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【専門家監修】まるわかり特別養護老人ホーム

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親の体調が悪くなり、介護について調べ始めたあなた。

老人ホームの中でも一番と言っていいほど人気な特別養護老人ホーム。

「特養」とも呼ばれていて、聞いたことがある方は多いかもしれませんね。

人気の理由は、低料金で手厚いサービスが受けられるからです。

一方で入居待ちが多いという噂もちらほら聞こえ、心配な方も多いはず。

気になる費用や入居資格、入居方法など解説します。

1.特別養護老人ホームの特徴

では、ここから特別養護老人ホームの特徴を解説していきます。

この章を見れば、以下の6つの事がわかります。

・特別養護老人ホームはどんな老人ホームなのか

・どんな人が利用対象者なのか

・どんなサービスが提供されるのか

・特別養護老人ホームにはいくらの費用がかかるのか

・特別養護老人ホームの介護・医療体制

・特別養護老人ホームの設備

では1つ1つ解説していきます。

1-1.特別養護老人ホームは公的に運営されている老人ホーム

老人ホームの種類は、「民間」が運営をする施設と「社会福祉法人や自治体」が運営する施設の2つに分けることができます。

特別養護老人ホームはこの2つのうち、後者の「社会福祉法人や自治体」によって運営されている老人ホームです。

もし施設に入居するなった時は入居条件はあるものの、第一に検討するのが特別養護老人ホームです。

費用が安く、公共機関が運営している安心からか、老人ホームの中でも特養老人ホームの人気は高く、入居待ちの待機者が多数いる施設があります。

公的に運営されている特別養護老人ホームに入居することができる対象者はどのような方なのでしょうか。

次の章から解説していきます。

1-2.特別養護老人ホームの入居条件

特別養護老人ホームに入居する事ができる対象者は、要介護認定で要介護3~5と認定された65歳以上かつ、感染症などに関する医療的措置が必要のない方です。

(2015年から利用対象者の範囲が要介護1から要介護3に変更)

