疥癬とはどんな感染症?
高齢者は疥癬になりやすいのは本当?
疥癬はどのように予防すればいいの?
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニが人の皮膚に寄生して発症する感染症です。
免疫力の低下している高齢者は、感染する可能性が高いと言われております。
この記事では、疥癬の種類や原因、予防法について解説します。
目次
1.疥癬とは?
疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニが人の皮膚に寄生して発症する感染症です。
免疫力の低下している高齢者に感染しやすいと言われており、介護施設や医療機関での集団感染も少なくありません。
また、年間を通して感染するリスクがあります。
疥癬は、人から人へ感染するため、早期発見・早期治療が大切です。
1-1.ヒゼンダニとは?
ヒゼンダニは、0.2~0.5㎜と小さいため肉眼ではほとんど見えません。
ヒゼンダニのメスは、皮膚の角質に入り込んで穴を掘り、1日2~3個ずつ、4~6週間は卵を産み続けます。
ヒゼンダニは皮膚から離れると長く生きられないため、皮膚にとどまります。
また、乾燥や高熱に弱く、50℃以上の環境では10分ほどで死滅するといわれています。
2.疥癬の種類
疥癬には通常疥癬と角化型疥癬の2種類があります。
2-1.通常疥癬
通常疥癬は、一般的な症状を指します。
手首やお腹、わきの下、肘の内側など柔らかい部分に発生することが多いです。
疥癬特有に線状の皮疹が現れ、激しいかゆみを伴います。
特に夜間は、かゆみが強まりやすく、不眠になってしまうこともあります。
2-2.角化型疥癬
角化型疥癬は、角質が増殖する点が特徴的です。
手首やお腹、わきの下、肘の内側などにざらざらした角質が付きます。
かゆみは人によって出ない場合もあります。
他人への感染力は、通常疥癬よりも強いです。
2-3.通常疥癬と角化型疥癬
通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
ダニの数 | 1000匹以下 | 100~200万匹 |
感染者の免疫力 | 正常 | 低下している |
感染力 | 弱い | 強い |
かゆみ | 強い | ない場合もある |
3.疥癬の原因
疥癬には2つの感染経路があります。
3-1.直接経路
長時間のあいだ肌が触れ合うことで感染します。
比較的、短期間では感染しにくいです。
3-2.間接経路
間接経路では、感染した方の衣服や寝具を使用することで感染します。
特に、角化型疥癬の場合は、感染する可能性が高まります。
一緒に暮らすご家族に症状が現れた場合には、注意が必要です。
4.疥癬の治療法
疥癬の治療法は主に2つです。
4-1.塗り薬
殺虫効果のあるフェノトリンやイオウ剤、クロタミトン、安息香酸ベンジルなどの外用薬を用いて治療します。
また、塗る前には、角質をなるべく取り除きましょう。
4-2.飲み薬
内服薬は、イベルメクチン(ストロメクトール®)が保険適応になっております。
副作用に肝障害が現れる場合があるため、注意が必要です。
5.疥癬の予防法
5-1.パジャマや下着は毎日交換する
パジャマや下着は毎日交換しましょう。
衣服にはダニが住んでいる可能性もあるため、清潔に保ちましょう。
5-2.タオルやシーツは共有しない
疥癬は、寝具や衣類を経由して感染する可能性もあるため、なるべく共有することは避けましょう。
5-3.手洗いをする
手洗いは必ずしましょう。
手に感染することも多いため、入念にすることが重要です。
また、手洗いは疥癬以外の感染症予防にも有効です。
5-4.日々、皮膚の観察を行う
着替えや入浴の際に皮膚の状態を観察しましょう。
皮膚の湿疹やしこり、線状の皮疹があった場合には、疥癬を疑いましょう。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
疥癬には直接経路と間接経路の2つの感染経路があります。
そのため、毎日パジャマや下着を交換したり、他人とタオルやシーツを共有しないことを心がけることで予防が可能です。
また、疥癬は、人から人へ感染するため、早期発見・早期治療が大切です。
線状の皮疹や異常な量の角質があった場合には、疥癬を疑いましょう。