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高齢者が不眠に陥る5つの原因と介護者ができること

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・夜中に何度も目覚めてしまう。。。

・介護状態の母がなかなか寝てくれなくて寝不足。。。

・昼夜逆転の生活リズムに変わりつつある。。。

このような悩みを抱えているのではないでしょうか?

年齢を重ねると、早朝に目が覚めたり、夜中に何度も起きたりすることがありますね。

加齢によって、睡眠と目覚めのリズムが変わることは珍しくありません。

しかし、今まで通り夜間にしっかりとした睡眠を取ることが健康な日々をもたらします。

また、要介護者が「寝てくれない」、「起こされる」といった悩みは、介護者にとって、大きな悩みの一つです。

この記事では、なぜ高齢になると睡眠が変わるのか、安定した睡眠を取るための対策を紹介します。

1.高齢者が不眠に陥る5つの原因

健康を維持するために睡眠はとても大切です。

十分な睡眠は、心身の疲労回復の効果だけでなく、免疫機能を高めたり、記憶を定着させるなど認知症予防にも繋がります。

しかし、高齢になると、「眠れない」「寝つきが悪い」「眠りが浅い」「朝早く目覚めてしまう」などといった症状を訴える方が増えます。

なぜ、高齢になると睡眠のトラブルを抱える方が増えるのでしょうか?

原因となるものは、いくつか考えられます。

一つひとつ解説していきます。

1-1.加齢による睡眠の変化

睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。

「レム睡眠」とは浅い眠りで、「ノンレム睡眠」は深い眠りです。

通常は、この2つの睡眠が一晩に4~5回の周期で繰り返されます。

しかし、高齢になると「ノンレム睡眠」が短くなり、70歳以上ではほとんどなくなってしまうことが分かっています。

これは、加齢による老化現象で、多くの方が抱えることになります。

1-2.体内時計の微妙なずれ

人間の体内時計は約25時間の周期と考えられています。

この周期が体に組み込まれており、昼間は活動状態に、夜になると休息に切り替わります。

しかし、25時間の周期では、約1時間の誤差が生まれてしまうのです。

その誤差は、朝起きて日光を浴びたり、運動することでうまく調整されています。

この周期をコントロールするのが、「メラトニン」というホルモンの分泌です。

私たちが夜、眠くなるのは、このメラトニンが活発に分泌されるためです。

しかし、高齢になるにつれ、メラトニンの分泌量が減少することが明らかにされています。

1-3.生活習慣がリスクを高める

生活習慣の乱れが睡眠不足に影響する場合もあります。

1-2で説明したように、日光浴や運動をすることで、人間の体内時計は調整されまます。

さらに、運動は適度な疲労をもたらし、睡眠を促進します。

また、朝早く起きたらかといって、早朝に日光を浴びるのは避けましょう。

メラトニンは、日光を浴びてから約14-15時間後に分泌が増加すると言われています。

そのため、早朝に日光を浴びてしまうとどんどん体内時計が乱れてしまいます。

1-4.日中の活動量の低下

人間が睡眠をとる一つの理由は、体力の回復です。

しかし、加齢による体力不足や、やることがない状態が続くと、日中の活動量が低下してしまいます。

日中に活動をしないと、疲れていないため、睡眠不足に繋がります。

さらに、日中にやることがないと、昼寝をしてしまうので、昼夜逆転にも注意が必要です。

体を動かすことは介護予防にも繋がるので、習慣をつけておきましょう。

1-5.認知症の可能性も

夢を見ながら暴れている場合はレム睡眠行動障害を疑ってみてください。

レビー小体型認知症の可能性があります。

万が一、夢を見ながら、暴れたり立ち上がったりする場合は、ゆっくりと起こしてあげてください。

また、転倒したり、ご自分の体を傷つけたりする可能性があるため、ベットの周囲には物を置かないようにしましょう。

薬による治療で改善する可能性があるので、まずはかかりつけ医に相談することをおすすめします。

2.高齢者の睡眠障害が引き起こす問題

高齢者であれば、夜寝れなくても日中に寝ればいい、早朝に目覚めてしまっても早く寝れば大丈夫ととらえている方もいるのではないでしょうか。

この章では、睡眠障害が引き起こす問題について解説します。

睡眠障害はいったいどのような問題を引き起こすのでしょうか?

