・要介護認定はどのように申請するの??
・介護サービスの利用には、要介護認定が必要って本当??
・今の状態で要介護認定がもらえるのかな??
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
日本では、要介護認定を受けていないと介護保険を使った介護サービス利用はできません。
介護サービスを利用するための第一歩となる、要介護認定の申請は日本人の多くの方が経験するものです。
要介護認定を受けることに躊躇もあるでしょう。
しかし、早めに症状を理解し対応することで状態の悪化を防ぎ長く健康に過ごすことができます。
この記事では、申請方法から認定までの流れや不服がある際の対応について解説しています。
目次
1.要介護認定とは「介護が必要な状態」
要介護とは、65歳以上の高齢者もしくは40歳から64歳までの老化に伴う特定疾病の人に対し、市区町村から「介護が必要な状態」と認められた状態のことをいいます。
一方で要支援とは、ある程度の支援は必要な状態ではあるものの改善の見込みがある状態のことをいいます。一般的に要介護と認定された方を要介護者、要支援と認定された方を要支援者といいます。
また、要介護認定において、介護も支援も必要ない状態と判断された場合は「非該当(自立)」という判定が出る場合もあります。その場合には、介護保険を使った介護サービス利用はできません。
各市区町村が審査をする「要介護認定」によって介護または支援が必要と判断された場合、その人の介護が必要な段階は7つに分けられます。
つまり、要介護度はその人の介護が必要な度合い、状態がどのくらいの段階かを示したものです。
次の表は、要介護度の7つの段階を解説しています。
<<要介護認定について詳しくはこちら→http://carers-navi.com/carestate
2.要介護認定を受けられる人
65歳以上の高齢者もしくは40歳〜64歳で老化が原因の疾患、*特定疾病で介護が必要になった方です。
*特定疾病とは?
「特定疾病」は以下のとおりです。
- 末期がん(医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 多系統萎縮症
- 初老期における認知症
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患(外傷性を除く)
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 閉塞性動脈硬化症
- 関節リウマチ
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
3.申請の方法
まず、お住いの市区町村窓口に要介護認定の申請を行います。
〇申請に必要なもの
・「介護保険要介護(要支援)認定申請書」
市区町村の窓口やWebサイトから入手できます。
・介護保険の被保険者証
(本人が40歳~64歳の場合は、健康保険被保険者証を用意します)
・マイナンバー通知書
※本人が申請できないとき
入院などで本人が申請できない場合は代理で申請できます。
入院している場合など、本人が申請できないときは、家族が代わりに申請できます。
以下の施設にお問い合わせください。
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業者
・介護保険施設(入所中の方)
4.申請後から認定まで
申請が完了すると認定調査が行われます。
認定は本人への訪問調査と主治医の意見書をもとに行われ、コンピューターと介護認定審査会で審議されます。
4-1.訪問調査
訪問調査では、市区町村の職員や委託を受けた訪問調査員が自宅を訪問し、聞き取りを行います。
適切な調査のためにも、日ごろから本人の様子を記録しておきましょう。
訪問調査では以下の聞き取りがあります。
概況調査 | 家族や住まいの状況、持病の有無など |
基本調査 | 身体機能・起居動作機能
生活機能 認知機能 精神・行動障害 社会性への機能 |
特記事項 | 特有の問題がある場合 |
5つの基本調査について
〇身体機能・起居動作
生活に必要な基本動作の範囲を確認します。
具体的には、身体の麻痺や関節の動き、視力、張力など13項目があります。
聞き取りを中心に必要の際には本人に体を動かしてもらって確認する場合もあります。
〇生活機能
食事の摂取や外出頻度、排泄など日常生活で必要な動作を行えているか確認します。
〇認知機能
「生年月日」や「家族の名前」などを記憶しているか、意思の伝達が正常にできるか確認します。
〇精神・行動障害
過去1か月の生活の中で不穏な行動の有無を確認します。
例えば、「急に泣き出すなど感情が不安定になったか」、「突然大声を上げたか」などの質問があります。
〇社会生活への適応
