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成年後見制度とは?メリット・デメリット、費用などわかりやすく紹介

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「成年後見制度って何?」
「後見人には誰がなれるの?」
「気になっているけど、なんだか難しそう……」

そう思っていませんか?

成年後見制度は、判断能力の不十分な方をサポートする制度です。

制度の利用者数は年々増加しており、2019年では年間約22万人が利用しています。

ただ、潜在的にこの制度を必要としている方、つまり判断能力が十分ではなく支援を必要としている方は、約1035万人。

現状では、この制度が適切に届けられているのは、支援が必要な方の約2%にすぎません。

この記事では、成年後見制度とその種類、メリット・デメリットや費用などをわかりやすく紹介します。

成年後見制度と適切な財産保護についての理解を深めていきましょう。

1. 成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症により判断能力が低下した人や、知的障害により適切な財産保護がでできない方をサポートする制度です。

第三者や親類がその財産を管理することにより、不当な契約から財産を守る目的で用いられます。

一般的には、財産を守る人を「後見人」、守られる人を「被後見人」と呼びます。

1-1. 成年後見制度ができた理由

成年後見制度ができたのは平成12年。

判断能力が低下した人の残存能力の活用や、自己決定の尊重の理念をもとに、財産と権利を守るためにスタートしました。

過去にも、判断能力が不十分な方のための制度がありましたが、

その公示によって社会的な偏見や差別など別の問題を生みました。

そこで「障害のある方も、安心して地域社会で暮らしていける社会にしよう」という考えのもと、成年後見制度は始まりました。

2.成年後見制度の種類は、法定後見と任意後見の2種類!

成年後見制度は、大きく二つに分けられます。

法定後見と任意後見の2種類です。

2-1. 法定後見とは?法定後見の種類は3つ

法定後見とは、本人の判断能力が不十分な場合に、後見人が代わりに財産や権利を守る制度です。

法定後見人となる人は家庭裁判所で選ばれ、法的な支援者となります。

家庭裁判所における法定後見人の最終的な選任は、裁判官に委ねられています。

また、選任理由は公開されません。

法定後見はさらに3種類に分けられます。

「後見」「保佐」「補助」の3種類です。
それぞれ、本人の自由意思や行為の範囲も、サポートする側の権利や義務の範囲も異なります。

2-1-1. 後見

後見の対象者は、判断能力を常に欠く方です。

具体的には、買い物など日常生活の中での判断に支障がある方が後見にあたります。

重度の認知症の方などでしょう。

2-1-2. 保佐

保佐の対象者は、判断能力が著しく不十分な方です。

具体的には、適切に判断が行えるときもあるが、不動産の売買など重要な財産行為においては支援が必要な方が保佐にあたります。

軽度の認知症の方などでしょう。

2-1-3. 補助

補助の対象者は、判断能力が不十分な方です。

具体的には、日常生活で問題が生じることはあまりないが、車の買い替えや家の新築などの財産行為においては支援が必要な方が補助にあたります。

2-2.法定後見のメリット・デメリット

2-2-1. 法定後見のメリット

法定後見のメリットは5つあります。

①家庭裁判所において、適切と認められた人だけが成年後見人に選任されます。逆に言えば、適切だと認められない人は成年後見人にはならないため安心です。

②被後見人の判断能力がなくても、必要な手続きが可能です。

③被後見人の財産管理を適切に行えます。

④相続が発生した際にも財産把握が容易です。

⑤公的な地位の証明になります。契約内容が公的書類に登記されるためです。

2-2-2. 法定後見のデメリット

法定後見のデメリットも3つ押さえておきましょう。

①手続きに最低でも半年の時間が必要です。

②高額な費用がかかります。

③被後見人が選挙権を失います。

2-3. 任意後見とは

任意後見とは、本人の判断能力が低下する前に、後見人になってもらう人を選べる制度です。

ですから任意後見制度の対象者は、契約の締結時に判断能力がある人となります。

後見人として選ばれた人が、締結後すぐにサポートを開始するわけではありません。

任意後見人は、あくまでも本人の判断能力が低下したときの支援者です。

2-3-1. 任意後見のメリット

任意後見のメリットは2つ。

①公的な地位の証明になります。契約内容が公的書類に登記されるためです。

②本人の意思が最大限尊重されます。本人の判断能力が低下する前に契約するためです。

2-3-2. 任意後見のデメリット

任意後見のデメリットも2つ紹介します。

①死後の手続きに関しては別途考えましょう。任意後見人には、死後の処理は委任できません。

②任意後見には取消権がありません。

3.成年後見人には誰がなれる?

