大切な人が亡くなったときに起こる悲嘆反応は誰にでも起こり得ることですが、中には長期的に症状が続いてしまうこともあります。
そのため、悲嘆反応についての正しい知識を持っておくことは非常に大切なのです。
本記事では、悲嘆反応の主な症状や一般的な経過、病気になるリスク、対処法などについて詳しく解説します。
悲嘆反応は一般的に生きていると誰にでも訪れる大きな精神的な苦痛となりますので、、ぜひ最後まで読んで悲嘆反応について理解を深めてみてください。
悲嘆反応(グリーフ)とは?
悲嘆反応とは、何かしらを喪失したときに発生する身体的・精神的・認知的・行動的な反応の総称を指します。
悲嘆反応が発生するもっとも多いケースとしては、家族や友人、恋人などとの死別が挙げられ、死別によって悲嘆反応が起こることを特に「ビリーブメント(死別反応)」と呼ぶことが一般的です。
悲嘆反応(グリーフ)の主な症状
悲嘆反応には、身体的・精神的・認知的・行動的の4つの症状があります。
具体的な症状について、以下の表に詳しくまとめました。
身体的な症状 | 精神的な症状 | 認知的な症状 | 行動的な症状 |
|
|
|
|
悲嘆反応では、大きなショックに反応してこれらの症状が出ることが多いです。
悲嘆反応(グリーフ)の一般的な経過
悲嘆反応では2段階の経過を経て通常の精神状態に回復するようになります。
具体的な悲嘆反応の経過は以下の通りです。
- 急性期
- 慢性期
それぞれの経過について、以下で詳しく解説します。
1.急性期
急性期は、悲嘆反応が発生してから数週間〜数ヶ月の期間です。
急性期では、大切な人が亡くなったという事実を受け入れることができずに感情が麻痺してしまいます。
悲しいはずなのに悲しい感情や辛い感情が湧いてこないにも関わらず、精神的には非常に辛いと感じる期間となります。
急性期はまだ現実を受け入れられてないことも多く、周囲からはしっかりしている、精神的に強い人と思われることがある一方で、冷たい人、悲しくないのかななどのネガティブな印象でみられてしまうこともあります。
2.慢性期
慢性期は、悲嘆反応が発生してから数ヶ月が経過した段階のことです。
慢性期になると大切な人が亡くなったことを自分の中で正しく理解することができるようになります。
そのため、悲しみや怒り、罪悪感、不安感、孤独感など、さまざまな精神的な感情の変化がみられるようになります。
また、慢性期になると前を向いて歩き出そうと考える方がいる一方で、喪失感の大きさから立ち直ることができずに精神的な病気になってしまう方もいるのです。
悲嘆反応(グリーフ)を乗り越えられない場合のリスク
悲嘆反応は、辛く悲しいという体験によって発生しますが、時間経過によって前向きな精神状態になっていくことが多いです。
しかし、中には悲嘆に耐えることができずにさまざまな精神的な病気になることがあります。
悲嘆反応によって引き起こされる可能性のある具体的な病気は以下の通りです。
- うつ病
- PTSD
- 不安障害
悲嘆反応はこのような精神障害を引き起こす可能性があるため、場合によってはかかりつけ医に相談することも大切です。
悲嘆反応(グリーフ)の対処法
悲嘆反応は誰にでも訪れるもので、すべての症状に医学的な処置が必要ではありません。時間の経過とともに症状を見守ることも一般的です。
しかし、悲嘆反応の中にはうつ病やPTSDなどの精神的な病気を引き起こす可能性もあるため、精神的な病気が見られる場合は早めに医師に相談することも大切になります。
また、ひとりで抱え込むのが辛い場合は、カウンセリングなどを受けるのもひとつの対処法となります。
悲嘆反応をひとりで抱え込んでしまう方も多いですが、相談先はたくさん用意されているということを覚えておくといいでしょう。
まとめ
本記事では、悲嘆反応の主な症状や一般的な経過、病気になるリスク、対処法などについて詳しく解説しました。
悲嘆反応は誰にでも訪れるものですが、大切な人を失ってしまったときのショックには個人差があり、立ち直れないほど大きなショックを受けてしまうこともあります。
普段から落ち込むことやショックを受けることが少ないという方であっても、悲嘆反応によって精神的な病気になることも決して珍しいことではありません。
そのため、しっかりと悲嘆反応についての理解を深めて、いざ自分がその立場になったときに適切な対処をできるようにしましょう。