2-1.日中の活動意欲が低下する

睡眠不足によって日中の活動意欲が低下してしまいます。

1章であげた通り良い睡眠には日中の活動が欠かせません。

例えば学生時代も、眠くて勉強どころではなかった方も多いのではないでしょうか?

睡眠不足になることで脳の活動量が低下してしまいます。

その結果、一度睡眠不足に陥ってしまうと、負のスパイラルにはまってしまいます。

さらに、日中の活動が減ってしまうと、認知機能が鈍ってしまい、認知症へと繋がります。

2-2.転倒リスクが高まる

睡眠不足は、脳の活動量を低下させます。

その結果、集中力や注意力の低下も引き起こします。

さらに、睡眠不足では日中の活動意欲がなくなり、筋肉量も低下しがちです。

筋力が少なくなり、注意力が低下すると、わずかな段差でもバランスを崩し転倒してしまいます。

要介護になる10%以上の原因は転倒と言われており、高齢者の転倒は一層の注意が必要です。

https://carers-navi.com/fall

2-3.病気になりやすい

睡眠障害は、免疫力を低下させるため、風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染しやすくなります。

さらには、自律神経が乱れやすくなり、自律神経失調症やうつ病、生活習慣病なども引き起こす可能性が高くなってしまうのです。

3.安定した睡眠をするための6つの対策

3-1.日中十分な活動を 

日中活動をすることで、体は疲れを感じて睡眠を促します。

生活のリズムを付けるため、できる範囲での家事を頼んだり、デイサービス・デイケアを利用することで、活動を習慣化させることができます。

自宅では日中、なるべく横にならないように工夫しましょう。

3-2.午前中の日光浴が効果的

特に朝日を浴びながら運動するとよいです。

体内時計を調節するホルモンであるメラトニンは、朝日を浴びた14~15時間後に分泌されると言われています。

睡眠時間を逆算して運動をしましょう。

しかし、早朝に日光を浴びてしまうとどんどん体内時計が乱れてしまいます。

高齢者でもできる運動はこちらの記事を参照ください。

https://carers-navi.com/exercise

3-3.軽食やマッサージも有効

寝つきが悪い時には、ホットミルクなど温かい飲み物を勧めたり、おにぎりなどで空腹を解消してもらうと穏やかに眠れることがあります。

血液の循環をよくすることも有効で、足浴やマッサージも効果があります。

3-4.眠りやすい環境を

良い睡眠を取るには環境も大切です。

室温や明るさなどはご本人の望むように調整しましょう。

また、手足が冷えやすい場合には、寝具を温めておくと良いです。

電気毛布や湯たんぽなどの使用の際は、低温やけどや脱水症状に注意してください。

3-5.家族の関わり方

心理状態と睡眠は密接に関係しています。

家族の関わり方によって心理状態は大きく変わります。

無理に寝るように強制したり、叱りつけたりする「抑制的態度」を取ると、むしろ逆効果になってしまうことがほとんどです。

安心できる状態にあることを言葉と行動で表すとよいでしょう。

3-6.かかりつけ医へ相談

どうしても、症状が改善しない場合は、かかりつけ医へ相談しましょう。

場合によっては、薬による治療を行うことができます。

市販の睡眠薬を使用する前に、かかりつけ医への相談をおすすめします。

4.「どうやって寝てもらうか」に縛られない

どんな対策をとっても、介護者がどんなに努力をしても、効果が現れない場合もあります。

しかし、要介護者と一緒に介護者まで睡眠不足になってしまうと、介護どころではなくなってしまいます。

そんな時は、どうやって寝てもらうかではなく、「どうやって自分の睡眠を確保するか」を意識しましょう。

昼寝をしてしまっているが、その間に自分の時間に使うなど、要介護者が寝ている間に自分も休息をとることも大切です。

在宅介護を長く続けるには、「~はいけない」という思い込みをできるだけ持たないことが重要です。

ストイックになりすぎず、がんばりましょう。

また、思い切って介護を受ける方と介護する方の寝室を分けることも有効です。

要介護者の方が夜眠らないことで、健康に影響を及ぼしたり、介護そのものがつらくなったりしたときは、施設への入所も考えてみてください。

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