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介護保険対応!ゼロから教える「介護タクシー」ガイド

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自宅で介護を行っている時、大きな課題の一つとして、通院があげられます。

要介護者だけでは通院が難しく、通院時に家族が用事で立ち会えないことはよくあります。

 そんな、通院への悩みを解決するのが介護保険対応「介護タクシー」です。

介護保険を適応すれば、安い値段で通院することも可能です。

今回は、サービス内容、サービス利用目的、料金の仕組み、利用までの流れなどについて解説します。

1.介護タクシーとは

介護タクシーとは、要介護者や一人で車に乗ることが困難な方が利用できるタクシーです。

主に運転手が介護を行い、車いすで乗車できる車という点が特徴的です。

そのため、運転手は介護職員初任者研修以上の資格を持っています。

また、要介護者や一人で車に乗ることが困難な方が利用できるタクシーサービスには、「福祉タクシー」もあります。

こちらは、一般のタクシーと同様に乗務員は乗客の身体に触れられないため、タクシー乗降時には付き添いの方のサポートが必要です。

介護タクシーには、介護保険適用と保険適用外があります。

介護保険で定められた利用範囲であれば、自己負担が減るため、保険適応の範囲を知っておくことをおすすめします。

次の項では利用用途やサービス内容について解説します。

1-1.保険適用の対象者および条件

以下の条件をすべて満たす人です。

  • 65歳以上で要介護1~5状態にある。
  • 自宅で生活していること。

(有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は居宅とみなされるため、利用可能)

  • 1人でバスや電車などの公共交通機関に乗ることができない。
  • ケアマネジャーが必要であると判断。
  • ケアプランに立案される。
  • 介護タクシーに対応する訪問介護サービスとの契約

利用対象者は複雑になっているため、担当のケアマネージャーに相談すると良いでしょう。

また、利用対象者であってもサービスの利用目的の範囲でしか利用することはできません。

1-2.利用目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」のみ

保険適用の場合、利用目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」と定められています。

以下のように利用目的が限定されています。

  • 通院(受診、リハビリ等)
  • 買い物(補聴器や眼鏡など本人が行かなければならない者に限る)
  • 預金の引き下ろし
  • 公的機関への届け出
  • 選挙
  • その他利用目的に該当すると判断されるもの

日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出のみ介護保険が適用され、旅行や娯楽などプライベートなことに利用はできません。
もし、プライベートで利用したい場合には、保険外介護タクシーや福祉タクシーの利用することで補えます。

1-3.サービス内容はケアプランで決まる

サービス内容は、ケアプランの内容で決まるため、利用目的をケアマネージャーと共有することが欠かせません。以下が基本的なサービス内容になります。

  • 利用者宅まで迎車
  • 外出準備の介助(持ち物の準備や着替え)
  • 乗車介助・降車介助
  • 目的の場所へ移動介助
  • 受付及び受診科までの移動介助と病院スタッフへの声かけ(病院内での介助は病院スタッフが基本的に行う前提であり、介助をしても保険適用とならない)
  • 受診後サポート(会計や薬の受け取りなど)
  • 帰宅後のサポート(着替えやおむつ交換など)

このように手厚い介助のサービスがあり、安心して利用できます。

このようなサービスを利用するにはいくらかかるか気になることでしょう。

次の項では、介護タクシーの料金についてまとめています。

2.料金は「タクシーの運賃+介助料+その他料金」

介護保険の利用有無に関係なく、「タクシーの運賃+介助料+その他料金(介護器具のレンタル料など)」で構成されています。

このうち介護保険が適用されるのは介助料のみで、タクシー運賃・その他料金は全額実費になります。

なお、設定料金は事業者によって異なります。

2-1.運賃は2通りある

介護タクシーの運賃は大きく「時間制運賃」と「距離制運賃」に分かれます。

  • 時間制運賃

例:30分/1,500円、または最初の30分/800円+以降30分/2000円など

  • 距離制運賃

例:1km/500円、または最初の2km/700円+以降1km/毎300円など

2-2.介助料は2種類

介助料を保険適用とする場合には、以下の2種類があります。

1.「通院等乗降介助」で算定する場合

一般的には、「通院等乗降介助」という項目で1回100円(1割負担の場合)、行きと帰りそれぞれかかりますので往復で100円×2回=200円の負担となります。この介助には、乗車前の外出の準備、整容(着替えやトイレ介助など)、車までの移動介助などが含まれます。

2.「身体介護」で算定する場合

要介護4または5の方で、外出の前後の準備、整容などに20分以上かかる場合は、「身体介護」という項目で算定されることとなります。この場合は、ケアプランにある必要な介助によって変動し、基本的に必要な乗降介助に加え、外出準備や院内介助などで追加の費用が発生します。

上記のどちらの場合も保険適応で1割~3割負担となります。保険適用外で利用する場合

以下が料金の目安になります。

  • 乗降介助(基本料金):500~1,500円
  • 室内介助:1,000円
  • 外出付き添い:1,000円
  • 階段昇降介助:1,000円
  • 病院内介助:1,000円
    など

2-3.その他料金には何が含まれる?