買い物や薬の内服、金銭管理など社会生活を行う能力があるか、集団に対応できるかなどを調査します。
4-2.主治医の意見書
要介護認定申請書に主治医の名前を記載することですることで、市区町村から主治医に意見書の作成を依頼されます。
万が一主治医がいない場合は、市区町村が薦める医師の診断を受けます。
また、作成料について申請者が負担することはありません。
4-3.一次判定(コンピューター判定)
訪問調査の結果と主治医の意見書から公正を保つため、コンピューターで要介護度を判定します。
ここでは、厚生労働省が作成した全国共通の要介護認定ソフトが使われています。
4-4.二次判定(介護認定審査会)
1次判定の結果や意見書、訪問調査の中の特記事項(コンピューターに反映されない特記された事項)をもとに、介護認定審査会が審査を行い、要介護度を判定します。
4-5.認定結果の通知
申請から30日以内に、「認定結果」と「介護保険被保険者証」が郵送されます。
5.要介護認定に納得出来ない時の2つのパターンを紹介
要介護認定によって、介護保険の月々の限度額、自己負担額が変わってきます。
例えば、要介護2と認定された方の月々に利用できる介護保険の限度額は196,160円です。
それに対し、要介護3に認定された方の月々に利用できる介護保険の限度額は269,310円で、要介護2よりも月々に約73,000円ほど違ってきます。
ただし、逆に利用するサービスの種類によっては、要介護度によって利用料金も変わり、要介護2よりも要介護3の方が高くなります。
このように、介護認定の段階によって、金額に大きな差がでてくるため、介護認定に不満がある場合は不服申し立てをする必要があります。
2つの異議申し立て、申請方法を解説するのでいざという時は参考にしてください。
5-1.介護保険審査会に不服申し立てをする
認定結果に不服がある場合は、都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」という第三者機関に「審査請求(不服申し立て)ができます。
認定の通知を受けた翌日から起算して3か月以内に申請する必要があるので注意してください。
審査請求できるのは原則として被保険者本人ですが、代理人に委任して請求することもできます。
判定が妥当であるかどうかが検討され、必要であれば要介護認定をやり直すことになります。
ただし、「介護保険審査会に不服申し立てをする方法」は審査結果が出るまでに数ヶ月ほど待たなくてはいけません。
そのため、「区分変更を申請する」という方法を紹介します。
5-2.区分変更を申請する
区分変更は認定後に心身の状態が変わった場合に、次の更新(次の更新までの期間は3〜36ヶ月ほど)を待たずに認定調査する方法です。
流れとしては、区分変更の申請をすることで、再度認定調査を受け、主治医に意見書を発行してもらい、介護審査会を通して新たな要介護度が決定するというものです。
今までは要介護1の認定を受けていた母親が急に要支援2と認定され、これまで使っていたサービスを利用できなくなり、息子が新たに区分変更を申請したところ、当初の要介護1に戻り、親子ともに安心感を取り戻すことができたという事例もあります。
区分変更をしたい場合は担当のケアマネージャーか地域包括支援センターに相談するようにしましょう。
ただし「区分変更」は、本来あくまで「状態変化があった場合」に利用する制度です。
認定結果に不服があるからといって、必ず区分変更申請を受け付けしてもらえるものではありません。
また、「不服申し立て」であれ「区分変更」であれ、必ずしも希望する要介護認定がおりるというものではなく、あくまでも”認定結果”と”実際の状態”に「ズレ」がある場合において救済措置となる可能性がある手段も用意されている、と理解しておきましょう。
6.要介護認定の有効期間は?更新が必要
認定結果には有効期間があります。
概ね新規の場合は6か月、更新認定は12か月とされていますが、状況によって違います。
状態が安定していれば、最長36か月に延長される場合もあります。
認定は自動で更新されず、急に介護サービスが利用できなくなるため、更新が切れる60日前から更新準備を始めると安心です。また介護サービスを利用されている場合には、ケアマネージャーが更新期間の管理を行ってくれますので、安心してください。
更新の際も要介護認定時と同様に、本人に訪問調査を行い、介護度が判定されます
7.まとめ
いかがでしたでしょうか?
要介護認定を申請しなければ、介護保険を利用することはできません。
申請については、市区町村ごとに細かな違いがあるため、親が住んでいる市区町村の窓口に問い合わせましょう。
申請から認定までは1か月かかるので、早めの情報収集を行うことをオススメします。
また、認定を受けた後も更新を忘れないようにしましょう。