預貯金等の資産額によって決められた負担限度額の差額分を市区町村が施設に払うことにより、利用者の負担を減らす制度です。対象となるのは、特養、老健、療養病床の入居者とショートステイの利用者です。グループホームやデイサービス、小規模多機能は対象外です。所得などによって減額幅は異なりますので、役所にいって確認をしましょう。

こちらの制度ももちろん申請が必要で、「介護保険負担限度額認定証」を役所の介護保険の担当窓口で交付を受ける必要があります。詳細は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、役所の介護保険課のどこかに相談しましょう。

 

この章では4つの費用を抑えるためのポイントとなる制度を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?似たような名前が続きましたし、なかなか細かい内容まで理解するのが難しい方もいらっしゃると思うので、まずはケアマネジャーや役所の窓口にいって確認することをお勧めいたします。

 

4.介護老人保健施設を利用する上での注意点

それでは最後に、介護老人保健施設を利用する上での注意点をお話して終わりにしたいと思います。

 

4−1.3ヶ月後には退去しなくてはいけない場合があります

介護老人保健施設の目的は、あくまでも「在宅復帰」です。そのため入居期間は原則3ヶ月〜6ヶ月ほどになっています。

しかし現実は特養の待機に利用する方も多く、平均滞在日数は329.3日となっています(介護サービス・事業所調査2010年9月)。

このように実際には長期間入居している方も珍しくありませんが、施設の都合にあわせて退去をしなければいけない場合もあります。

実際に身体の調子がよくなり、3ヶ月で退去しなくてはいけなくなったが何も自宅の介護準備をしていない、他の施設を探していないという状態は避けましょう。

いつ退去になってもいいように、施設を移動するのであれば次の施設を、在宅介護に移行する場合は在宅介護で使えるサービスの検討をしておきましょう。

5.まとめ

いかがだったでしょうか?介護老人保健施設の費用について、また費用を抑えるポイントと注意点を解説しました。大切なのは、制度をしった上でしっかりと「申請をする」ことです。申請をしないと返ってくるはずのお金が返ってこず、払わなくていいお金を払ってしまうことになります。是非この記事を参考に、ケアマネジャーや役所の窓口と相談していき介護における費用負担を減らしてください。

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