部屋からトイレまでの移動が大変そう….
歩行が難しくなったら、排泄はどうしよう….
両親の介護が必要になってくると、排泄は避けて通れない課題です。
そんな時は、ポータブルトイレの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、ポータブルトイレのメリットや機能、選ぶときのポイントをわかりやすく解説します。
目次
1.ポータブルトイレは便利な排泄用具
ポータブルトイレとは、持ち運びができる簡易的なトイレのことです。
被介護者の部屋や寝室に置くことができます。
自力でトイレまでの歩行が難しい介護者にとって、自分の部屋で排泄できるのはありがたいことですよね。
2.ポータブルトイレのメリット
ポータブルトイレのメリットを3つ紹介します。
2-1. 介護の肉体的負担が軽くなる
被介護者がトイレに行く度に介助するのは肉体的に大変ですよね。
そのような場合にポータブルトイレがあれば、トイレまで介助する必要がなくなります。
2-2. 「自分で排泄ができる」という自信に
被介護者は、自力で排泄ができないことで自信をなくしていたり、介護者に申し訳なく思っていたりします。
ポータブルトイレを活用することで、「自分で排泄ができる」という自信になるでしょう。
2-3. 寝たきり状態を防げる
排泄のためには、ポータブルトイレまで少し移動する必要があります。
動ける範囲で動く習慣をつけることで、寝たきり状態の予防にもつながります。
3.ポータブルトイレのデメリット
ポータブルトイレにはデメリットもあります。
購入前にデメリットを知り、適切な対策を打っていきましょう。
3-1. トイレ以外の場所での排泄に抵抗を持つ人も
ポータブルトイレは、トイレ以外の場所に設置することになります。
トイレ以外の場所で排泄をすることに抵抗がある人にとっては、ポータブルトイレを部屋に設置することはデメリットでしょう。
3-2. ニオイが部屋にこもることがある
部屋にポータブルトイレを置いて排泄することになりますから、ニオイが気になることもあります。
様々なニオイ対策グッズも販売されていますので、活用を検討してみてください。
4.ポータブルトイレの機能
ポータブルトイレの機能を紹介します。
被介護者にとって最適なものを選ぶようにしましょう。
(1)座面の高さ調整
座る高さを調整できる機能があります。
この機能があることで、体格に合わせられることに加え、身体状況の経過に合わせて調整できることもメリットです。
(2)背もたれ・ひじ掛け
排泄に時間がかかる場合、背もたれやひじ掛けがあることで肉体的負担の軽減が見込めます。
(3)シャワー洗浄機能
おしりを拭けない被介護者にとって、シャワー洗浄機能があることで清潔に保てます。
温水機能があるものもありますが、温水は肌が乾燥しやすいので注意が必要です。
(4)暖房機能
便座をあたためてくれる機能です。
暖かい便座であれば、急な温度変化による身体への負担を減らすことができます。
(5)蹴り込みスペース
足を便器側に引くことができるスペースのことです。
立ち上がる動作の時、足を引くことで自然な姿勢を保つことができ、転倒の危険性を減らすことができます。
(6)ソフト便座
座る部分がやわらかくなっているものです。
おしりが痩せている方や、排泄に時間がかかってしまう人におすすめです。
5.ポータブルトイレ3種類。それぞれのメリット・デメリットを紹介
まずはポータブルトイレの種類を3つご紹介します。
それぞれのメリットデメリットも見ていきましょう。
5-1. プラスチック型
安価で小型、持ち運びが楽だということがメリットです。
その反面、軽量であるため不安定という点はデメリットでしょう。
5-2. 木製いす型
メリットは、重量感があり安定していることや家具調で部屋に馴染みやすいことです。
デメリットとして挙げられるのは比較的高価である点や、持ち運びが大変だということでしょう。
5-3. 金属製コモード型
持ちやすく移動に便利で、周辺の掃除もしやすいことがメリットです。
ただし金属部分が多いため、部屋との馴染みを重視したい方にはあまりおすすめできません。
メリット・デメリットを表でもまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
6.価格帯
価格は数千円で購入できるものから、数万円するものまで幅広い商品があります。
要介護・要支援認定を受けていれば介護保険の特定福祉用具の購入費支給の制度を利用できるため、まずはケアマネに相談しましょう。
ポータブルトイレは、特定福祉用具に含まれており購入価格の1割負担で購入できます。
6-1. 低価格帯
1万円以下で購入できるものもあります。
プラスチック製の簡易的なものが多いです。
6-2. 中価格帯
1~2万円台のものです。
この価格帯では、背もたれがついているものや、簡易的な木製いす型を購入できます。
6-3. 高価格帯
3万円以上のものです。中には10万円を超えるものもあります。
シャワー洗浄機能や暖房機能がついているものはこの価格帯が多いです。
機能が多いほど、価格が高くなる傾向にあると言えるでしょう。
7.ポータブルトイレの使い方
7-1. 自力で排泄ができる場合
①ベッドから起き上がり、ポータブルトイレまで移動、排泄します。
②排泄後は自分で拭き取ります。
③ポータブルトイレからベッドへ移動します。
7-2. 排泄に介助が必要な場合
①被介護者にベッドから起き上がり浅く腰掛けてもらいます。
②介護者は使用者の前に立ちます。
③被介護者を体を支えて立たせ、ポータブルトイレまで移動させます。
④被介護者に手すり・ひじ掛けを持ってもらい、介護者はズボンと下着をおろします。
⑤被介護者の体を支えながら、ポータブルトイレに座らせます
⑥排泄が完了したら陰部を拭きます。
⑦介護者の体を支えるか、手すりなどにつかまって腰を浮かせてもらい、ズボンと下着をあげます。
⑧体を支えながらベッドへ移動します。
8.3種類のポータブルトイレ処理方法
8-1. ポータブルトイレ専用紙バッグ
専用の紙バッグをポータブルトイレにセットするものです。排泄物を包んで燃えるゴミとして処理できます。
8-2. ラップ式ポータブルトイレ
自動で包んでくれるポータブルトイレです。包まれた排泄物は燃えるゴミとして処理できます。
8-3. バイオトイレ
専用のバイオチップをトイレの表面に敷き詰めておくものです。微生物によって分解されるため、排泄物を手に取る必要がありません。
9.設置する時のポイント3つ
設置する時は、これから紹介する3点のポイントを意識しましょう。
(1)ポータブルトイレが滑らないようにする
被介護者の足腰が弱い場合、ポータブルトイレが安定していないと転倒の危険性があります。
滑り止めシートやマットはホームセンターで販売されています。
上手く活用して、滑らないような工夫をしましょう。
(2)明るい場所に設置する
つまずきや転倒の危険性を少しでも減らすために、できるだけ明るい場所に設置するようにこころがけましょう。
(3)被介護者に合わせて調整する
体格に合わないポータブルトイレは排泄のときにストレスになります。
ひざ下の長さとトイレの高さが同じ位置にくるように調整してみてください。
10.さいごに
排泄に関することは、肉体的にも精神的にも大きなストレスでしょう。
ポータブルトイレをうまく利用すれば、介護者・被介護者双方にとっての負担軽減に繋がります。
最適なポータブルトイレを選ぶことで、自立した生活のためにも、ポータブルトイレの導入を検討してはいかがでしょうか。
欲しい機能やメリット・デメリットについて、被介護者と積極的に話し合ってみてくださいね。