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軽度認知障害(MCI)とは?特徴的な症状と受診方法や対策を紹介

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「最近、もの忘れが増えたかもしれない」

「以前に比べて段取りが悪くなった気がする」

家族にこのような症状が見られれば、軽度認知障害(MCI)の可能性があります。

日本人の65歳の4人に1人が認知症または軽度認知障害(MCI)なのはご存知でしたか?

軽度認知障害(MCI)は、困難なく日常生活を送ることができるため、気づかずに見逃してしまう可能性もあり危険です。

また、発見の遅れが症状の経過に影響することもあります。

軽度認知障害(MCI)について理解を深めることで、症状が進行した時に落ち着いて対応できたり、認知症を予防できます。

この記事では軽度認知障害の定義や症状、診察を受ける方法、最後には軽度認知障害を改善するトレーニングも紹介しますので、一緒に学んでいきましょう。

目次

1.軽度認知障害(MCI)とは? 

軽度認知障害(MCI)は、簡単に言えば認知症の手前の段階です。

軽度認知障害はMCI(Mild Cognitive Impairment)とも呼ばれています。認知機能に問題が生じていますが精神疾患ではありません。日常生活への影響はほとんどなく、もの忘れが主な症状であることが多いです。

「日常生活に問題ないなら大丈夫か…」と思ったのではないでしょうか?

放っておくと、そのまま認知症に移行する可能性が高いです。正しく知って、軽度認知障害(MCI)と上手く付き合っていきましょう。

1-1.軽度認知障害(MCI)の臨床的な定義4

軽度認知障害(MCI)の臨床的な定義を4つご紹介します。

(1) 認知機能レベルが低下していることが本人または家族から認められる

(2) 記憶などの認知機能に障害があると客観的に示される

(3) 日常生活に支障がない

(4) 認知症とはいえない

1-2. 65歳以上の4人に1人が軽度認知障害(MCIまたは認知症

厚生労働省によれば軽度認知障害(MCI)または認知症と診断された人は862万人いるとされ、これは65歳以上の高齢者のうち4人に1人です。

さらに、高齢化社会に伴い、増加が見込まれています。軽度認知障害(MCI)や認知症は今後より身近なものになっていくでしょう。

2.軽度認知障害(MCI)は「記憶障害型」と「非記憶障害型」に分かれる

軽度認知障害(MCI)は、大きくは「記憶障害型」と「非記憶障害型」に分かれます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

2-1.「記憶障害型」の多くは、アルツハイマー型認知症に移行する可能性が高い

「記憶型障害」はその名の通り、記憶障害が生じているものを指します。このタイプは、将来アルツハイマー型認知症に移行する可能性が高いと言われています。

軽度認知障害(MCI)の段階では、自立した日常生活を送ることが可能です。

2-2. 「非記憶障害型」は気づきにくいため注意が必要

「非記憶障害型」は記憶以外の認知障害がある場合を指します。記憶以外の認知とは、注意力や計算力、判断力、言語力、遂行力を指します。

もの忘れ等の症状がなく、普段から会話をしている家族でも気づきにくく注意が必要です。

3.軽度認知障害(MCI)の症状

ここからは、具体的な軽度認知障害(MCI)の症状についてご紹介します。

3-1. こんな症状ありませんか?

