介護者が転倒してしまわないか心配。。。
転倒の対策はどうすればいいの??
高齢になるとなぜ転倒しやすくなるの??
このような課題や疑問を抱えているのではないでしょうか?
要介護になる原因の10%以上が転倒
内閣府が発表した平成27年版高齢社会白書によると、「要介護」となる主な原因として、「骨折・転倒」は全体の12.2%を占め、4番目の多さになっています。
出典:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/zenbun/27pdf_index.html
さらに、消防庁の発表によると、高齢者の救急搬送のうち「転倒」が約80%を占めています。
出典:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/201509/kkhansoudeta.html
このようなデータから、転倒防止への対策は必須といっても過言ではありません。
なぜ、これほどまでに転倒事故が起きてしまっているのでしょうか?
目次
1.転倒の原因は2つに分けられる
転倒の原因は内部要因と外部要因の2つに分けることができます。
内部要因とは、高齢者自身に起こっている問題で、外部要因とは、高齢者が関わる環境の問題です。
転倒は、内的要因と外的要因が合わさることで、発生する確率が大きく上昇します。
1-1.転倒の内的要因
〇病気や疾患
病気や疾患により、身体機能の低下や麻痺など体が思うように動かせなくなると転倒の可能性は大きくなります。
〇加齢による筋力・身体機能の低下
病気や疾患がない場合でも、年齢を重ねるにつれ、筋力や身体機能は低下します。病気や疾患がないからといって昔と同じように生活していると危険です。
〇薬による副作用
薬による副作用によって眠気やふらつきが表れることがあります。
事前に副作用の有無を把握して、服用後はより一層の注意をしましょう。
1-2.転倒の外的要因
〇住居の環境
東京消防庁の調査によると、転倒の50%以上が屋内で発生してることが分かっています。
わずかな段差でも転倒の要因になってしまいます。
外部要因になりえる住居の環境
・延長コードなどの障害物
・手すりのない階段や風呂場
・カーペットの出っ張り
・十分な明るさのない部屋
・敷居などのわずかな段差
〇周囲のコミュニケーション
外部要因には周囲とのコミュニケーションも含まれます。
歩行介助してくれる家族がいるか、買い物帰りで重い荷物を持っている時に手を差し伸べてくれる近所の人がいるかなどが重要です。
もし、周りにコミュニケーションの取れる人がいない場合は、介護サービスの利用や施設への入居も検討してみましょう。
2.転倒予防には身体機能と住居環境
2-1.身体機能の向上
転倒予防に有効な筋肉は、お尻と太もも(前後)、ふくらはぎです。
また、下半身だけでなく、上半身も鍛えることで体のバランスが安定します。
ここでは、家にあるもので簡単にできる体操を3つ紹介します。
ぜひ実践してみてください。
2-1-1.柔軟性をアップするタオル体操
タオル体操は、筋肉の萎縮を予防し柔軟性がアップする効果があります。
タオルの端を両手で持ち、横向きに振ったり、縦向きに振ったりしましょう。
2-1-2.新聞紙体操で指先の運動
新聞紙をちぎることで、指先や握力の機能訓練ができる体操です。
新聞紙を用意し、複数人で行います。
ひとり一枚の新聞紙を、制限時間内に何分割にできるか競いましょう。
この時、「両手で」「片手で」「親指と人差し指で」のように制限することで身体の多様な場所を動かせます。
制限時間は、1分から2分程度が目安です。
2-1-3..転倒予防になるペットボトル体操
ペットボトルで転倒の予防ができる体操方法です。
まず、水を少し入れた500mlのペットボトルを寝かせておきます。
そのペットボトルを、片足だけを使い起き上がらせましょう。
この際、ペットボトルを5つほど用意し、何秒で全部起き上がることができたか測るのがおすすめです。
https://carers-navi.com/exercise
2-2.住居環境の整備
外部要因の対策として、住居環境の整備は欠かせません。
階段や廊下、トイレ、浴室などに手すりの取り付けや玄関や浴室などの段差や傾斜を解消、滑りの防止のため床の張替などが必要になります。
ご自宅の中でどこに問題があるか確認しましょう。
また、介護保険の制度には在宅介護に必要な住宅改修費が含まれています。
これは、介護のための住宅改修を支援する仕組みです。
上記に挙げた住宅改修を行う場合、工事費用の7~9割が支給されます。(上限20万円まで)
〇介護保険の対象となる主な6つの工事
手すりの取り付け
段差の解消
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
引き戸等への扉の取替え
洋式便器等への便器の取替え
その他上記の住宅改修に付帯する工事
https://carers-navi.com/jutakukaisyu
3.転倒してしまったときに介護者がするべき行動
3-1.まず介護者がするべきこと
転倒事故が発生したら以下の手順を行いましょう。
・意識があるかを確認する
・気持ちを落ち着かせるように声かけをする
・転倒したままの姿勢から動かさない
・どこが痛むか、吐き気などはないか、身体の状態を聞く
3-2.動けない場合
痛みがなく頭を打っていなければ安全な場所に移動して大丈夫ですが、痛くて動けない場合や、意識がもうろうとしている場合は、移動はさせないでください。
無理に動かしてしまうと、ケガを悪化させてしまったり痛みが増してしまう可能性があります。
救急車を呼び、周りの安全を確保しましょう。
3-3.頭を打ってしまった場合
高齢者の転倒で気を付けなければならないのが頭部の打撲です。
身体機能の低下により、とっさに手が出ず、顔や頭を打ってしまうことはよくあります。
脳への衝撃は命に関わったり、後遺症が残りやすいため、痛みがないと言っている場合でもなるべく早く病院で検査を受けましょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
高齢者の転倒は内部要因と外部要因に分けて様々な要因によって引き起こされます。
大切なことは、転倒の可能性をなるべく下げるため、原因を一つでもなくすことです。
転倒予防の体操や住宅改修を行い安全に生活できる環境を整えましょう。
万が一転倒してしまった場合は手順を追って対応し、症状がなくても一度かかりつけ医にかかることをオススメします。