「介護休業ってなに・・・・?」
「介護休業はどんな人が対象者?期間はいつまで?その間の給料はどうなるの?」
「介護休暇と介護休業の違いってなに?」
あなたは今、こんな悩みを抱えていませんか?
仕事と介護を両立させようと考えた時に出てくる選択肢の1つが「介護休業制度」です。
そんな「介護休業制度」を理解して、利用しようかどうかを検討したいと思っているのではないでしょうか?
そこでこの記事では介護休業の利用条件や対象者、期間、その間の給料からメリット・デメリット、申請手順まで、「介護休業」にまつわる情報を全てご説明しました。
この記事を読めば、「介護休業」の理解はもう大丈夫。
仕事と介護を上手に両立をして、どちらも後悔のないような選択をしてほしい。という思いでこの記事を書きました。少しでも参考になれば幸いです。
では解説していきます。
目次
1. 介護休業とは
「介護休業」とは働く労働者が、家族を介護する【体制を構築する】ために、一定の期間仕事を休業することです。
「介護休業」は国によって定められている制度で、労働者はこの「介護休業制度」を利用することによって、介護のために仕事を休むことができます。
この制度は、育児・介護休業法で定められている制度で、最低限守られるべき内容であり、会社は対象者の介護休業の申し出を拒否することはできません。
また逆に、一部の会社では法律で定められた基準以上に、優遇した制度を設けているところもあります。
「介護休業」については、会社によって就業規則等に定められていますので、自分の会社の制度を調べておきましょう。
ここでは、国が定める「介護休業制度」の内容について詳しく解説していきます。
1-1. 介護休業の対象者および対象家族の範囲
「介護休業」の対象者は以下の通りです。
介護休業対象者
要介護状態(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するために休業する労働者(日雇い労働者など、日々雇い入れられる方は除く)
ただし労使協定により以下の場合は対象外とすることもできます。
・同一の事業者に1年以上雇用されていない労働者(パート、派遣社員も含む)
・介護休業申出の93日以内に雇用関係が終了することが明らかな方労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者
つまり上記のような場合の扱いは会社によって違うということです。
また有期契約労働者は次の要件を満たす場合のみ対象となります。
・入社1年以上
・介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
もしあなたが、同じ事業者に1年以上雇用されている労働者(週5日勤務)で、要介護状態にある対象家族を介護する場合は、「介護休業」を取得することができます。
*ちなみに要介護状態にある対象家族とは配偶者(内縁含む)、父母(養父母含む)、子(養子含む)、配偶者の父母(養父母含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫のことを指します。
(参考:厚生労働省 育児・介護_あらまし_本文より)
では次に「介護休業」の期間を説明してきます。
1-2. 介護休業の期間
「介護休業」の期間は対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として分割して取得することができます。
例えば、介護が始まり、介護認定やサービス利用の手続き、親の生活体制の整備などのために、最初の2ヶ月間(62日)で「介護休業」を取得する。
親の要介護度が上がり、介護サービスの見直しや、生活体制の変更や入所施設を探す時などに1ヶ月間(31日)を残りの上限日数を使うというような使い方で、「介護休業」は利用できます。
93日と聞くと少し短く感じてしまうかもしれません。
しかし、「介護休業」は施設探しやその他の契約など、仕事と介護の両立の準備をするための期間という位置づけがされています。
「介護休業」を取得する時は、利用期間93日、上限3回をうまく組み合わせて利用したいものです。
1-3. 介護休業中の賃金
では「介護休業」期間中の賃金はどうなるのでしょうか。
詳しく解説していきます。
1-3-1. 介護休業給付金
「介護休業」中の賃金については法律上、有給、無給の定めがないため、一部の会社では有給としているところもありますが、多くの会社で無給となります。
しかし、要件を満たせば「介護休業給付金」として賃金の一部が雇用保険から支払われます。支給される金額は、休業開始前6か月の賃金の額と、休業中に会社から支給された賃金の額によって決まります。
1-3-2. 介護休業給付金の対象者
雇用保険から支給される介護休業給付金の対象となるには要件があります。
条件・対象者は以下の通りです。
介護休業給付金の条件・対象者
・要介護状態にある家族を介護するために休業する雇用保険の被保険者「介護休業」開始前2年間(正当な理由なら最長4年間)に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上ある場合 に対象となります。
さらには下記の要件を満たすことも必要です。
・「介護休業」期間中の1か月ごとに休業開始前の1か月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・休業期間中に就業している日数が1か月ごとに10日以下であること
また有期契約労働者は次の要件を満たす場合のみ対象となります。
・入社1年以上
・「介護休業」開始予定日から93日を経過する日から6か月経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
対象家族は、「介護休業」制度の対象家族と同じで下記の通りです。
介護休業給付基金の対象家族
配偶者(内縁含む)、父母(養父母含む)、子(養子含む)、配偶者の父母(養父母含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫
1-3-3. 介護休業給付金を受け取るまでの基本的な流れ
では最後に「介護休業」がスタートしてから、介護給付金を受け取るまでの一連の流れを解説します。
「介護休業」をするときは、この流れを是非、参考にしてみてください。
介護休業給付金を受け取る前での流れ
①介護休業開始(介護給付スタート)
↓
②介護休業終了
↓
③事業主からハローワークに受給資格確認申請と支給申請(分割の場合は都度申請)
各介護休業の終了日(介護休業期間が3か月以上にわたるときは介護休業開始日から3か月を経過す る日)の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに申請
↓
④支給(不支給)決定し、支給決定通知書交付
↓
⑤支給決定日から約1週間後に指定金融機関に振込み
以上が「介護休業」がスタートしてから介護休業給付金を受け取るまでの説明になります。
ではこの「介護休業」を利用したほうが良いのか?