*特例として以下に該当する方も特例として認められています。

・特定疾病(関節リウマチなど)と認められた40〜64歳までの方で要介護3以上の認定を受けた方

・特例(認知症で、日常生活に支障を満たす、家族親戚などに身寄りがいない)による入居が認められた要介護1〜2の方

また、1-1で特別養護老人ホームは人気と説明しました。

その中でも以下の条件を満たしている方は入居が優遇されます。

◆要介護度が重度(要介護4や要介護5)に達している場合

◆身寄りがいなくなった、前の介護施設が経営破綻してたなど、何らかの理由で施設での介護がすぐに必要な場合

◆自力では生活できない事情(経済力がない、身寄りがいない)がある場合

では次に、特別養護老人ホームで提供されるサービスをご紹介していきます。

1-3.特別養護老人ホームで提供される8つのサービス

特別養護老人ホームでは具体的に8つのサービスを利用することができます。

■食事

特別養護老人ホームでは入居者の健康が考慮され、栄養士が献立を考え、栄養のバランスが良い食事が提供されています。

利用者の必要によってはミキサーにかけて食事が提供されます。

旬の食べ物や季節に応じた行事食、誕生日になるとケーキなども用意されたりもします。

■入浴

特別養護老人ホームでは入浴を週に2回といった具合に定期的な入浴回数を決めている施設が多いです。入浴ができない時はタオルで体を拭いて清潔感を保ちます。

一人では入浴をすることが困難な方に対して、スタッフが入浴の介助をしてくれます。

体験入居をすることで入浴介助を試せる施設もあるので、ぜひ利用してみてください。

■掃除・洗濯

自分の部屋や共有スペースの掃除は施設側か施設側が依頼する外部の業者に依頼するケースが一般的です。

洗濯についても施設側が行ってくれますが、もしもクリーニングが必要になると、実費を払って、外部のクリーニング会社にして委託する必要があります。

■排泄の介助

多くの家族が気になる、排泄の介助。

特別養護老人ホームでは、入居者の状況に合わせて排泄の介助を行ってくれます。

入居者が立ち上がったりすることができる場合は、トイレで行うことができます。

寝たきりの方の場合はベッド上でも排泄の介助を受けることができるので安心です。

■レクリエーション

レクリエーションは他の施設入居者の方との関わり、娯楽の提供を目的として行われます。

その地域の小学生・中学生と関わることができる機会であったり、季節ごとのクリスマスパーティー、外部へのお出かけをしたりします。

以上のように、レクリエーションにはさまざまなパターンがあり、施設によってもどんなレクリエーションを提供するのか違いがあります。

■リハビリ

その入居者の方の心身の状況によって、食事や排泄、人とのコミュニケーションなど、日常生活を送るのに必要な生活機能を少しでもアップさせるために、軽いリハビリを行うことができる施設もあります。

レクリエーションもリハビリの1つに含まれます。

■看取り

看取りまでを行う特別養護老人ホームは近年では増えてきています。

慣れ親しんだ施設で人生の最期を迎えるよう、医者・介護職員などが共同して、本人や家族と会話を重ねながら説明・同意を得ながら看取りのための介護を行います。

施設に入居する要介護者の意見をよく聞き、家族・親戚ともよく話しながら最後の場所をどこで迎えたいのかを考えておくことが大切です。

https://carers-navi.com/end-of-lifecare-knowledge

■健康管理

医者や看護職員が特別養護老人ホームに訪問診療を行い、入居者の健康を逐一管理します。

また、入居者に万が一の事があったときには、すぐに病院と連絡が取ることができる体制などが敷かれています。

健康管理で入居者の体に異変がないかを確認できるため、本人や家族も安心です。

以上8つが特別養護老人ホームで受けることができる介護サービスです。

1-4.特別養護老人ホームの部屋

続いて、特別養護老人ホームの設備を解説していきます。

特別養護老人ホームには以下の表のように4種類の部屋のタイプがあります。

従来型個室 1人1部屋 
多床室 3、4人1部屋
ユニット型個室 1人1部屋 
ユニット型個室的多床室 1部屋をパーテーション等で区切る

1つずつ詳しく解説していきます。

■従来型個室

従来型個室は1人1部屋を利用することができるタイプになります。

従来型個室には共有スペースがなく完全な1人部屋の個室になるため、入居者のプライバシーや入居者の生活リズムも守られます。

従来型は施設内での踏み込んだ人間関係を築かない事が多いため、対人とのコミュニケーションをとることがが苦手な方に選ばれている個室になります。

居住費は1日あたり1,150円で、月に換算すると34,500円です。

 

■多床室

1室に対して複数のベットが用意され、3~4人の入居者と同じ部屋で生活をするタイプになります。

しかし、最近ではプライバシーの観点からもの観点からも多床室ではなく、従来型個室を選ぶ施設も増えてきています。

居住費は1日あたり840円で、月に換算すると25,200円です。

共同部屋となるため、従来型個室よりも1万円弱安くなるのも特徴の1つです。

できるだけ経済的負担を抑えて入居したいという方に、多床室は選ばれています。

 

■ユニット型個室

ユニット型個室は1人1部屋を利用することができるタイプの部屋のことを指します。

従来型個室との違いは共有スペースの有無にあります。

ユニット型個室にはだいたい10部屋に1つ、ロビー、ダイニング・簡易キッチン・浴室・トイレなどの他の入居者と触れ合うことのできるスペースがあります。

個室でプライバシーを保ちながらも、他の入居者とコミュニケーションを通じて、対人との関係を築きたいという方はこのユニット型個室を選んでいます。

居住費は1日あたり1,970円で、月に換算すると59,100円です。

 

■ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室はユニット型個室とほとんど同じ特徴をもっている部屋です。

異なる点は、多床室を改装し、分割して作られた個室であるという点です。

パーテーションで部屋ごとがしきられているものの、プライベートの空間がダダ漏れで完全に個室の部屋ではない施設もなかにはあります。

入居前に必ず下見をし、確認することが大切です。

居住費は1日あたり1640円で、月に換算すると49,200円です。

 

