
近年、高齢者の肥満率が高まっていることをご存じでしょうか?
平成元年の60代男性の肥満率は15.2%だったのに対し、令和元年の60代男性の肥満率は35.4%に増加しています。
そして、高齢者のメタボリックシンドロームは、認知症を発症するリスクを高めていると言われているのです。
この記事では、メタボリックシンドロームの現状や原因、認知症との関係について解説します。
目次
1.メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧や高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などの疾患になりやすい状態を指します。
単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームにはあてはまりません。
メタボリックシンドロームは、生活習慣病の1つで、食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患です。
2.高齢者のメタボリックシンドロームの現状
厚生労働省が行っている「国民健康・栄養調査」によると、男女ともに高齢者の肥満の割合が高まっています。
平成元年の60代男性の肥満率は15.2%だったのに対し、令和元年の60代男性の肥満率は35.4%に増加しています。この数値は女性も同様に増加していることがわかっています。
つまり、男女ともに高齢者の3〜4人に1人が肥満であることがわかりました。
3.メタボリックシンドロームの原因
3-1.食事
メタボリックシンドロームに大きく影響しているのが食生活です。
偏った栄養バランスや不規則な時間の食事などが原因になります。
また、塩分を取りすぎると高血圧になり脳卒中のリスクへ、糖分を取りすぎると糖尿病になりアルツハイマー認知症のリスクへとつながります。
3-2.運動不足
運動不足もメタボリックシンドロームの原因です。
運動不足は、筋力の低下により基礎代謝の減少や血流の低下をもたらします。
高齢者がそのような状態になってしまうと、運動不足が加速しさらに筋力が衰え、体脂肪率が上がり肥満になります。
3-3. ストレス
ストレスがかかっている状態では、暴飲暴食など生活習慣に乱れを招きます。
結果的に免疫力の低下や他の生活習慣病の原因を促進してしまいます。
ストレスを定期的に発散できる習慣を作りましょう。
4.メタボリックシンドロームと認知症
認知症の原因は、さまざまな脳の病気です。
原因の約7割はアルツハイマー病で、神経細胞が傷害され脳が委縮します。
次に、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が認知症の原因です。
これらアルツハイマー病や脳血管障害を引き起こすリスクを高めるものは、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病です。
メタボリックシンドロームは、高血圧や糖尿病、脂質異常症になっている又は、なりやすい状態と言えます。
よって、高齢者のメタボリックシンドロームは、認知症を発症するリスクを高めていることがわかります。
5.メタボリックシンドロームと合併症
メタボリックシンドロームの合併症としては、II型糖尿病や高中性脂肪血症、高血圧などがあげられます。
また、メタボリックシンドロームの患者はそうでない人に比べて数十倍もの確率で血管障害や心臓病になると言われています。
肥満に関連する健康障害には、以下の11個があります。
【肥満に関連する健康障害】
①耐糖能障害 ②脂質異常症 ③高血圧 ④高尿酸血症・痛風
⑤冠動脈疾患 ⑥脳梗塞 ⑦脂肪肝 ⑧月経異常
⑨睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群 ⑩運動器疾患
⑪肥満関連腎臓病
6.メタボリックシンドロームの予防法
6-1.食事
食事の内容を炭水化物中心から低糖質、低塩分にするとよいでしょう。
考えるのが難しい方は、すでに塩分やカロリー計算されている宅配食を検討してみてはいかがでしょうか?
http://carers-navi.com/care-food
また、様々な栄養素を含む食品をバランスよく摂りましょう。
いきなり食生活を変えることは難しいので、ゆっくりと習慣を見直して行くことをおすすめします。
6-2.運動
運動はメタボリックシンドローム以外にも、認知予防などの介護予防につながります。
自分の体調と生活習慣に合った方法を取り入れましょう。
この記事を読んでいきなり激しい運動をすると、かえって心筋梗塞を引き起こす原因になってしまいます。
以下のような簡単にできる運動や体操を日常生活に取り入れてみましょう。
・ウォーキング
・スロージョギング
・笑いヨガ
https://carers-navi.com/exercise
7.まとめ
いかがでしたでしょうか?
メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などの疾患になりやすい状態を指します。
そして、高齢者のメタボリックシンドロームは、認知症を発症するリスクを高めていると言われています。
メタボリックシンドロームは、食習慣と運動習慣を整えることで予防が可能です。
ぜひ、この機会に生活習慣を整えてみてください。