排泄介助はどうすればいい??
身近な人間とはいえ、排泄のお世話までするのは気持ち的にもなかなか大変なところもあると思います。
介護者の負担を減らすためにも、要介護者のストレスを軽減させるためにも適切な方法で排泄介助を行いましょう。
この記事では、4つの排泄方法と選び方、注意点について解説します。
目次
1.排泄介助とは
排泄介助とは、1人では排泄行為や動作ができない方や排泄機能に障がいのある方を介助することです。
排泄介助は、要介護者が清潔に過ごすために欠かせないケアの一つです。
十分に介助ができていないと、感染症や肌トラブルの原因となってしまいます。
2.ご本人に合った排泄方法の種類
2-1.トイレ
排泄は、プライベートな部分でたとえ家族であっても、助けを借りたくないものです。
なるべくご自身で行えるように整えましょう。
〇洋式トイレなどへの便器の取り換え
和式便器から洋式便器への取り換えは、足腰への負担は軽くなり残存能力を活かすことにつながります。
また、使いやすいようにトイレの向きを変えることも可能です。
〇裸足で入っても冷たくない、滑りにくい床材に
トイレに入るたびに、スリッパを履いたり脱いだりすることは労力がかかります。
スリッパを履かなくても足が冷えにくい床材に張り替えましょう。
2-2.ポータブルトイレ
ポータブルトイレとは、家の中のトイレのある場所まで移動しなくてもいいように考えられたものです。
要介護者の方が過ごしている部屋に直接設置することができる、トイレ自体の移動が可能なものになります。また、特定福祉用具としても指定されていますので、申請すれば購入費用の1割~3割で購入することが可能です。
「自分でトイレまで移動ができるか」
「座位が問題なくとれる」
「下着の着脱を行えるか」
この3つのポイントができる方で、「トイレまでの移動距離」を縮めたい方、「これまでにトイレに行く前に漏らしてしまった経験」がある方は、導入を積極的に考えてみましょう。
2-3.尿器、便器
尿器、便器は、寝たままでも排泄ができる容器です。
寝たきりでポータブルトイレまで移動できないが、尿意や便意を伝えられる方に向いています。
尿器は、男性用と女性用で口の形状が異なっています。
使用後は、容器の消毒を忘れずに行いましょう。
2-4.おむつ
介護おむつには大きく分けてテープタイプとパンツタイプの2種類があります。
介護用が必要な度合いが大きい人はテープタイプ、少しのサポートで大丈夫な人はパンツタイプが適しています。
また、介護用オムツの商品説明には、医療・介護現場で使われる『ADL』という指標が表示されています。
介護用オムツを購入の際はこの指標を参考にして、どのタイプのオムツを使用するのかを考えると便利です。
ADLは以下の6つの段階に別れています。
・一人で外出できる方
・一人で歩ける方
・介助があれば歩ける方
・立てる方
・座れる方
・寝て過ごすことが多い方
3.排泄方法の選び方
3-1.トイレまで歩ける場合
トイレまで歩ける場合は、一般的なトイレをなるべく使いましょう。
トイレまでの導線やトイレ内に手すりを取り付けたり、和式便器を洋式便器にリフォームをしたりして、なるべくトイレを使える工夫をすることが大切です。
3-2.自力で起き上がれる場合
自力で起き上がれるが、トイレまでは歩けない場合、ポータブルトイレがおすすめです。
ポータブルトイレを活用することで、「自分で排泄ができる」という自信になるでしょう。
また、排泄のためには、ポータブルトイレまで少し移動する必要があります。
動ける範囲で動く習慣をつけることで、寝たきり状態の予防にもつながります。
3-3.姿勢を変えられる場合
姿勢を変えられる場合は、介助することでポータブルトイレを使用できます。
毎回介助することが難しい場合には、寝たまま使用できる尿器や便器を併用しましょう。
3-4.寝たきりで動けない場合
寝たきりで動けない場合は、おむつか尿器や便器を使用しましょう。
尿意や便意を伝えられる場合はなるべく尿器や便器を、尿意や便意を伝えられない又は感じない場合はおむつを使用することをおすすめします。
4.排泄介助の注意点
4-1.自尊心を傷つけない
誰でも自尊心を傷つけられると悲しみや怒りを覚えます。
自尊心を傷つけてしまうと、排泄を我慢して病気になってしまう可能性もあるので注意が必要です。
また、「ひとりで大丈夫ですか?」といった声かけも自尊心を傷つけてしまうこともあるのです。
本当に大丈夫だと思っている相手には「大丈夫?」と言わないものです。
悪気はなくとも、過度な心配や腫れ物に触るような対応と受け取られてしまう可能性もあるため、発言には注意を払いましょう。
声掛けの際には以下のようなフレーズを意識しましょう。
「お手洗いを済ませてから、お部屋でゆっくりしましょう」
「ちょっとチェックしますね」
「下着を交換しましょうね」
「ズボンを下ろしますね」
「寒くありませんか?」
4-2.水分を控えさせない
介護が必要な方は、トイレに行くことを負担に感じている方は多いです。
トイレに行くのが大変だからと水分を取りたくないと思うのも無理はないでしょう。
しかし、水分不足は脳梗塞や心筋梗塞などに繋がる可能性があります。
1日に必要な水分量40ml×体重kgを意識しましょう。
例えば60kgの方は2.4Lです。
この数字はあくまでも目安です。
食事からも水分を摂れるため、食事をのぞいて2L程度を目指して摂ると良いでしょう。
4-3.残存能力を活かす
過度に介護をしてしまうと、今までできていたことが、あっという間にできなくなってしまいます。
全てを介護するのではなく、なるべく残存能力を使ってもらうようにケアを行いましょう。
例えば、少しでも歩けるのであれば、ポータブルトイレではなくトイレを使うなど、日々の行動に残存能力を活かせるように工夫を行います。
しかし、できる範囲を超えたものをやってもらうとストレスにつながるため、日々の体調や状況に応じて考えましょう。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
排泄介助とは、1人では排泄行為や動作ができない方や排泄機能に障がいのある方を介助することです。
身体機能の状態によって排泄方法は異なります。
ご本人に合った排泄方法を行ってください。
また、体調を見て日によっては排泄方法を変える工夫もしてみましょう。