次から「介護休業」を利用するメリット・デメリットを説明していきます。
2. 介護休業を利用するメリット・デメリット
では「介護休業」を利用する時のメリット・デメリットを解説していきます。
2-1. 介護休業を利用するメリット
「介護休業」を利用することのメリットは仕事から離れて介護の体制づくりに集中することができることです。
「仕事をから離れて介護の体制づくりに集中する時間を作ることができる」これは「介護休業」の目的でもあり、最大のメリットです。
介護の体制づくりには、様々な関係者との連携や、相談、契約、施設見学などの手続きなど、実際に親のところやその地域に足を運ぶ必要が出てくることが多くあります。
また改めて、親ともこれから先の介護について話し合う時間も必要となってきます。
そういった場合には、仕事を休む必要がでてきますので、「介護休業」を活用しましょう。
特に「介護休業」を利用することでゆっくり時間をとることができるため、要介護者である親と今後について話をすることができたり、時間を共に過ごすことができることは大きなメリットです。
そういった意味でも介護休業を利用することをオススメします。
介護のために、仕事を辞めることを介護離職といいますが、日本の介護離職の数は年々ほぼ横ばいではあるものの、全体で9万9千人もいます。
(出典:総務省 平成29年就業構造基本調査より)
「介護休業」を利用せず、いきなり介護離職をしてしまうというケースもあります。
しかし、できるだけ「介護休業」をうまく活用し介護離職を選択しなくてすむようにしましょう。
なぜなら、今の収入を完全に失うだけでなく、仕事を辞めても親の介護の状態がよくなるというわけではないからです。
仕事を辞めて介護一色の生活になると介護者のストレスは増し、「経済的」にはもちろん、「精神的」「肉体的」にも負担が増加することが厚生労働書のアンケート調査からも判明してします。
また、介護離職後に転職をしたとしても年収の面でも厳しい現実が待っているという調査結果もあります。
(出典:仕事と介護の両立と介護離職 明治安田生命、公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団共同研究より)
つまり、「介護休業」を利用し介護離職を避けることで以下のことを防ぐことができるのです。
・月々の収入がなくなる、少なくなる
・介護一色による介護者の負担増加
・介護転職後の年収減少
できるだけいきなり介護離職という判断はしないで、「介護休業」を利用しながら介護をしていくことができる体制づくりを行っていきましょう。
仕事から離れて介護の体制づくりに集中することができる。
このことが「介護休業」を利用するメリットになります。
2-2. 介護休業を利用するデメリット
一方で、「介護休業」取得については、いろいろなハードルもあります。
平成28年度の厚生労働省による「育児・介護休業制度等の見直しについて」によると、介護をしている雇用者のうち、「介護休業」を実際に取得している労働者は3.2%(7万6千人)ほどであることが分かっています。
つまり、ほとんどの労働者が「介護休業」を利用していないということがわかります。
他の人の目線が気になり、介護休業を取得できない。これが介護休業のデメリットです。
「介護休業」の取得率が低い理由には様々あります。
・国や自社の「介護休業制度」のことを知らない
・仕事場の雰囲気として休みづらい
・自分の代わりの人材がおらず、休みがとれない。
・仕事を分担する人がおらず、休むと仕事が溜まってしまう。
上司に何か言われないか・・・。昇進に関わるのではないか・・・。周りも休みをとらずに介護と仕事を両立しているから・・。と周りの目が気になる。
しかし、会社が要件を満たした労働者の「介護休業」の申出を拒否したり、その申出や取得を理由に解雇やその他の不利益な取り扱いをしたりすることは禁止されています。
また、同僚や部下に「よくこんな忙しい時期に介護が理由で休むことができるね」などと言うのは重大な介護ハラスメントとなります。「介護休業」は仕事と介護を両立することで、自分自身のためだけではなく会社にとっても貴重な労働力を維持することができる有用で大事な制度です。
「介護休業」が必要な時に、スムースに休むことが出来るよう、普段から自分自身の仕事の整理をしておくことや、職場として、「介護休業」をとりやすい環境、雰囲気を日ごろから醸成しておくことが必要です。
そうすることで、必要な介護休業を必要な時に取得して、仕事と介護の両立を無理のないものにしていきましょう。
*「介護休業」以外にも、「介護休暇」や「短時間勤務」、「福利厚生」など、介護と仕事を両立のために活用できる選択肢はいろいろとあります。
自社の情報をできるだけ多く集め、自分の状況に合った意思決定をすると良いでしょう。
3. まとめ
いかがだったでしょうか。
「介護休業」とは働く人々が、家族を介護する【体制を構築する】ために、一定の期間休業することができる制度のことでした。
メリット・デメリットでもあったように介護と仕事を両立させるためには、93日間ある介護休業を上手に利用することが大切です。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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