介護DXは進んでるの?
どんなDXが行われている?
介護DXに取り組むメリットは何?
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
DXとは、企業がAIやIoTなどのデジタル技術を用いて変革をもたらすことです。
この記事では、介護DXが求められる背景やメリット、具体例などを解説します。
目次
1.DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは
DXは、経済産業省の定義によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。
具体的には、企業がAIやIoTなどのデジタル技術を用いて変革をもたらすことを意味します。
2.介護DXが求められる背景
2-1.介護難民の問題
介護難民とは、介護を必要とする状態にもかかわらず、適切な介護サービスを受けられない人をいいます。
単に介護施設に受け入れてもらえないだけではなく、在宅でも適切な介護を受けられない状況です。
現状として、介護難民がどのくらいいるかという正確な数字は公表されていません。
しかし、特別養護老人ホームの実態を見ると介護難民の現状が少しわかります。
2019年4月1日時点で、全国に特別養護老人ホームの待機者は29.2万人です。
2015年に日本の人口問題などに取り組む「日本創生会議」は、2025年に全国で約43万人が介護難民になると試算しました。
さらに、43万人のうち13万人は東京圏で発生すると試算しています。
介護難民について詳しくはこちら
2-2.老老介護・認認介護の問題
老老介護とは、65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護している状態です。
老老介護は、夫婦間だけではなく、親子や兄弟の間でも行われています。
厚生労働省が平成29年に行った国民生活基礎調査によると、老老介護をおこなう世帯は、在宅介護のうち約5割です。
さらには、75歳を超える超老老介護をおこなう世帯は、全体の約3割を占めており、2025年に向かってこの数字は高まると予想されています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf
また、老老介護と一緒に認認介護という言葉を使うことがあります。
認認介護とは、認知症患者が認知症患者を介護している状態です。
お互いが認知症のため、介護どころではなく、事件や事故につながることもあります。
老老介護の状態では、お互いに認知症の自覚がないまま、認認介護になっていくことも少なくありません。
老老介護について詳しくはこちら
2-3.健康寿命の問題
現在の日本では、平均寿命と健康寿命の差が広がっていることが大きな問題となっています。
健康寿命とは、介護の手に頼らず暮らしていける年齢です。
2000年にWHO(世界保健機関)が提唱して以来、健康でいられる期間を伸ばすという健康寿命の指標が重視されています。
しかし、平均寿命は伸びているにもかかわらず、健康寿命は比例して伸びておらず、介護が必要な状態が長くなっています。
健康寿命について詳しくはこちら
2-4.医療の問題
厚生労働省の推計によると、2025年には医療費の保険給付金額が54兆円になると予想されています。
2019年からは約12兆円増える見通しです。
税の負担が若者にのしかかりますが、少子高齢化により賄いきれない可能性もあります。
さらには、病院と医師不足も問題になります。
特に地方では、病院をたらい回されることも少なくありません。
2-5.社会保障費の問題
少子高齢化に伴い、年金や医療・介護などの社会保障費が急増し、日本の財政の多くを占めるようになりました。
しかし、少子高齢化のため、税収は増えることなく今後は減少していくことが考えられます。
現状では、国の歳入のおよそ3割を国債の発行で補っているのです。
このまま少子高齢化が進めば、日本の年金システムが破綻すると多くの専門家は指摘しています。
2025年までに年金がなくなることは考えにくいですが、支給額の減少や支給年齢の引き上げは考えられます。
2-6.介護人材の問題
2018年に厚生労働省は、介護人材の増加が現状のままで推移した場合、2025年に介護職員が約34万人不足すると発表しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323.html
国が、介護離職者に対する復職支援や外国人労働者の受け入れなどの対策をしていますが、2025年に向けての人材確保の目途が立っていないのが現状です。
3.介護DXを進めるメリットとは
3-1.業務の効率化
DXに取り組むことで業務の効率化が見込めます。
業務の効率化に成功すれば、慢性的な残業や長時間労働の改善、賃上げなどが期待できます。
特に、介護職は低賃金でも労働環境はハードと言われており、DXは急務と言えるでしょう。
3-2.人材不足の解消
介護業界では人手不足によるサービス低下や労働環境の悪化による離職率の上昇などが危惧されています。
2021年に厚生労働省によると、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人を追加で確保する必要があるとされました。
介護DXに取り組むことで、この数字を抑えることが期待できます。
参考:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
4.介護DXの具体例
4-1.介護ロボットの導入
介護ロボットは、介護が必要な人(被介護者)の生活や介護をする人(介護者)の介護負担を、ロボット技術を用いて補助する介護機器です。
人間のように腕や顔がある介護ロボットが、様々な介護を代行してくれるような介護ロボットは開発に至っていません。
しかし、現時点では、「排泄のサポートに特化した介護機器」や「入浴のサポートに特化した介護機器」のように、必要な機能ごと個別に開発されています。
4-2.見守りセンサー
見守りセンサーは、本体費用だけで、24時間いつでも高齢者の状態を把握できます。
センサーによっては、撮れた映像をリアルタイムで自分のスマートフォンで確認することができます。
これによって、遠方に住んでいたり、仕事などで自宅に帰れないときでも、親の状態を知ることができます。
通常の見守りサービスでは、サービスの初期費用に加え、月々の利用料がかかります。
しかし、見守りセンサーでは、本体を購入し、設置してしまえば残りは電気代しかかかりません。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
DXとは、企業がAIやIoTなどのデジタル技術を用いて変革をもたらすことです。
介護業界では、介護ロボットの導入や見守りセンサー、オンライン面談など様々な取り組みが行われています。
在宅介護でも活用できるサービスはたくさんあるので、この機会に導入の検討をしてみてください。