成年後見人になるための特別な資格は必要ありません。

法律では、民法847条「後見人の欠格事由」で後見人等になれない人の条件が定められています。

裏を返せば、その他の人たちは後見人になれます。

親族や専門家、地域市民も成年後見人になれるほか、後見人を複数立てることも可能です。

3-1. 財産が多いと、弁護士が成年後見人になる場合も

本人(被後見人)の財産が多い場合は後見人が弁護士になる場合もあります。

一般的には、流動資産500万円以上が目安です。

流動資産とは、一年以内に現金にできる資産をさします。

具体的には、現金や預金、貯蔵、未収入金などが流動資産にあたります。

4.成年後見人の仕事内容

成年後見人の業務について2つ紹介します。

①成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、裁判所に報告する権利と義務を担っています。具体的には、財産目録を作成したり、財産の処理内容を裁判所に報告したりします。

②医療・福祉サービスの契約も成年後見人の仕事です。病院や訪問診療、介護サービスなどの契約や支払いを代行します。

4-1. 成年後見人が出来ないこと

成年後見人が持つ権利は財産管理に限られています。

成年後見人は、これから紹介する6つの行為に気をつけましょう。

主に身分に関わる行為や、本人の意思が重要な行為について注意が必要です。

①本人(被後見人)が購入したものを、後見人の意思で取り消すことはできません。

②後見人は、本人(被後見人)の戸籍情報の変更はできません。

③後見人は、遺言書を作成できません。

④後見人は、本人(被後見人)の住居を特定することができません。最大限本人の意思を尊重しましょう。

⑤後見人は、本人(被後見人)が医療行為を受けるかを決定できません。親族または医師に委ねましょう。ただし、急を要する場合は除きます。

⑥後見人は、本人(被後見人)の身元保証人にはなれません。

5.成年後見を任せる際の注意点

親族が後見人になる場合もあれば、第三者が後見人になる場合もあります。

後見人を任せる場合にはどのようなことに気をつければ良いのか、これから2点ずつ紹介します。

5-1. 第三者に任せる場合の注意点

①コミュニケーションをとりましょう。

②本人の利益を第一に考えましょう。

5-2. 親族などに任せる場合の注意点

①後見人を選定する前に親族で方針を話し合いましょう。

②後見人になるからという理由で相続や財産贈与を行うのは出来るだけ避けましょう。

6.後見人を解雇することもできる

後見人は解雇することも可能です。

しかし、解雇のためには正当な理由が必要です。

正当な理由とは、不正行為や、著しく業務の履行を怠った場合などです。

正当な理由なしに解雇できない仕組みの理由は、後見業務に支障がでないようにするためです。

7.成年後見の申し立て方法

成年後見の手続きは、法定後見か任意後見かにより異なります。

法定後見を希望する場合は、家庭裁判所に申し立てをしましょう。

申し立てを行えるのは、本人や家族です。

申し立てを行なってから、契約締結までの期間の目安は3ヶ月から半年です。

8.成年後見の費用

成年後見制度を利用するには、費用が必要です。

費用は法定後見と任意後見のどちらでも必要です。

具体的な費用は、後見人によって異なります。

弁護士を後見人にする場合であれば、月2万から5万円が目安です。

現在では成年後見制度利用支援の事業により、助成金を受けることができます。

助成金は各自治体に委ねられていますから、一度確認してみることをおすすめします。

9.まとめ

まとめると、成年後見制度は、判断能力が低下した方や適切な財産保護ができない方を守るための仕組みです。

また成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があります。法定後見はさらに3種類に分けられます。

様々な種類がありますから、判断能力の状況により適切な制度の利用が可能です。

その際には、本人の意思や利益の立場から制度を検討することが大切です。

成年後見制度について、専門家に詳しく聞きたい方は、弁護士に相談してみると良いでしょう。

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