パーキンソン病ってどんな病気??
介護の原因になるの?
パーキンソン病の症状について知りたい。
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
パーキンソン病は、動きが鈍くなる、手足の震えなどの運動症状に加え、睡眠障害や認知機能障害などの非運動症状も現れます。
要介護になる原因のうち2%はパーキンソン病と厚生労働省は発表しています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/06.pdf
パーキンソン病の症状や治療法、介護で気を付けることなどを専門家監修のもと解説しています。
目次
1.パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは、脳の黒質と呼ばれる場所にあるドパミン神経からドパミンの分泌量が低下してしまう病気です。
症状としては、動きが鈍くなる、手足の震えなどの運動症状や睡眠障害や認知機能障害などの非運動症状も現れます。
一般的に50歳以上で発症することが多いですが、40歳未満でも発症する可能性はあります。
手足の震えや動きが鈍くなっていると感じたらパーキンソン病を疑ってみましょう。
また、パーキンソンと表現される場合に、「パーキンソン病」と「パーキンソン症候群」の2つの場合があり、両者は似ていても別の病気であり、治療方法も全く違います。
なので今回はあくまで「パーキンソン病」についての説明であることを補足します。
1-1.日本にはどのくらいの患者がいる?
パーキンソン病は、日本の高齢化とともに年々増加しており、平成23年度には116,536人に達しました。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/1356
また、要介護になる原因のうち2%はパーキンソン病と厚生労働省は発表しています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/06.pdf
1-2.原因
脳で作り出されるドパミンが減ると、体が動きにくくなったり、手足の震えが起こりやすくなったりします。
ドパミンを作り出す神経細胞は、加齢とともに減っていきますが、パーキンソン病の場合は、より速いスピードで減っていきます。
そのため、運動症状やそれに付随した非運動症状が現れてしまいます。
1-3.予防法
パーキンソン病の確実な予防法は、まだ発見されていません。
個々では、予防の可能性のある3つを紹介します。
現時点では、ドパミンを増やすことや、運動をすることに効果があると考えられています。
〇運動する
運動することでドパミンが増加すると言われています。
動きが鈍くなる、手の震えなどの運動症状が現れるため、予防として筋力の向上にも効果があるでしょう。
〇好きなことや得意なことをする
ドパミンは、好きなことや得意なことをする事でも分泌が増えると言われています。
趣味や楽しみを作り、楽しんだり笑ったりすることで予防につながります。
〇栄養素「チロシン」を摂取する
タンパク質の一種である「チロシン」は、ドパミンなどの神経伝達物質の原料になります。
大豆やかつお、チーズ等に豊富に含まれており、ドパミンの分泌が見込めます。
2.パーキンソン病の症状とは?
パーキンソン病には、運動症状と非運動症状の2種類が現れます。
2-1.代表的な4つの運動症状
パーキンソン病の代表的な症状には以下の4つがあります。
〇手足の震え
パーキンソン病の症状の中でも初期に現れ、気づきやすい症状です。
安静にしている時でも手が震えたり、左右に症状の差がある場合にはパーキンソン病を疑ってみてください。
〇動きが鈍くなる
筋力の低下など目立った原因がないにも関わらず、動作が鈍くなります。
さらに、鈍くなることで運動する機会が減り、筋力が低下するという悪循環を起こしてしまいます。
このような状態が続くと、要介護度が高まり介護が必要になっていくことが多いです。
〇筋肉のこわばり
筋肉にこわばりが起こり、体をスムーズに動かすことが困難になります。
特に手足に症状が現れることが多いです。
〇体のバランスが保ちにくくなる
体のバランスを保つことができなかったり、歩き出すと歩行スピードが極端に早くなってしまうこともあります。そのため、転倒に注意が必要です。
2-2.代表的な4つの非運動症状
〇自律神経症状
パーキンソン病になると、自律神経が乱れてしまいます。
その結果、「便秘」や「排尿障害」、「起立性低血圧」などを引き起こします。
〇精神症状
パーキンソン病の症状や症状によるショック、薬の副作用などでうつ病や幻覚が現れることもあります。
https://carers-navi.com/utsu-2
〇睡眠障害
パーキンソン病が進行すると、不眠や日中の眠気、睡眠中の異常行動が現れる場合もあります。
〇認知機能障害
判断力や記憶力が低下するなど、認知症とよく似た症状が現れることもあります。
認知症と決めつけるのではなく、まずはかかりつけの医師に診断してもらいましょう。
3.パーキンソン病の治療方法
3-1.初期の治療
パーキンソン病の初期段階で、日常生活に影響のない場合は治療はせずに経過観察をします。
日常生活に影響のある場合には、ドパミン不足を補う効果のある薬物を使用した治療を行います。
3-2.進行期の治療
進行期では、運動症状と非運動症状が両方現れ始めます。運動症状に対しては、ドパミン不足を補う薬物を使用します。
非運動症状に対しては、その症状に合った薬物が処方されます。
〇副作用に注意しよう
薬を使用する際は副作用にも注意しましょう。
副作用は、飲みはじめと長期間使用した際に現れることが多いです。
飲みはじめに現れなかったからと油断をせずに注意深く見守る必要があります。
3-3.手術で治療もできる
パーキンソン病の改善のために脳の手術が行われることもあります。
基本的に、薬によって症状のコントロールができないと医師が判断した場合に手術が行われます。
手術は大きく2つのタイプで、脳に熱を加え手足の震えなどの運動症状を抑える手術と脳に電極を設置し刺激を与える手術があります。
4.介護をする際に気をつけるポイント
4-1.前向きに気持ちを切り替える
症状の悪化により運動ができなくなったり、それによってストレスを抱えてしまいます。
一つ一つのできないことや症状に気落ちしてしまうと、うつ病にもつながってしまう可能性もあります。
それで気を落とすのではなく、趣味や好きなことに取り組み社会と関わりを保つことでストレスを軽減させ、前向きに病気と向き合うことができます。
4-2.転倒について
パーキンソン病は、体のバランスを保つことができなかったり、歩き出すと歩行スピードが極端に早くなってしまうこともあります。そのため、転倒に注意が必要です。
外部要因の対策として、住居環境の整備は欠かせません。
階段や廊下、トイレ、浴室などに手すりの取り付けや玄関や浴室などの段差や傾斜を解消、滑りの防止のため床の張替などが必要になります。
ご自宅の中でどこに問題があるか確認しましょう。
また、介護保険の制度には在宅介護に必要な住宅改修費が含まれているので積極的に利用しましょう。
https://carers-navi.com/jutakukaisyu
4-3.睡眠障害が現れている場合
心理状態と睡眠は密接に関係しています。
家族の関わり方によって心理状態は大きく変わります。
無理に寝るように強制したり、叱りつけたりする「抑制的態度」を取ると、むしろ逆効果になってしまうことがほとんどです。
安心できる状態にあることを言葉と行動で表すとよいでしょう。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
パーキンソン病を完治させる治療法は見つかっておらず、対症療法が中心です。
医師の診断に従い適切な治療を受けていれば、この病気で直接的に命に係わることはないため、落ち着いて病気と向き合いましょう。
ご本人にも家族にとっても前向きに生活できる工夫をすることが大切になります。