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介護の入浴ってどうするの?在宅での入浴介助からサービスを受けるまで広く解説

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最近1人で自宅の浴槽に入浴するのが困難になってきた。

入浴介助をして定期的に入浴させてあげたいけど、負担が大きくて中々できない。

入浴介助に関することがあまり分からない。

そういった不安があると思います。

高齢者の入浴中の死亡事故は大変多いため入浴介助における情報や知識がないと大変危険です。

厚生労働省の人口動態統計による家庭の浴槽での溺死者数は平成26年に4846人で平成16平成16年と比べ1.7倍に増加(内9割が65歳以上の高齢者)しており入浴中の事故が大変多くなってきています。

図1からも分かるように平成23年以降交通事故による死亡者数よりも「家」、「移住施設」の「浴槽」における死亡者数の方が多く約7割りを占めています。

入浴介助には細心の注意が必要です。

また、自宅での入浴介助が困難な場合に、利用できる一般的なサービスは下記の3つあります。

❶訪問介護による入浴介助

❷通所介護での入浴

❸訪問入浴による入浴介助

要支援や要介護1・2などの軽度の方では、❸ではなく、一般的に❶❷を利用される方が多いです。逆に要介護4.5の重度な寝たきりの方の場合には、❸を利用されることが多いです。

今回の説明は❸の訪問入浴サービスに特化し記事になります。

その注意点も踏まえて訪問入浴サービスを受けるメリットや自宅で入浴介助をするにあたって必要なことを理解でき、訪問入浴サービスについて自分で選んで利用できるように解説していきたいと思います。

図1.高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数の年次推移

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/pdf/caution_009_181121_0001.pdf

1訪問入浴サービスとは

訪問入浴サービスとは、寝たきりなどの理由により自力で入浴することが難しい場合、専門スタッフ3名(介護職員2名、看護師1名)で自宅での入浴のサポートをしてくれるサービスです。

組み立て式の簡易型浴槽にお湯を溜めて入浴します。

専門スタッフが入浴の介助を行ってくれるのでご家族の負担は軽減されます。

そのため、ご家族の負担なく、介護者が安全に入浴できます。

1-1訪問入浴サービスを受ける3つのメリット

自宅で入浴介助を行うには、気を付けないといけないことが何点もあります。

訪問入浴サービスを利用すれば、安全に入浴できるように専門スタッフが気を付ける点を確認してくれるので、安心して入浴介助を任せることができます。

訪問入浴サービスを受けるメリットを3つ紹介します。

・常に介護者の顔色や体調の変化に気遣ってもらえる

看護師が、入浴の前にバイタルチェックを行い、その日の体調を把握します。

バイタルチェックの内容としては、体温、血圧、脈拍等であり、とても安心です。

入浴直前の体調や顔色の変化なども気を配ってくれているので何か小さな変化などに気付けば看護師に伝えておきましょう。

また、自宅浴室での入浴の場合には、脱衣所・浴室の温度差が大きい場合に要介護者がヒートショックを起こす可能性があります。

ヒートショックとは家の中の急激な温度差により、血圧が大きく変動することで失神や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こし、身体へ悪影響を及ぼすことです。この危険性についての配慮もスタッフが行ってくれます。

・転倒事故への対策

入浴介助中は転倒事故が起きやすいと言われています。

浴室は濡れていて泡が残っていたりすると大変滑りやすかったり、シャワーを流している間に温度が変わったことに驚いた要介護者が転倒してしまうなど転倒の危険が潜んでいます。

訪問入浴サービスでは、自宅浴室を使用しないため、転倒事故を起こす危険性は少なくなります。

・介護者の身体的負担の軽減

なにより、介護者にとって入浴介助は身体的にとても大きな負担を強いられます。

訪問入浴サービスを利用すれば、浴槽の準備から後片付けまで全てスタッフが行いますので、介護者の負担はなくなります。

1-2訪問入浴サービスを受ける条件

安心して、介護者を負担なく入浴させてくれる訪問入浴サービスですが、このサービスを受けるには以下の条件を満たす必要があります。

・要支援1,2

 →要支援1,2の方は自宅に浴室がない、または感染症などの理由からその他の施設の浴室の利用が困難な場  合のみ(介護予防訪問入浴介護)

・要介護1~5

・医師から入浴を許可されいてる

以上を満たしている方が訪問入浴サービスを受けることができます。

1-3訪問入浴サービスにかかる費用

訪問入浴サービスでも要介護と要支援、全身浴と部分浴でも料金が変わってきます。

以下が目安となっています。

要介護1~5全身浴1250円      

                  部分浴・清拭  875円

要支援1~2全身浴  845円

                  部分浴・清拭  592円

※事業所の体制による減算、加算分は省く

※1単位=10円、介護保険1割負担の場合の自己負担額、2割の場合もある。

1-4トラブル事例

要介護者の入浴拒否

要介護者の羞恥心や認知症が原因で入浴拒否をされる場合があります。

そのため、「スタッフの性別指定ができるか?」「要介護者と信頼関係を築けそうなスタッフはいるか?」を意識して訪問入浴サービスを取り扱っている事業所を選ぶといいでしょう。