以上が特養老人ホームの部屋になります。

1-5.特別養護老人ホームにかかる費用

特別養護老人ホームに入居するにはいくらかかるのか。

入居を考えている方は特に気になる疑問かと思います。

特別養護老人ホームの費用は主に「居住費」「食費」「介護サービス費」「日常生活費」がかかります。

それを部屋タイプごとにまとめた表が以下のとおりです。

すべて30日分の合計になっています。

■従来型個室

内訳 月額(30日計算)
居住費 3万5,130円
食費 4万1,760円
介護保険

1割負担額

要介護3         要介護4        要介護5 

2万1,360円       2万3,400円       2万5,410円

日常生活費 1万円
合計 要介護3         要介護4        要介護5

10万8,250円   11万0,290円   11万2,300円

 

■多床室

内訳 月額(30日計算)
居住費 2万5,650円
食費 4万1,760円
介護保険

1割負担額

要介護3         要介護4        要介護5 

2万1,360円       2万3,400円       2万5,410円

日常生活費 1万円
合計 要介護3         要介護4        要介護5

9万8,770円     10万0,810円   10万2,820円

 

■ユニット型個室

内訳 月額(30日計算)
居住費 5万9,100円
食費 4万1,760円
介護保険

1割負担額

要介護3         要介護4        要介護5 

2万3,790円       2万5,860円       2万7,870円

日常生活費 1万円
合計 要介護3         要介護4        要介護5

13万4,650円    13万6,720円   13万8,730円

 

■ユニット型個室的多床室100960

内訳 月額(30日計算)
居住費 4万9,200円
食費 4万1,760円
介護保険

1割負担額

要介護3         要介護4        要介護5 

2万3,790円       2万5,860円       2万7,870円

日常生活費 1万円
合計 要介護3         要介護4        要介護5

12万4,750円    12万6,820円   12万8,830円

※1単位=10円 1割負担の場合

 

食費と介護保険1割負担額はどのタイプでも同じで、居住費に差が見られます。

この他にも病気にかかった時の医療費などが費用として負担となってきます。

施設に入居するとなると入居一時金と月々の利用料を負担する形になりますが、特別養護老人ホームは入居一時金が不要であることが最大の魅力です。

自分の手元の予算と特別養護老人ホームの費用を見比べて、どの部屋タイプが望ましいのか、他の施設と比べるとどうなのかを考えるようにしましょう。

1-6.特別養護老人ホームの介護・医療体制

特徴の章の最後に、特別養護老人ホームの介護・医療体制を解説していきます。

施設に入った後の緊急 事態への対応、介護の体制は気になるところかと思います。

結論からいうと、特別養護老人ホームは医療ケアよりも介護ケアの体制の方が整っています。

医療ケアを重視したいという方は介護療養型医療施設を検討した方が望ましいでしょう。

 

■特養老人ホームの介護体制

厚生労働省は特養老人ホームに対して、人員配置基準として「看護職員もしくは介護職員を入所者3人に対して最低1人配置する」ことを定めています。

介護保険法の特養老人ホームの定義では「要介護者に対して施設サービス計画に基づいた入浴・排泄・食事などの日常生活の介護、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行う施設」となっています。

特別養護老人ホームでは介護職員の数が多くなっており、介護ケアに特化した施設であり、充実した介護サービスを受けることができる、介護体制になっています。

健康管理及び療養上の 指導のための必要な数

■特養老人ホームの医療体制

対して、医療体制はというと、配置基準として「入所者100人あたりに対して医師は1人、看護師は3人」と厚生労働省により定められています。
https://www.tokyo.med.or.jp/docs/handbook/328-337.pdfより)

老人保健施設(入所者100人あたりに対して医師は1人、看護師10人)、介護療養型医療施設(入所者100人あたりに対して医師は3人、看護師17人)に比べても医師・看護師の配置基準が少なくなっており、手厚い医療措置は老人保健施設、介護療養型医療施設の方が受けることができます。

また、配置されている医師が非常勤であり、毎日常勤していない場合や夜勤の看護師の義務がないことからも緊急時の対応は老人保健施設、介護療養型医療施設の方が素早い対応をすることができる可能性が高いです。

