「オストメイトって何?」
「ストーマを造ると生活はどうなる?」
「オストメイトでも介護施設に入所できる?」
そういった疑問を抱えていませんか?
オストメイトとは、ストーマと呼ばれる人工膀胱や人工肛門を持っている方を指し、その造設理由は様々です。
この記事では、ストーマの対象者や種類、管理、よくあるトラブルについて解説します。
介護施設についても書かれていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.オストメイトとは?
オストメイトとは、人工膀胱や人工肛門を持っている方を指します。
人工膀胱や人工肛門は、手術によってお腹に造る、便や尿の排泄の出口のことです。
人工膀胱や人工肛門を総称してストーマと呼びます。
ストーマを造る理由は、病気や障がいなど人により様々です。
ストーマは自分で排泄をコントロールできないため、装具を用いて排泄物を処理します。
2.ストーマの対象者
人工膀胱と人工肛門では排泄物が異なります。
人工膀胱の対象者は、膀胱や尿管を切除した方や、病気により排尿機能に障がいがある方です。
人工肛門の対象者は、腸が詰まっていたり、腸を切除した方、さらに腸にひどい炎症が起きている方です。
また、病気や障がいによっては、人工膀胱と人工肛門を併用している方もいます。
3.ストーマの種類
3-1. 消化管ストーマ(人工肛門)
消化管ストーマとは、便が排泄されるストーマで、人工肛門を指します。
ストーマを造る位置によって、切除する腸の長さや便の形状が異なります。
3-2. 尿路ストーマ(人工膀胱)
尿路ストーマとは、尿が排出されるストーマで、人工膀胱を指します。
体のどの部分から尿を排出するかによって、ストーマをつくる位置が異なります。
4.ストーマケアで行うこと
ストーマケアとは、排泄物や排泄物を溜めるパウチを管理することです。
ご自身でストーマケアを出来れば、ストーマ造設前とほとんど変わらない生活を送れます。
4-1. 排泄物の処理
ストーマ造設前と同様、定期的に排泄物を処理する必要があります。
通常、パウチには栓がしてあります。
排泄物がパウチに溜まったら、その栓を開けてトイレに流します。
パウチの先端に開いた穴を塞いでいる栓を開けて、
特におやすみになる前はパウチを空にしておくと良いでしょう。
4-2. パウチの張り替え
パウチ交換の日数の目安は、基本的には3〜5日程度です。
ただし、3日以内の場合でも、汚れた場合には交換することをおすすめします。
ストーマ造設直後は、ケアの仕方を教えてくれます。
初めは難しく感じるかもしれませんが、慣れれば問題なく行える作業です。
5.ストーマの注意点と対策
5-1. 入浴時の注意点
ストーマ造設後も、パウチがあれば問題なく入浴が可能です。
パウチから排泄物が漏れることは基本的にはありません。
ただし、パウチの中身を空にし、排泄物を拭き取ってから入浴するように注意しましょう。
心配な場合には、入浴専用のシートがありますので、そちらの購入を検討することをおすすめします。
5-2. 食事の注意点
第一に、ガスが発生しやすい飲食物に注意が必要です。
ガスが発生しやすい物の例として、炭酸飲料やガムなどがあげられます。
また、排泄物の量を抑えたいからといって水分補給を抑えることはやめましょう。
水分補給は、熱中症や感染症など、他の疾患予防につながります。
5-3. におい対策
パウチに排泄物が付いていると、臭いの原因になります。
排泄物を処理した後は、しっかりパウチを拭き取るようにしましょう。
消臭機能のあるカバーやパウチに入れる消臭グッズなど、様々な商品を試してみることもおすすめです。
5-4. 外出時の注意点
外出の前にはパウチを空にすることを習慣付けましょう。
また、万が一漏れたり、汚れたりした時のために、替えのパウチも携帯すると安心です。
6.高齢者のストーマ器具選択
前提として、パウチを含むストーマ装具は、各メーカーにより少しずつ異なります。
皮膚トラブルが起きないことや、肌触り、操作しやすさなどの観点を踏まえて、ご自身にあったものを探すと良いでしょう。
6-1. セルフケアの場合
6-1-1. セルフケアを目指すために
セルフケアとは、着脱と排泄物の処理をご自身で適切に行えることを指します。
高齢になるほど、身体や認知機能の低下により、日常生活で介助を必要とする場面が増えていきます。
だからといって諦めず、セルフケアに参加しやすい環境を整えてみましょう。
例えば、必要に応じて訪問看護師を検討したり、家族の見守り体制を整えたりするなどの環境づくりがあります。
6-1-2. 高齢者のセルフケアの問題点
高齢になってからセルフケアを始める方や、セルフケアをしていたが徐々に身体・認知機能の低下により、徐々に周囲の支えが必要となる場面が増えていきます。
それに伴い、ご家族の経済的・身体的な負担が増えていくことが問題としてあげられます。
6-2. 介助者に委ねる場合
ストーマ装具の交換は医療行為には含まれないため、介護職員やご家族などもストーマ装具の交換が可能です。
そういったことも踏まえつつ、誰が、いつ、どこでストーマケアをできるかを考えて適切な装具を選びましょう。
例えば、耐水性の高いパウチを選べば、交換頻度を下げることができます。
また、工程の全てを介助者が行う場合には、交換完了を目視で確認出来る装具だと安心です。
7.ストーマケアのトラブル
7-1. 皮膚トラブル
ストーマ装具周辺の皮膚は、ストーマ装具を留めるテープによりかぶれやすくなります。
また、排泄物の刺激なども皮膚トラブルの原因となります。
皮膚に優しいテープを使用したり、テープを短く切ったりすることで、皮膚トラブルを軽減できます。
7-2. 感染症
パウチ周辺部の水分量が多くなると、感染症のリスクが高まります。
例えば、テープによるかぶれや発汗が増えると、カビが発生することもあります。
パウチはこまめに洗浄し、周辺の皮膚も清潔に保つようにしましょう。
7-3. 家族のストレス
日常的に介助をすることは、ご家族にとっても負担となりやすく、ストレス要因の一つです。
それだけでなく、身体的な変化に伴い、使用しているストーマが合わなくなってしまうことがあります。
その場合には、排泄物が漏れることがあり、パウチの交換頻度が高くなります。
常にストーマの管理に追われると、精神的・肉体的にも負担が大きくなるでしょう。
8.介護施設のオストメイト受け入れ
オストメイトの方は、事前に介護施設に相談し、受け入れの可否を確認しましょう。
ストーマ装具の交換は医療行為ではないため、基本的には介護職員も行えます。
ただし、トラブルが発生した場合には受診が必要です。
そのため、ストーマに詳しい職員の不足や看護師がいないなどの問題で受け入れができない施設もあります。
9.まとめ
まとめると、オストメイトとは人工膀胱や人工肛門を持っている方を指します。
ストーマの管理が自分でできれば、ストーマ造設後も、これまでに近い形で日常生活を送ることができます。
ただし、認知機能や身体機能の低下により、セルフケアが難しい場合もあるでしょう。
ご家族の負担が大きくなりすぎる前に、訪問看護や介護施設なども検討することをおすすめします。