以下に示す症状があれば軽度認知障害(MCI)かもしれません。

✔️少し前に聞いたことを忘れ、確認を繰り返す

✔️大きなニュースを忘れている

✔️段取りが悪くなる

✔️道に迷う

✔️話についていけない

✔️人の名前が出て来にくくなった

 3-2. 認知症のリスクを早めに知ろう

軽度認知障害(MCI)は認知症への移行率が高いことも危惧されています。

ただし、発症までの速度は人それぞれです。適切な対策を講じることで発症を遅らせられる可能性があります。

4.家族が軽度認知障害(MCI)かも?診断を受けることのメリット・デメリット

家族が軽度認知障害(MCI)かも?と思ったときは、検査を受けることができます。

ここからは検査を受けるメリットとデメリットを紹介します。

 4-1. 診断を受けることのメリット

まずはメリットを見ていきましょう。

4-1-1. 早期発見が認知症の予防対策

軽度認知障害(MCI)の発見が早いほど、認知症に移行するのを阻止したり、移行スピードを遅らせれたりします。

回復率を上げるためにも、早期発見が鍵となるのです。

出来るだけ早く診断を受けることで早めに対策でき、回復にも繋がるのは間違いありません。

4-1-2. 症状が進行する前に認知症への知識を深められる

認知症に移行してしまう前に認知症についての知識を深められます。

認知症についてや受けられるサービスなどを前もって調べておくことで、本人の症状が進行してしまった場合にも焦らずに対応できるしょう。

4-1-3. 今後の治療や介護について話し合う機会になる

検査をきっかけに、今後の治療や介護について話し合う時間を持つことができます。

また検査の結果によらず、限りある人生をどのように生きたいか改めて考える機会にもなるでしょう。

4-2. デメリットもある?本人への伝え方に注意

MCIの検査は使い方によってデメリットが生まれる場合もあります。

ポイントを押さえ、検査を上手く活用していきましょう。

4-2-1. 強引に病院へ連れて行くと今後の関係性が悪くなる

ご本人が病院に行きたくないと思っている場合や、そもそもご本人に軽度認知障害(MCI)の自覚がない場合があります。

ご本人の気持ちを無視して強引に病院に連れて行ってしまうことで、家族や医師との関係が悪くなる場合もあるでしょう。

4-2-2. 伝え方次第では今後の治療に影響が出る

家族が軽度認知障害(MCI)かもしれないと思った場合は、それとなく確認するようにしましょう。

ストレートに伝えて本人が傷ついてしまうと、病院に不安や怖さを感じて治療に影響が出る可能性があります。

5.ご本人を傷つけないようにチェックするには

家族の行動を見て、

「もしかして軽度認知障害(MCI)かな?」

そう思ったときは、ご本人を傷つけずにチェックしてみましょう。

簡単な方法を2つご紹介します。

5-1. 会話の中で質問する

会話の中で簡単な質問をしてみましょう。

たとえば、今日食べたものや今日の日付、先ほどまで話していた会話の内容についてなどです。

記憶型障害があると、これらの質問に答えられない場合があります。

問い詰めるように聞くのではなく、会話の中でそれとなく質問してみましょう。

5-2. 日常生活で変わった様子はないか観察する

記憶以外の認知機能が低下している場合は、以前出来たことが出来なくなっていることがあります。

たとえば、段取りよく料理していた人ができなくなったり、簡単な計算に時間がかかるようになったりするなどです。

気づきにくい場合もあるため、注意して観察してみましょう。

6.診断するときは何科に行けばいいの?

医師の診断を受けるには、一般的には神経内科、精神科、心療内科、脳外科、あるいは、「もの忘れ外来」という専門外来で診てもらえます。

軽度認知障害(MCI)の原因は様々で、それによって専門医も変わります。

どの病院にいけばいいか迷ったら、まずはかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。

軽度認知障害(MCI)のスクリーニング検査自体は採血のみです。

その2~3週間後に結果を受け取ることが出来ます。

7.軽度認知障害(MCI)と診断されたら

実際に軽度認知障害(MCI)と診断され、ショックを受けることもあるでしょう。

しかし、軽度認知障害(MCI)は認知症ではありません。

認知症のリスクを事前に発見できたということであり、MCIと診断された全員が認知症に移行するわけではないことも覚えておいてください。

7-1. 認知機能低下を予防するには健康な生活が大切

症状の移行速度を遅らせるためには、毎日の生活が鍵を握ります。

医師から処方された薬に頼るのではなく、日常生活も改善していきましょう。

7-1-1.  運動編

生活の中に運動を取り入れてみましょう。運動は、認知症を誘発する生活習慣病や脳血流の改善に効果的なだけでなく、その他の認知機能を改善する効果も見込めます。

より効果を高めたい場合は、複数の動作を同時に行ってみましょう。

たとえば、ウォーキングしながら昨日の食事を思い出してみたり、体操しながら計算したりするなどです。

脳の機能を刺激し、認知機能改善が期待できるでしょう。

7-1-2.  食事編

食事に気を配ることは健康管理の基本であり、認知症予防においても同じことが言えます。

三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)はもちろん、ビタミンやミネラルなどの必要な栄養素をしっかり取るようにしましょう。

糖質の取りすぎは生活習慣病の原因となるため注意が必要です。

無理なく続けられる形で、少しずつ食生活を改善していきましょう。

7-1-3.  認知機能トレーニング編

思考力を使うトレーニング(認知機能トレーニング)は、認知機能の低下を抑制するのに効果的です。

簡単なパズルや楽器の演奏、料理作りなど、思考力を使いながら本人が楽しめる活動が良いでしょう。

本人が楽しめないとストレスの原因となる可能性があるため、以前から好きだったものから試してみてはいかがでしょうか。

7-2. 家族の心構え

軽度認知障害(MCI)と診断されたとき、本人は不安を感じたりショックを受けたりするかもしれません。

そんなときは周囲の支えが、前向きに認知機能改善に取り組む手助けとなるのではないでしょうか。

家族も、本人と一緒に軽度認知障害(MCI)や認知症についての理解を深めておきましょう。

また、本人が元気なうちから将来のことを話し合っておくことも大切です。

8.まとめ

さいごに、軽度認知障害(MCI)は早期発見がとても大切です。

その後の適切な治療で改善の可能性があります。

家族が軽度認知障害(MCI)かも?と思ったら、会話の中で質問したり、生活の様子を観察したりしてみましょう。

その上で、気になるところがあればかかりつけ医やお近くの専門機関に早めに相談してみてください。

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