「起き上がり介助の正しい方法を知りたい」
「起き上がり介助の負担を軽減させる方法を知りたい」
そういった悩みを抱えていませんか?
高齢になると、起き上がりや立ち上がりの動作を行いにくくなります。
起き上がる際の無理な動作は、介助者にも被介護者にも大きな負担となるでしょう。
この記事では、起き上がり介助の基本的な流れや起き上がり注意するポイント、最後には介護ベッドも紹介しています。
被介護者に最適な方法や介助を楽に行うコツを知って、起き上がり介助の負担を減らしましょう。
1.起き上がり介助とは
起き上がり介助とは、寝ている人を起こしたり、そのまま車椅子などに移乗する際に行う介助です。
起き上がり介助は介護における基本的な動作です。
1-1. 起き上がり介助の基本的な注意点
介助では、介助者が被介護者ご自身の自立を支えることが重要です。
起き上がり介助を行うとき注意すべきことは、過度な手伝いを避けることです。
本人の自立した動作を補助するイメージを持つと良いです。
2.起き上がり介助の手順
2-1. ベッドからの起き上がり
この章では、ベッドからの起き上がりの手順を紹介します。
step1
被介護者の腕を胸の前で交差させ、膝を曲げます。
step2
介助者は被介護者が起き上がる側のベッドサイドに立ちます。
step3
被介護者の肩と膝に手をあて、起き上がる方向に横向きにします。
介助者は被介護者の体を寝かせたまま、腕を被介護者の首の下を通して入れ、もう片方の手で両膝のあたりを持ってベッドから下ろします。
step4
左手を被介護者の頭の下に、右手を被介護者の骨盤あたりに当て、起こす準備をします。
被介護者のでん部を軸にして、頭が弧を描くように起こします。
被介護者が体を起こしたら、被介護者がバランスを崩して倒れないよう両手で体を支えて少し様子を見ます。
2-2. ベッドから車椅子への移乗
この章では、ベッドから車椅子への移乗の手順を説明します。
step1
車椅子はベッドの側面に対して約30度の角度で設置し、必ずブレーキをかけて足置きを上げます。
step2
被介護者の足が床につく程度に浅く腰掛けてもらいます。
step3
介助者は両足を前後に大きく開いてかがみ、両腕を被介護者の腰に巻きつけるように沿わせます。
この時、被介護者の両腕は介助者の肩に回してもらいます。
step4
介助者は被介護者の体を手前に引くようにして体重を足に移動させます。
step5
介助者は、車椅子に近い方の足を支えにして、被介護者の体を車椅子の方向に向けます。
介助者は被介護者の脇を支えて車椅子に移乗させます。
3.起き上がり介助のポイント
3-1. 声かけ・環境整備
3-1-1. 介助前の声かけや体調確認
起き上がり介助を始める時には、被介護者に声をかけましょう。
被介護者がスムーズに動かせない部分などがある可能性もあります。
その日の体調や痛みを感じる部分についても確認すると良いです。
3-1-2. 車椅子は事前に準備
ベッドから車椅子へ移乗する場合には、車椅子はあらかじめ準備しておくと良いです。
その際、2-2でも紹介したように、ブレーキをかけることと足置きを上げることも忘れず行いましょう。
実際に移乗する際には、ベッドの高さが介助姿勢の重心の高さにくるように調整しましょう。
3-2. 被介護者が起き上がりやすい姿勢
被介護者が起き上がりやすい姿勢を保つことも大切です。
具体的には、被介護者の体を完全に横向きにすることや、あごを引いたり、かかとを下ろしたりすると良いです。
3-3. 自然な体の動きに合わせた介助
被介護者の体の自然な動きに合わせて介助を行いましょう。
たとえば、被介護者の顔は起き上がる方向に向けたり、被介護者の自然な重心移動を利用して体を起こすと良いです。
介助者の腕の力だけを使って被介護者の体を無理に動かしてしまうと、ケガの原因にもなります。
4.これだけは避けたい!起き上がり介助のNG例
4-1. 首だけを支える介助
被介護者の首のみを支えて起き上がり介助を行うと、首に大きな負担がかかります。
介助者は腕を被介護者の首に回し、手は背中のあたりを支えることが大切です。
4-2. 体を密着させない介助
被介護者に体を密着させて、起き上がり介助をすることが大切です。
体を離したまま介助を行うと、介助者の腰を痛めやすくなります。
4-3. 介助直後にすぐ被介護者から離れる
起き上がり介助直後に被介護者から離れてしまうと、被介護者の転倒の可能性が高くなります。
被介護者の肩を両手で支えて体を安定させ、しばらく様子を見るようにしましょう。
4-4. 無理に被介護者の体を動かそうとする
被介護者の体を無理に動かそうとするとケガのリスクが高まります。
被介護者の自然な体の動きに合わせて、起き上がりをサポートするイメージで介助しましょう。
5.起き上がり介助に役立つ介護ベッド
起き上がり介助のモーターベッドには3種類の機能がついています。
この章では、それぞれの機能の内容と介護度に合わせたおすすめの介護ベッドを紹介します。
5-1. 介護ベッドの機能
5-1-1. 背上げ機能
「背上げ機能」とは、ベッドの背中部分が電動で起き上がる機能です。
「背上げ機能」により、筋力が弱っていても楽に起き上がれます。
5-1-2. 高さ調整機能
「高さ調整機能」とは、電動で簡単にベッドの高さを変えられる機能です。
「高さ調整機能」により、介助者が楽な姿勢で介助できます。
5-1-3. 膝上げ機能
「膝上げ機能」とは、ベッドの膝部分が電動で起き上がる機能です。
「膝上げ機能」があると、背上げをする際の体のずれを抑えられます。
5-2. 介護度に合わせたおすすめの介護ベッド
5-2-1. 1モーターの介護ベッド
1モーターの介護ベッドとは、「背上げ機能」か「高さ調整機能」のどちらかがついた介護ベッドです。
背上げや高さ調整などの機能があれば、ほぼ自力で起き上がれる方におすすめです。
5-2-2. 1+1モーターの介護ベッド
1+1モーターの介護ベッドとは、「背上げ機能」と「膝上げ機能」がついた介護ベッドです。
自力では起き上がることができない方や、背上げの際に体のずれを抑えたい方におすすめです。
5-2-3. 2モーターの介護ベッド
2モーターの介護ベッドとは、「背上げ機能」と「高さ調整機能」の両方がついた介護ベッドです。
背上げ機能を用いて自力で起き、高さ調整を用いて立ち上がりまでできる方におすすめです。
起き上がりと立ち上がりに慣れてきた方のリハビリ等にも最適です。
5-2-4. 3モーターの介護ベッド
3モーターの介護ベッドとは、「背上げ機能」と「高さ調整機能」、「膝上げ機能」が備わった介護ベッドです。
それぞれの機能を個別に調整もできます。
自力で起き上がりや立ち上がりを行うことが難しく、1日のほとんどをベッドで過ごす方に最適です。
6.まとめ
起き上がり介助の被介護者は、自力で動けない方から、ある程度は自力で起き上がれるもののサポートが必要な方までさまざまです。
サポートが必要な度合いは、その時の体の調子や、痛みを感じる部分があるかによっても異なります。
起き上がり介助を行う時は、声かけや事前準備を大切にし、被介護者の自然な動きに合わせて介助を行いましょう。
また、被介護者の自立のサポートや、介助の負担軽減に最適なのが介護ベッドです。
被介護者のニーズに合わせて介護ベッドの導入を検討することをおすすめします。