高齢者のスキンケアってどうすればいいの?
高齢者の皮膚トラブルってどんな種類があるの?
年を取ると、皮膚トラブルが起きやすくなると言われています。
さらに、要介護状態の方は、免疫力が低下しているため、一度できてしまうと治るまでに時間がかかってしまいます。
適切なスキンケアを行い、皮膚トラブルを予防しましょう。
この記事では、よく起こる皮膚トラブルやスキンケアの方法について解説します。
目次
1.高齢者に皮膚トラブルが起きやすい理由
皮膚は、加齢に伴い皮脂や汗の分泌が減ると、肌の水分が失われやすくなり、乾燥してしまいます。
乾燥した皮膚はバリア機能を失い、外部の刺激を受けやすくなります。
その結果、かゆみや湿疹などのトラブルが起きてしまうのです。
また、加齢による体内の水分量の低下や体温調節機能の低下なども皮膚トラブルの要因となります。
2.よくある肌トラブルの原因と対策
2-1.老人性乾皮症
老人性乾皮症とは、乾燥によって皮膚の表面に亀裂が入り、白い粉を吹いたような状態で、高齢者に多い皮膚トラブルです。
乾燥により、皮膚に浅い亀裂や白いふけのようなものが生じ、かゆみを伴います。
2-1-1.老人性乾皮症の原因
加齢に伴い皮脂や汗の分泌が減ると、肌の水分が失われやすくなり、皮膚が乾燥することによって生じます。
また、肌の潤いを保っている物質も加齢とともに減少することも原因の1つです。
2-1-2.老人性乾皮症の原因
①寝不足やストレスを抱えない
寝不足やストレスは、肌の潤いを保っている物質であるセラミドの減少に影響します。
十分な睡眠をとり、ストレスをためないように心がけましょう。
②室内湿度
室内湿度を60%以上に保ちましょう。
暖房を使うと、室内湿度が50%を下回ることが多くなるため、加湿器などを併用しましょう。
2-2.蜂窩織炎(ほうかしきえん)
蜂窩織炎とは、皮下組織で細菌が増殖して起こる急性感染症です。
皮膚に傷口がある方、免疫力が低下している高齢者に起こりやすい病気です
初期は、皮膚が赤く腫れて熱感を帯び、触ると痛みを伴い、進行すると発熱や全身に倦怠感が現れます。
2-2-1.蜂窩織炎の原因
細菌感染が原因となります。
擦り傷や虫刺されのあとなどの傷口からの感染やアトピー痕や水虫からの感染が考えられます。
2-2-2.蜂窩織炎の対策
①外傷を避ける
蜂窩織炎は、傷口から感染します。
そのため、虫刺されなど外傷を避けるため、手袋や長袖のシャツ、ズボンなどを着用しましょう。
②水虫を治療する
蜂窩織炎は水虫からも感染します。
水虫があれば放置せず治療しましょう。
2-3.疥癬(かいせん)
疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニが人の皮膚に寄生して発症する感染症です。
免疫力の低下している高齢者に感染しやすいと言われており、介護施設や医療機関での集団感染も少なくありません。
2-3-1.疥癬の原因
疥癬には2つの感染経路があります。
①直接経路
長時間のあいだ肌が触れ合うことで感染します。
比較的、短期間では感染しにくいです。
②間接経路
間接経路では、感染した方の衣服や寝具を使用することで感染します。
特に、角化型疥癬の場合は、感染する可能性が高まります。
一緒に暮らすご家族に症状が現れた場合には、注意が必要です。
2-3-2.疥癬の対策
①パジャマや下着は毎日交換する
パジャマや下着は毎日交換しましょう。
衣服にはダニが住んでいる可能性もあるため、清潔に保ちましょう。
②タオルやシーツは共有しない
疥癬は、寝具や衣類を経由して感染する可能性もあるため、なるべく共有することは避けましょう。
2-4.褥瘡(じょくそう)
褥瘡とは、布団や椅子と接触する皮膚部分に酸素や栄養が行き渡らなくなり細胞が死んでしまうことです。
皮膚が長時間、連続的に圧迫されて血流が悪くなることにより生じます。
症状としては、「赤み」や「かゆみ」、「痛み」、「ただれ」などが引き起こされます。
2-4-1.褥瘡の原因
①皮膚による原因
長時間同じ体勢でいると、圧迫や摩擦により皮膚が弱くなります。
また、高齢になると肌が乾燥しやすく、床ずれが起きやすくなります。
定期的に保湿クリームを塗るなど乾燥対策をしましょう。
②身体的な原因
十分に食事を摂れていないとやせてしまい、より骨が出っ張りと床ずれになりやすくなります。
また、病気などで自由に体が動かせない場合、長時間同じ体勢から動けず床ずれに繋がってしまいます。
さらに、病状によっては痛みを感じにくくなるため、気づいたときには重症になっているという可能性もあります。
③環境的な原因
介護の体制が整っておらず、体位変換が十分に行えていなかったり、不適切な寝具を使用していると床ずれの原因になります。
適切な介護体制と福祉用具をそろえましょう。
2-4-2.褥瘡の対策
定期的に体位を変換することが重要です。
姿勢を変えることで、同じ部位が長時間圧迫されることを防ぎます。
体位変換は2時間に1回を目安におこない、「仰向け⇒右向き⇒左向き」と体位を変えると効果的です。
体位を変えるときは必ず被介護者に声をかけてから行いましょう。
無理に体位を変えようとすると、被介護者だけではなく、介護者まで体を痛めてしまう危険があります。
2-5.皮下出血
皮下出血とは、皮膚の下で起こる出血のことです。
加齢の影響で皮下組織や血管の壁がもろくなっているので、ちょっとしたことで皮下出血ができることがあります
また、抗凝固剤やステロイド剤を服用されている場合は、内出血を起こしやすくなるため注意が必要です。
さらに、糖尿病や肝機能障害などの疾患が潜んでいる場合もあります。
その際は、かかりつけ医に相談しましょう。
3.肌トラブルの予防法
3-1.清潔ケア
高齢者の状態に合わせて、入浴や清拭などを行い体を清潔に保ちましょう。
弱酸性の石鹸を十分に泡立て、優しく皮膚を洗い、38~40℃のお湯で流します。
皮膚をごしごし擦ると、皮膚を痛めてしまう可能性があるため避けてください。
また、清拭を行う場合は、被介護者のプライバシーに配慮しましょう。
基本的には、上半身→下半身→陰部の順番で行います。
3-2.スキンケアケア
定期的に保湿クリームを塗るなど乾燥対策をしましょう。
また、おむつを着用している場合は、おむつの中が蒸れ皮膚が柔らかくなり床ずれを起こしやすくなります。
こまめにおむつの取り換えや蒸れのふき取りをすることで防止に繋がります。
そして、着替えや入浴の際に皮膚の状態を観察することも大切です。
皮膚に赤みや湿疹、しこりなどがないか確認しましょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
皮膚トラブルには様々な種類があり、放置すると命に関わる場合もあります。
日々のスキンケアが予防には欠かせません。
また、皮膚トラブルは、早期発見が重要なため、介護をするときは皮膚の状態も観察しましょう。