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介護療養型医療施設とは?専門家監修で徹底解説

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介護療養型医療施設とは、重度の要介護者に対して、充実した医療処置とリハビリを提供する施設です。

今回は、介護療養型医療施設について専門家監修のもと解説していきます。

1.介護療養型医療施設の特徴

ではここから介護療養型医療施設の特徴を「どんな施設か」「入居条件」「提供されるサービス」「設備」「費用」「介護・医療体制」の6つの観点から解説していきます。

1-1.介護療養型医療施設は重度の要介護者をケアする施設

介護療養型医療施設(以下、療養病床)とは急性期の治療を終えたものの寝たきりや医療依存度が高いなどの理由で在宅介護が難しい人に対して、介護保険制度の施設介護サービス計画に基づき、入居者の世話を行う施設のことをいいます。

「施設」といっても一般的な病院と変わりません。

特養老人ホーム、老人保健施設などの介護保険の他の施設サービスと違い、療養病床は療養を目的としている施設です。

そのため、重度の持病をもっていても入居することができる介護施設となります。

*しかし、介護療養型医療施設は以下の2つの理由から2024年3月末に介護型の療養病床が「介護医療院」へ転換、廃止されることが厚生労働省のなかで決定しています。

①療養病床は医療療養型病床との区別があいまい(3章で解説します)。

②医学的には入院の必要がなく、在宅での療養が可能であるにもかかわらず、家庭の事情により病院で生活をしている「社会的入院」が多い。

また、療養病床は2012年から新設が認められておらず、施設数が減少しているため、満床のところが多くなっています。

1-2.介護療養型医療施設の入居条件

療養病床の入居条件は要介護1以上の認定を受けた方です。

その他にも伝染病などの疾患がなく、病気での長期入院などを必要としないことなど、施設によって条件が細かく定められています。

入居できるのは要介護1からですが、実際の入居者をみてみると8割以上が要介護4、要介護5以上の方で構成されている事が以下の表からわかります。

(出典:厚生労働省 平成29年度介護サービス施設・事業所調査の概況より)

1-3.介護療養型医療施設で提供されるサービス

1-1でも説明したとおり、療養病床は療養を目的とした施設でした。

そのため、サービス内容も入浴・排せつ・食事などの介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、および療養上の世話などから痰の吸引、胃ろう、酸素吸入、経鼻栄養といった医療ケアが中心になります。

逆に、レクリエーションなどのサービスはほとんど提供されません。

1-4.介護療養型医療施設の設備

医療ケアが目的の療養病床は医療の設備も充実しています。

療養病床は病院に併設されているところが多く、病院の1フロアが療養病床となっているところもあります。

一般的な医療ケアにおいて必要な設備はもちろんのこと、機能訓練室、談話室、浴室なども備えられています。

部屋のタイプでは共同部屋となる多床室以外にも1人1部屋を利用することができる「ユニット型個室」や多床室をパーテーションなどで個室に区切った「ユニット型個室的多床室」があります。

部屋の利用料金は「従来型個室」「多床室」「ユニット型個室」「ユニット型個室的多床室」の順に価格があがるため、予算にあった部屋選びをするようにしましょう。

施設によっては、多床室しか部屋タイプがないという所もあるため、事前にどのような部屋のタイプがあるのかを確認しておくと良いでしょう。

「多床室」「従来型個室」「ユニット型準個室」「ユニット型個室」の順に価格があがります。入居する本人の希望と、家庭の予算を考え、最適な部屋タイプを選ぶと良いでしょう。

1-5.介護療養型医療施設にかかる費用

療養病床の費用は以下の表の通りです。

サービス費用 利用者負担額(1割)(看護6:1+介護4:1)

(1日につき )1単位=10円

療養病床を有する病院の場合 従来型個室

療養機能強化型A

従来型個室

療養機能強化型B

従来型個室

その他

要介護1 673円 663円 645円
要介護2 782円 769円 748円
要介護3 1,016円 1,001円 973円
要介護4 1,115円 1,098円 1,068円
要介護5 1.205円 1,187円 1,154円

 

サービス費用 利用者負担額(1割)(看護6:1+介護4:1)

(1日につき )1単位=10円

療養病床を有する病院の場合 多床室

療養機能強化型A

多床室

療養機能強化型B

多床室

その他

要介護1 783円 770円 749円
要介護2 891円 878円 853円
要介護3 1,126円 1,108円 1,077円
要介護4 1,225円 1,206円 1,173円
要介護5 1,315円 1,295円 1,258円

 

サービス費用 利用者負担額(1割)(看護6:1+介護4:1)