1-5全体の流れ

訪問入浴サービスを利用するまでと当日の全体的な流れを説明していきます。

①訪問入浴サービスを利用するまでの流れ

(1)ケアマネージャーにサービスの利用を相談します。

(2)相談したうえでサービスの利用が決定したらケアマネージャーがサービス提供事業所に連絡してサービスの提供が可能かどうかを確認します。

(3)サービスを提供してくれる事業所が決定したら利用者の主治医へ入浴の許可を確認しておきます。

(4)ケアマネジャーとサービス提携事業所の担当者と相談しながら利用者にとって最適なケアプランを作成します。

(5)サービス提供事業所と契約をします。その際に、主治医からの入浴許可、利用者要介護者の健康状態の確認、および介護職員に組み立て式簡易型浴槽の持ち運び経路や方法、利用者の移動・入浴方法についての相談があります。

②訪問入浴サービスを受ける当日の流れ

(1)当日。スタッフが訪問

→(2)入浴前に体温、血圧、脈拍等のチェック。入浴しても大丈夫な状態であるか確認します。体調が優れない場合は部分浴や清拭に変更することもあります。

→(3)入浴準備。脱衣、浴槽にお湯を張る準備をします。

→(4)ベッドから浴槽に移動し、入浴開始します。

→(5)入浴後、浴槽からベッドに移動し、着衣、体調に変化がないかのチェックをし、サービス終了です。

2サービスを使わず、自分たちで入浴を介助するには

自宅の浴室浴槽を使っての入浴介助は転倒、脱水症状や溺れてしまうなど他の介助と比べて危険が多いです。

そのため、訪問入浴サービスや訪問介護サービスを利用せずに、自分たちで入浴介助をするには細心の注意を払わなければなりません。

これらのサービスを利用せず、自分たちで入浴介助する場合について解説していきます。

2-1入浴介助において準備すること

(1)浴室の準備

入浴介助を行う前に、浴槽にお湯を張り、脱衣所・浴室を温めておきましょう。

お湯の温度は、40℃~43℃が適温とされています。必ず事前に温度計を使ったり、自分の手を入れて湯温を確認しましょう。冬場ではヒートショックが起こりやすいので、脱衣場と浴室の温度差には十分注意しましょう。

(2)健康チェック

看護師によるバイタルチェックを行えない分、普段の食事や睡眠の状態、入浴直前の体調や顔色など小さな変化に気を付けましょう。何か変化があれば無理をせず、部分浴や濡れたタオルで体を拭くなど変更しましょう。

2-2入浴介助においての注意点

(1)足元に注意してもらい、ゆっくり椅子に腰かけてもらいましょう。手すりがある場合は手すりにつかまってもらいましょう。そして、ゆっくり温度を確認しながら慣れるようにお湯をかけていきましょう。

(2)体を洗う際、高齢者の方は皮膚が弱く傷つきやすいので力を入れてこすらないように注意しましょう。

汗をかきやすい場所や排泄物で汚れやすい陰部に洗い残しがないようしっかり洗っておきましょう。

(3)お湯につかっている時はのぼせてしまう可能性があるので、時間を気にしながら入ってください。浴槽から出るときはバランスを崩して転倒しないようにゆっくり出ましょう。

2-3入浴介助においてサポートしてくれる手すり

自分たちで入浴介助をするには負担が大きく、気をつけなければならないことが多々あります。

少しでも負担を軽くするために、要介護者の方が少しでも入浴しやすいように手すりなど浴室に設置しておくといいでしょう。その手すりを紹介していきます。

(1)I型手すり

浴槽を出入りする時に自分の体の動きに合わせて手をゆっくり滑らせればいいのでバランスを取りやすく便利でしょう。浴室の壁に設置する必要があり、介護保険の住宅改修費の適用となります。

(2)浴槽の縁に取り付けるタイプ

浴槽の縁に取り付けるタイプの手すりは手すり部分がカラフルになっているものが多いです。

浴槽に入ると時用と浴槽から出る時用で別れています。

持ち手が小さめではありますが、両手でつかめるためバランスが取りやすく、比較的安定して浴槽に出入りできるのも特徴です。

また取り外しで設置ができるため、賃貸住宅であればこの手すりは設置しやすいでしょう。

取り外し可能のものであるため、介護保険の福祉用具購入の適用となります。

(3)L字型など浴槽の壁側の手すり

浴槽の壁側に手すりがあると、浴槽内で立ち上がりたい時や姿勢を変えたい時に安定して変えられるのでとても便利です。

浴室の壁に設置する必要があり、介護保険の住宅改修費の適用となります。

手すりは介護保険の福祉用具購入、住宅改修費の対象になりますが、取り付け位置、利用方法など手すりについて何も知らないまま購入、設置してしまうと手すりの効用は得られません。福祉用具やリハビリの専門家、ケアマネ等とよく相談してから購入。設置しましょう。

手すりについての記事はこちら

3まとめ

訪問入浴サービスは介護保険の適用内であるので、ご家族の負担、介護者が安全に快適に入浴することを考えると訪問入浴サービスを利用するのもいいかもしれんませんね。

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