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介護で「生活保護」を受けるには?仕組みから申請方法まで徹底解説!

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「今まで自費で介護をしてきたけど、そろそろ家計が苦しい…。」

「自分たちの力だけでは限界がある…。」

介護における経済面で、悩みや不安を持ってはいませんか?

そんな時に国の制度である ”生活保護を利用する“ という選択肢があります。

生活保護を利用している人は年々増えてきていて、申請もそれほど難しいものではありません。

生活保護受給者数

厚生労働省:年齢階級別生活保護受給者数、保護率の年次推移

ここでは、介護をしながら生活保護を受けようと考えている方に向けて、様々な疑問を解決できる記事を掲載しています。

生活保護を受ける上でのメリット・デメリットから、申請手続きまで、わかりやすく解説しました。

生活保護の利用方法を知ることで、少しでも役に立てれば幸いです。

1.介護保険と生活保護の関係

天秤

生活保護受給者が、介護保険を適用することはできるのか?疑問に思っている人もいるのではないでしょうか?

介護保険の被保険者は、年齢によって2つに区分されます。そして、第一号被保険者と第二号被保険者に分けられています。それぞれの区分での待遇をまとめました。

①第一号被保険者 65歳以上の全ての人

65歳以上の人は全員が介護保険の被保険者となるため、介護保険料は一部(年金受給していない、また18万未満の場合など)を除き、基本的に年金から天引きされます。

しかし、生活保護受給者は介護保険料の負担をすることができないため、介護保険料分が「生活扶助」として上乗せされて生活保護費から支払われます。
さらに、こうした人が要支援または要介護状態になり、介護サービスを利用したときには1割の自己負担分が「介護扶助」として生活保護費から支払われます。

結果、生活保護受給者は、介護保険料、介護サービス利用料ともに自己負担金はありません

②第二号被保険者 40歳以上64歳以下であり、かつ医療保険加入者

第二号被保険者は、医療保険加入者であることが前提であるため、介護保険料は医療保険料に上乗せで徴収されます。

したがって、医療保険を納められない生活保護受給者は介護保険の第2号被保険者にはなれません。

ただし、40歳以上64歳以下であり、かつ第二号被保険者と同様、特定疾病により要支援、要介護状態となった場合には、「みなし第二号被保険者」として介護サービス利用料の全額が「介護扶助」として生活保護費から支払われます。

2.生活保護を申請することのメリット・デメリット

助け合い

 

メリットもありますが、当然デメリットもあります。

メリット デメリット
①支払いが免除またはまたは無料になる

・住民税、固定資産税などの税金
・公的保険の保険料
・医療費
・NHK受信料
・保育料

①所有できるものが制限される

・自動車・バイク
(原付きや小型バイクは認められる場合も多い)
・宝飾品
・不動産
※すでに住宅ローンを支払い終えていれば、住むことが可能です。
・生命保険
・贅沢品(複数所有のパソコン等)
※贅沢品の定義はあいまいで、自治体や時代によっても基準が違います。

②最低限の生活が担保される ②ローンを組めなくなる
③定期的に職員に訪問される
(求職活動や収入について聞かれる)
④家族・親族に生活保護の利用を知られる
⑤クレジットカードを使えない

生活保護受給者は年々増えていますが、メリット・デメリットを事前に認識した状態で申請するようにしましょう。

3.年齢や住んでいる各市町村、収入や世帯人員など世帯の状況によって生活保護基準額は違う

ハンコ

3-1地域別の生活保護基準額

地域によって物価や地価、地理的条件が異なるため、「どこに住んでいるか」という各地方によって「級地」というものが決まっていて、それをもとに生活保護基準額が決められています。

例えば、2018年10月の時点で生活保護基準額は宮城県仙台市では、一人暮らしの高齢者世帯で7万5100円、高齢者の夫婦の世帯では、11万4150円となっています。
一方で青森県弘前市では、一人暮らしの高齢者世帯で6万6780円、高齢者の夫婦の世帯では10万2300円となっています。

このように、高齢者の夫婦世帯で地域によって、月々1万円以上の差があります。

※これは2018年10月時点でのおおよその金額です。

級地 市町村区
1級地−1 東京23区、立川市、さいたま市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市など
1級地−2 札幌市、仙台市、所沢市、朝霞市、千葉市、市川市、青梅市、横須賀市、大津市、宇治市、岸和田市、姫路市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市など
2級地−1 函館市、青森市、盛岡市、秋田市、宇都宮市、前橋市、川越市、野田市伊勢原市、金沢市、甲府市、長野市、岐阜市、静岡市、浜松市、豊橋市、津市、奈良市、下関市、熊本市、那覇市など
2級地−2 夕張市、名取市、日立市、足利市、大垣市、加古川市、宇部市、岩国市、佐世保市など
3級地−1 北見市、網走市、弘前市、花巻市、石巻市、気仙沼市、能代市、米沢市、会津若松市、栃木市、秩父市、銚子市、宜野湾市など
3級地−3 上記に分類されない市町村(※)