(1日につき )1単位=10円

療養病床を有する病院の場合 ユニット型個室

療養機能強化型A

ユニット型個室

療養機能強化型B

ユニット型個室

その他

要介護1 800円 790円 771円
要介護2 908円 896円 875円
要介護3 1,143円 1,128円 1,099円
要介護4 1,242円 1,225円 1,195円
要介護5 1,332円 1,314円 1,280円

 

サービス費用 利用者負担額(1割)(看護6:1+介護4:1)

(1日につき )1単位=10円

療養病床を有する病院の場合 ユニット型個室的多床室

療養機能強化型A

ユニット型個室的多床室

療養機能強化型B

ユニット型個室的多床室

その他

要介護1 800円 790円 771円
要介護2 908円 896円 875円
要介護3 1,143円 1,128円 1,099円
要介護4 1,242円 1,225円 1,195円
要介護5 1,332円 1,314円 1,280円

 

療養病床に入居するときに入居一時金払う必要はありません。

1-6.介護療養型医療施設の介護・医療体制

療養病床は国から「病院」という施設の区分わけがなされています。

そのため、療養病床の介護・医療体制は医療ケアが必要な人にとって安心できるものになっています。

具体的には以下の人員配置がなされています。

  配置人数
医師 入居者48人に対して1人(3名以上)
看護・介護職員 入居者6人に対して、それぞれ1人
リハビリスタッフ 理学療法士または作業療法士は実情に応じた適当数
介護支援専門員 入居者100人に対して1人以上

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174013.pdf

医療処置が必要な方にとっては療養病床は充実した介護・医療体制となっています。

以上が介護療養型医療施設の特徴になります。

2.介護療養型医療施設のメリット・デメリット

ではここから療養病床のメリット・デメリットを解説していきます。

メリット デメリット
医療ケアが充実している 症状が改善されれば、退去を求められる
医療依存度が高くても入居することができる イベント・レクリエーションが少ない
容体が悪化しても一般病棟への移動が可能

2-1.介護療養型医療施設の3つのメリット

療養病床のメリットは主に3つあります。

①医療ケアが充実している

1つ目のメリットが医療ケアが充実していることです。

1章でも解説したとおり、寝たきりや、常時医療処置が必要になる医療依存度が高い方は療養病床に入居することが望ましいでしょう。

痰の吸引、カテーテル、インスリン治療、胃ろう、酸素吸入、経鼻栄養といった専門的な医療処置を療養病床では受けることができます。

②医療依存度が高くても入居することができる

療養病床は医療ケアの設備、人員体制が整っているため、医療依存度が高くても入居することができます。

逆に医療処置が常時必要のない方は入居を断られることが多いです。

例えば、特別養護老人ホームや老人保健施設では、症状が安定せず、入院治療の必要がある場合には入所を断られる事が多いです。

それに対し、療養病床は医療処置專門の施設になっているため、医療依存度が高くても施設に入所することができます。

③容体が悪化しても病院への移動が可能

療養病床は病院に併設している施設が多いです。

そのため、容体が悪化し、手術が必要であるなど緊急な状態である場合はすぐに病院への移動をし、処置を受けることができます。

緊急時への対応などが気になる家族も療養病床に預ければ、病院と近い施設であるのは非常に安心でしょう。

以上が療養病床のメリットになります。

2-2.介護療養型医療施設のデメリット

では次に療養病床のデメリットについて解説していきます。

デメリットは主に2つあります。

①症状が改善されれば、退去を求められる

療養病床の目的は医療処置が必要な方に対して医学的管理を行うことであるため、もしも症状が改善されれば退去を求められりことも多くあります。

そのため、終身利用することができないかもしれないケースもあり、その後の在宅介護や他の施設を利用することを考えておかなくてはいけません。

②イベント・レクリエーションが少ない

療養病床は医療処置をする事が目的になるため、施設内でのイベントやレクリエーションがほとんど行われません。

また、一般的な老人ホームに比べて個人のスペースが少なく、あくまでも病院へ入院という色合いが強くなります。

以上が療養病床のデメリットになります。

3.介護療養型医療施設と医療療養型病床との違い

ではここから「介護療養型医療施設と医療療養型病床との違い」について解説していきます。

よく介護療養型医療施設と医療療養型病床は間違えられます。

この2つの区別は難しいですが、介護療養型医療施設には介護保険が適用され、医療療養型病床には医療保険が適用されます。

医療依存度の高い場合は医療療養病床の方が利用されるケースがよくあります。

1章でもご説明したとおり、医療型と介護型の区別があいまいなことからも、介護療養型医療視閲の廃止が2024年3月末に決定しています。

・利用できる保険のタイプ(療養病床は介護保険、医療療養型病床は医療保険)が違うこと。

・医療療養病床の方が医療依存度が高い場合に利用されるということ。

この2点が介護療養型医療施設と医療療養型病床との違いになります。

覚えておくと便利です。

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