母の背中が丸くなってきて心配。。。
円背(えんぱい)ってどんな症状があるの?
どうすれば、円背を予防できるの?
このような疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか?
円背とは、背中や腰が大きく前に曲がり、固まっている状態です。
円背になると、歩行困難や呼吸困難、圧迫骨折など様々な症状が現れます。
この記事では、円背の症状や原因、予防法について解説します。
目次
1.円背(えんぱい)とは
円背とは、背中や腰が大きく前に曲がり、固まっている状態です。
背中が曲がった状態は、猫背と呼ばれますが、より猫背が進行することで円背になります。
また、円背は亀背と呼ばれることもあります。
円背が進行すると、仰向けになれず寝返りが打てなかったり、バランスが取りづらくなり歩行困難に至ってしまいます。
2.円背の原因は加齢だけではない
円背の大きな原因は、加齢による筋力の低下です。
体を支える筋力が低下することで、S字を描くかたちで全体のバランスを保っている背骨を支えられず、だんだんと前に倒れてしまいます。
また、筋力の低下だけでなく、加齢によって椎間板が変性したり、骨粗しょう症で骨がもろくなることも原因と考えられます。
特に女性は閉経を機に骨密度が低下するため、骨粗しょう症になりやすいです。
初期段階では、ほとんど自覚症状がないため、いつの間にか円背が始まっていることもあります。
その他にも、円背の原因としては、二分脊椎や先天性脊柱後湾症など生まれつき脊椎の変形がある場合や、化膿性脊椎炎、脊椎カリエス、脊髄髄膜瘤など、病気が原因で起こる場合もあります。
3.円背の症状
3-1.歩行能力の低下
円背になると、バランスが保ちづらく歩行が困難になります。
背中が曲がることで、上半身の重心が変化してしまうため、バランスを保つことが難しくなります。
また、頭が下に下がってしまうため、視野が狭くなり転倒や事故の可能性も高まります。
要介護になる原因のうち、10%以上が転倒と言われており注意しなければなりません。
そのため、円背を修正することはとても重要です。
3-2. 呼吸しづらくなる
円背になると胸が圧迫されてしまい、呼吸が難しく息苦しさを感じます。
また、筋肉は酸素を動かす元になるため、酸素が不足すると筋力の低下にも繋がってしまいます。
3-3.圧迫骨折のリスクが高まる
円背になると、背骨が前に倒れてしまい、背骨に大きな負担がかかります。
歩行や軽い運動をするだけでも背骨への負担は大きく、圧迫骨折に繋がりやすいです。
圧迫骨折は痛みがない場合もあり、折れた背骨がより曲がってくっついてしまう場合もあります。
3-4.誤嚥のリスクが高まる
物を飲み込むことを嚥下(えんげ)と言います。
嚥下すると、本来では食べ物は口から食道、胃へと入ります。しかし、脳血管障害の後遺症や身体の老化により嚥下の機能が低下すると、食道へ入るものが誤って気管に入ってしまうことがあります。これがいわゆる「誤嚥(ごえん)」です。
口腔内の細菌や食べかす、逆流した胃液などが気管支や肺に入ることで生じる誤嚥性肺炎は、最悪の場合には死につながる病気です。
円背になると、人は自然とあごが上がってしまうため、誤嚥が起こりやすくなります。
4.円背の予防方法
これまでの説明で、円背には様々なリスクがあるとわかりました。
円背にならないためにはどのような予防法があるのでしょうか?
4-1.加齢による筋力低下を防ぐ
筋力低下を防ぐには運動が効果的です。
ここでは、簡単に行える運動をご紹介します。
4-1-1.柔軟性をアップするタオル体操
タオル体操は、筋肉の萎縮を予防し柔軟性がアップする効果があります。
タオルの端を両手で持ち、横向きに振ったり、縦向きに振ったりしましょう。
4-1-2.新聞紙体操で指先の運動
新聞紙をちぎることで、指先や握力の機能訓練ができる体操です。
新聞紙を用意し、複数人で行います。
ひとり一枚の新聞紙を、制限時間内に何分割にできるか競いましょう。
この時、「両手で」「片手で」「親指と人差し指で」のように制限することで身体の多様な場所を動かせます。
制限時間は、1分から2分程度が目安です。
4-1-3.転倒予防になるペットボトル体操
ペットボトルで転倒の予防ができる体操方法です。
まず、水を少し入れた500mlのペットボトルを寝かせておきます。
そのペットボトルを、片足だけを使い起き上がらせましょう。
この際、ペットボトルを5つほど用意し、何秒で全部起き上がることができたか測るのがおすすめです。
https://carers-navi.com/exercise
4-2.骨粗しょう症の予防をする
円背の原因である骨粗しょう症を予防することも1つの方法です。
4-2-1.骨密度を低下させない食事
骨の形成に関係する栄養素を摂りましょう。
骨密度の低下を防ぐ主な栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKになります。
4-2-2.転倒防止のための運動
骨粗しょう症の予防には、転倒予防に有効な筋肉である、お尻と太もも(前後)、ふくらはぎのトレーニングが大切です。
また、下半身だけでなく、上半身も鍛えることで体のバランスが安定します。
5.円背の改善法
改善方法は、円背の原因によって変わってきます。
骨粗しょう症の場合は、その治療が最優先ですし、筋力の低下が原因であれば筋トレが必要になります。
まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
円背には、歩行困難や呼吸困難だけでなく、誤嚥や骨折のリスクもあります。
円背にならないためには、筋力の向上と骨粗しょう症の予防が大切です。
日々の生活の意識を変えて、円背の予防に努めましょう。