※「上記に分類されない市町村」とは上記表に記載のない市町村すべてを指すわけではありません。スペースの都合上、1等地-1~3等地-1について、該当する全ての市町村を記載することができないため主な市町村のみを記載しています。上記の表に該当地域が含まれていない場合は「厚生労働省_級地区分」よりご確認ください。

3-2生活保護受給者の保護費体系

生活を営む上で必要な費用 扶助の種類 支給内容
日常生活に必要な費用
(食費・被服費・光熱費等)
生活扶助 基準額は、
(1)食費等の個人的費用(2)光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。※特定の世帯には加算があります。
(母子加算等)
アパート等の家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な
学用品費
教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払

(本人負担なし)

介護サービスの費用 介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払

(本人負担なし)

出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 正業扶助 定められた範囲内で実費を支給
葬祭費用 葬祭扶助 定められた範囲内で実費を支給

出典:厚生労働省

※生活保護は世帯に対して支払われるため、家族構成や年齢によっても変わります。

4.生活保護受給者の入居条件

チェックリスト

生活保護受給者でも、老人ホームに入居することは可能です。
費用的な観点から見ても、一般的なのは特別養護老人ホームです。特別養護老人ホームでは、所得に応じて負担軽減措置が受けられるので、費用面での心配がいりません。

有料老人ホームでも、生活保護受給者は入居することは可能です。しかし、家賃が「住宅扶助」として定められている上限額内に収まり、生活費においても「生活扶助」で支給される上限額内に収まる施設である必要があります。

5.生活保護を申請する際の手順

先生

以下の六つに順序を分けて説明します。

①福祉事務所に相談
②申請
③担当員が調査
④調査結果から判定
⑤結果の通知
⑥結果 受給か却下

①福祉事務所に相談

生活保護を受けるときは、まずは近くの福祉事務所に相談をしましょう。お近くの福祉事務所は厚生労働省の管理している以下のページで探すことができます。

厚生労働省「生活保護と福祉一般:福祉事務所一覧」

相談の際は、預金通帳や、離職票など、お金がない状態を証明できるものをもっていくとスムーズに進みやすいです。

②申請

必要になるのは、主に以下の書類です。

・生活保護の申請書・申告書
・本人確認書類
・収入に関する書類(状況に応じて必要)
・資産に関する書類(状況に応じて必要)
・その他の書類(状況に応じて必要)

③担当員が調査

生活保護の受給が可能かを担当員が調査します。
原則的に以下の全てに当てはまる場合は生活保護を受給することができます。

・世帯収入が最低生活費以下
・預貯金・現金がほぼない
・土地・家・車などの資産がない(売却可能資産がない)
・借金がない
・援助してくれる身内(家族・親族)がいない
・病気などの理由があって働けない
・ほかの公的制度の支援を受けられない(もしくは受けても足りない)

しかし、生活保護は最終的なセーフティーネットであるため、該当しないと判断されることは多くあります。

④調査結果から判定

民法上扶養義務者に書面を送り「援助の可否」について確認を取ります。
もし、「可能」と答える人がいて、実際に援助を見込める場合は申請が却下されます。

⑤結果の通知

申請後、原則14日以内、最長30日以内に受給可否が決定します。
結果の通知方法は、郵送か電話となっており、郵送の場合は、保護決定通知書か保護申請却下通知書が届きます。

⑥結果 受給か却下

却下された場合で、却下理由に納得できない場合は、不服(再審査)を申し立てることができます。

6.生活保護がわからないときの相談先

生活保護制度の仕組みや各種社会保障施策等の活用についてわからない点や不安な点がある際は、生活保護担当窓口に相談するようにしましょう。
生活保護担当窓口は、各地域の自治体や行政に設置されています。
詳しくはお住まいの地域のホームページや、直接伺って見ることで確認できます。

7.まとめ

いかがでしたか?
生活保護の受給者は年々増加しているので、近い将来自分や自分の身内が対象になっても不思議ではありません。

困ってから調べるのではなく、事前にある程度の知識を持っていれば、いざという場面でも慌てることなく対応ができます。

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