高齢者が増加している日本において認知症の人の割合は非常に増えているため、認知症バリアフリーという考え方は大切です。
とはいえ、認知症バリアフリーという考え方や具体的な取り組みの具体例について知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、認知症バリアフリーの概要や認知症バリアフリー宣言、さらには具体的な取り組み例について詳しく解説します。
認知症バリアフリーについて理解を深めたいという方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
認知症バリアフリーとは?
認知症バリアフリーとは、認知症になってからでも住み慣れた地域で自立して安心に暮らせるように、日常生活および社会生活においての障壁を排除する取り組みのことを指します。
現代の日本は超高齢社会と言われていますが、高齢化にともなって認知症患者も増加しています。
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所によると、65歳以上の高齢者の16%ほどが認知症であると推測されているのです。
さらに、年齢を重ねるごとに認知症の割合は高くなっていき、80代後半になると男性の35%、女性の44%が認知症となり、さらに95歳を超えると男性の51%、女性の84%が認知症になるというデータがあります。
このように、高齢化が進む日本において認知症の人が安心して暮らせる環境づくりは欠かせないものとなっています。
2022年3月からは「認知症バリアフリー宣言」が開始され、2023年6月には「認知症基本法」という新しい法律が衆議院で可決、成立するなど、認知症に関する取り組みが活発化しているのです。
認知症バリアフリー宣言とは?
認知症バリアフリー宣言とは、日本認知症官民協議会が主催する認知症バリアフリー宣言試行事業において、認知症バリアフリーを実現するための取り組みのことを指します。
日本認知症官民協議会とは、2019年4月22日に設立された団体となっており、行政との連携だけではなく、経済団体や医療機関、福祉団体、自治体、学会などの団体と連携して認知症に関する取り組みが行われています。
認知症バリアフリー宣言に賛同している団体や企業は、認知症バリアフリー宣言のロゴマークを表示することができます。
参加している団体や企業は100を超えており、「一般社団法人日本経済団体連合会」や「一般社団法人全国銀行協会」、「東日本旅客鉄道株式会社」、「一般社団法人マンション管理業協会」、「一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会」、「公益社団法人日本医師会」など、さまざまな団体が参加しているのです。
認知症バリアフリーの具体的な取り組み
ここでは、以下の場面での認知症バリアフリーの具体的な取り組みについて詳しく紹介します。
1.図書館での取り組みの具体例
図書館での認知症バリアフリーの取り組みとして挙げられるのは、以下の通りです。
- なじみの居場所としての場所として認識してもらうこと
- 書籍に触れる喜びを感じてもらう
- 認知症について調べられる環境
地域の人であれば誰でも利用できる図書館をなじみの場所として思ってもらうことを始めとし、図書館を利用することで認知症の人の興味関心の幅を広げること、さらには認知症以外の人にも認知症について調べることのできる環境づくりの取り組みが行われています。
2.配食での取り組みの具体例
配食での認知症バリアフリーの取り組みとして挙げられるのは、以下の通りです。
- 利用者の変化に気づく
- 見守りの役割を果たす
宅配サービスを行っている事業者は地域住民と密接な関係にあります。
そのため、高齢者が認知症になっていないかという小さな変化や、認知症の高齢者の人が健康に暮らせているかなどを配達員がチェックすることで、認知症の人が安心して暮らせる環境を作ることできます。
3.薬局・ドラッグストアでの取り組みの具体例
薬局・ドラッグストアでの認知症のバリアフリーの取り組みとして挙げられるのは、以下の通りです。
- 安心して買い物できる環境づくり
- 認知症の変化に気づく
認知症の方が薬を受け取りに来る薬局やドラッグストアにおいて、記憶力の低下から服薬管理や金銭管理ができないケースもあります。
それに店員が寄り添うことで安心して訪れることができることや、認知症の人の変化に気付いてあげる取り組みも大切です。
まとめ
本記事では、認知症バリアフリーの概要や認知症バリアフリー宣言、さらには具体的な取り組み例について詳しく解説しました。
高齢化社会の日本では、認知症バリアフリーは非常に大切な考え方となるため、認知症の人が身近にいる人はもちろん、すべての人が知っておくべきものです。
認知症バリアフリーの考え方を知っておくことで、結果として認知症の人が過ごしやすい環境を作ることができます。
ぜひ本記事を参考にして認知症バリアフリーについて理解してみてください。