その他の料金としては、車いすなどを借りる場合、その器具のレンタル料がかかります。

  • 器具レンタル料

・車椅子:無料~1,500円

・リクライニング車椅子:2,000円~3,000円

・ストレッチャー:4,000円~6,000円

2-4.具体例の紹介

ここでは具体的な例をあげて見積もりを出してみます。

・片道15分のところにある病院までの通院で介護タクシーを利用

・車いすレンタルが必要

・時間制運賃を採用

・要介護2であり、外出準備介助には10分程度必要

・介護保険負担割合1割(1単位=10円)

この場合の介護タクシー利用料金は保険適用すると以下のようになります。

  • 運賃

15分→1,500円 往復で3,000円

  • 介助料

乗降介助(基本料金):1,000円×往復で2回×0.1=200円

  • その他料金

車椅子:500円

3つの合計は、3,700円となります。

上記は架空の想定であり、利用される方の状態、状況、目的によって金額は変わってきますので、事前にしっかりとケアマネージャーに相談することをおすすめします。

次にサービスを利用する手順と注意点について解説します。

3.利用する際の手順と注意点

チェックポイント

3-1.サービス利用までの流れ

①ケアマネジャーに相談する

介護タクシーを利用する場合は、保険適用ができるのかどうか、出来るとしたらどのような料金になるのか、どの事業者が適切なのかなどについては、ケアマネージャーが相談にのってくれます。

どういった目的で利用したいのかを含めて事前にしっかりと相談しましょう。

②事業者と契約する

利用できることがわかったら、介護タクシーを運営している事業者と契約・手続になります。

基本的には、ケアマネジャーが介護タクシー事業者を紹介してくれるため、安心できるでしょう。

利用目的や必要な介助・器具レンタルの有無・料金などを調整します。

あらかじめ、利用頻度や自宅の状況、予算などはまとめておくと良いです。

また、選び方は、「料金設定」「スタッフの技量」「スタッフの人柄」がポイントになります。

③当日の利用

契約を結び終わると当日になります。

当日は、スタッフが契約に沿って安全に対応してくれます。

3-2.介護保険適用の介護タクシー(通院等乗降介助)の利用上4つの注意点

保険適用の介護タクシーを利用する際の注意点についてまとめます。

注意点は、大きく以下の4つになります。

1.旅行や娯楽などプライベートで利用できない

2.乗降介助は往路で一回、往復では2回と計算される。

3..家族が乗れない

4.通常の介護サービスに切り替わる場合がある

 

1.旅行や娯楽などプライベートで利用できない

旅行や娯楽などプライベートなことに利用はできません。プライベートで利用したい場合には、保険外介護タクシーや福祉タクシーの利用することで補えます。

2.乗降介助は往路で一回、往復では2回と計算される。

乗降介助は往路で一回、往復では2回と計算されます。料金の見積もりを出す際に注意しましょう。

3..家族が乗れない

原則として家族は同乗できません。なぜなら、家族が介助できるのであれば、介護タクシーの利用が必要ないとみなされるからです。万が一、同乗したい場合は保険適応外の介護タクシーや福祉タクシーを利用できます。

4.通常の介護サービスに切り替わる場合がある

外出前後の介助に20分以上の時間がかかる場合、「通院等の乗降介助」の枠を超えていると判断され、介護タクシーを利用しても身体介護や生活援助という扱いになります。料金や単位が変わってしまうため、注意しましょう。

※2021年4月1日からの見直し点

今まで認められていなかった病院間の介護算定が認められます。
例えば、自宅から病院①、病院①から病院②、病院②から自宅、全てが介護保険の対象となります。
1日に複数の通院をされる方は、自己負担の軽減となります。

4.まとめ

介護タクシーについて、利用対象やサービス内容、料金などについてまとめました。

記事を読んでいただいてわかるように、介護タクシーは複雑になっているので、しっかりとケアマネージャーと相談してください。

良い介護タクシーに出会うことで、通院に対する悩みはなくなり、介護に対する安心は大きくなるでしょう。

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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