ただし、老人保健施設は在宅復帰を目的とした一時的な入居機関ですので、原則的に退所となります。

特養老人ホームは医療ケア施設よりも介護ケア体制の方が充実している施設です。

医療ケア体制を重視したい方は介護療養医療施設を検討すると良いでしょう。

2.特別養護老人ホームのメリット・デメリット

特別養護老人ホームがどんなものかわかったところで、利用する際に気になることを解説していきます。

この章を見れば以下の2つのことがわかります。

・特別養護老人ホームのメリットは何か

・特別養護老人ホームのデメリットは何か

では1つ1つ解説していきます。

2-1.特別養護老人ホームのメリット

・費用が安い

先述した通り、特別養護老人ホームは入居一時金が不要です。

また、入居者本人と扶養義務者の所得の状況に応じて月負担額が設定されるシステムや制度の適用により他の施設よりかかる費用が安くなることが多くなります。

・長期入所が可能

特別養護老人ホームは、原則として終身にわたって利用できることが特徴です。

同じ公的介護施設といえど介護老人保健施設は原則3ヶ月で退所しなければなりません。

・介護が手厚い

要介護度の高い方のための施設ゆえ介護スタッフが24時間体制で常駐しているので安心です。

2-2.特別養護老人ホームのデメリット

・入所しにくい

2015年4月の制度改正により要介護度3以上の人しか入所することができなくなりました。(要介護度 1、2でも例外あり。)また、入所希望待機人数が多いため入所まで長く待たなければならないことがあり ます。

・医療体制が十分でないことがある

介護スタッフは24時間体制で常駐していますが、看護師の24時間常駐は義務づけられていません。なの で、できる医療行為に限界があります。

では、実際に入所する特別養護老人ホームを選ぶ際にはどういった点に注意すれば良いのでしょうか。

次の章で解説します。

3.選ぶ上で知っておきたいポイント

特別養護老人ホームの特徴を理解したところで、実際に選ぶときに考慮すべきポイントを挙げていきます。

・受けられる介護サービス、医療ケアの内容

施設によって違いがあります。入居者の求めるサービス、ケアが受けることができるかを重視しましょ   う。

・経営状態の見極め

今後もサービスが変わらず受けられるか、など経営状態は色々な要素に影響します。

経営を始めて何年たっているのかも含め、確認しておくことをおすすめします。

4.特別養護老人ホームではいきなり追加費用がかかる場合があることに注意

特別養護老人ホームでは、そこで最期を迎えられる方も多くいらっしゃいます。

特別養護老人ホームで最期を迎えた場合、死亡日から逆算して「看取り介護費」がかかります。

どのようなシステムで加算されていくのか、以下で説明します。

■死亡の4~30日前 1440円/日

■死亡前日、前々日  6800円/日

■死亡当日    1万5800円/日

看取り介護費はこのような金額設定になっています。

30日分を合計すると6万8280円です。

では、特別養護老人ホームに入居するにはどうすればよいのでしょうか。

次の章で説明します。

5.特別養護老人ホームに入居する時の手順

1、まず、入居を希望する施設の申込書類を入手します。(訪問もしくは郵送にて)

2、入居申込書や介護保険証のコピーなど施設や市町村で指示された書類を用意します。

3、資料がそろったら施設に直接申し込みます。

  複数の施設に申し込む際、施設ごとに申し込む必要があります。

ここまで終えたら、施設が審査をします。入居が認められると連絡がきます。

以下、入居が決定してからの手順です。

1、施設側と入居日の設定を行います。施設側の送迎の有無も確認しておきましょう。

2、施設または自宅にて契約書、身元引受書、重要事項説明書などの説明を受け署名および捺印をします。

3、入居後は入居施設に住民票を移します。

  移さない場合は入居者の医療関係、介護保険関係の郵便物が施設に届くようにしておきましょう。

6.まとめ

いかがだったでしょうか?

特別養護老人ホームは入居条件が要介護3以上であること、費用が他の施設より比較的安いことが特徴でした。

その分、入居希望者が多くすぐに入居できるとは限りません。

施設に求めるものの優先順位を明確にし最適な特別養護老人ホームを探していきましょう。

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