現在の日本では、平均寿命と健康寿命の差が広がっていることが大きな問題となっています。
健康寿命とは、介護の手に頼らず暮らしていける年齢です。
しかし、平均寿命は伸びているにもかかわらず、健康寿命は比例して伸びておらず、介護が必要な状態が長くなっています。
この記事では、要介護の状態になることを予防し、健康寿命を延ばすためのポイント解説をします。
目次
1.健康寿命とは?
健康寿命とは、介護の手に頼らず暮らしていける期間です。
2000年にWHO(世界保健機関)が提唱して以来、健康でいられる期間を伸ばすという健康寿命の指標が重視されています。
1-1.健康寿命と平均寿命の違い
平均寿命とは、0歳時点で何歳まで生きられるかを統計から予測した「平均余命」です。
つまり、生まれてから死ぬまでの期間を表します。
一方、健康寿命は、介護の手に頼らず暮らしていける期間です。
日常生活に支障をきたすことなく健康に生きられる期間を指しています。
つまり、平均寿命と健康寿命の差が少ないと無くなる直前まで健康に生きられ、差が大きいと寝たきりなど不健康に生きる期間が長くなることがわかります。
現在の日本では、医療技術の進歩と共に平均寿命は伸びており、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳となっています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000637189.pdf
しかし、健康寿命は比例して伸びておらず、介護が必要な状態が長くなっています。
その結果、独居老人などの社会問題が起き始めています。
2.介護が必要になる原因を知ろう
内閣府の発表によると、介護が必要になった主な原因について、「認知症」が18.7%と最も多く、次いで、「脳血管疾患(脳卒中)」15.1%、「高齢による衰弱」13.8%、「骨折・転倒」12.5%となっています。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html
介護が必要になる原因のトップである認知症の予防法はこちらの記事で解説しています。
3.健康寿命を延ばすには、フレイル状態に注意
フレイルとは、『加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態』のことです。
厚生労働省発表のレポートによると、フレイルは以下のような図で表されます。
出典:厚生労働省発表、『後期高齢者の低栄養防止等の推進について』より
上の図を見ると、『健康状態と要介護状態の間の状態』と言えます。
実際、脳梗塞や転倒などにより、健康な状態から要介護状態になることもあります。
しかし、高齢者のほとんどは、上記のようにフレイルの時期を経て、徐々に要介護状態に陥るとされています。
ここで大切なのは、フレイルの状態は、対処の方法によっては健康な状態に戻ることができる、つまり可逆的な状態であるのです。
高齢になり、弱ってきたら、そこからは弱る一方であるという思い込みを持っている方が多いかと思います。
そういった思い込みは捨て、フレイルという概念をしっかりと認識し、悪循環を断ち切る方法を実行して介護状態になることを防いでいきましょう。
フレイルについて詳しくはこちらをご覧ください。
次の章では健康寿命を延ばす具体的な対策を紹介します。
4.健康寿命を延ばす日常生活のポイントとは
4-1.運動をする
運動は、認知機能の向上や生活習慣病の予防につながるため、介護予防にうってつけです。
介護状態になる原因の1位は認知症、2位は脳卒中です。
そして、認知症の原因は認知機能の低下、また脳卒中の原因は生活習慣病にあります。
その認知機能の低下と生活習慣病を予防するためには、運動が効果的です。
スポーツや筋トレなど激しい運動をするよりも、自分のできる範囲で運動を行い、適切な栄養を摂取するとよいでしょう。
毎日1回は散歩をする。地域のゲートボール団体などに入る。庭の盆栽のお手入れをするなど、自分の好きな分野で体を動かすように意識しましょう。
4-2.食生活を意識する
低栄養こそがフレイルの最大の原因です。
高齢になると、誰でも食が細くなり、十分な栄養が取れていないことがあります。
特に、一人で暮らしていると、食事の品目も減り、食材も減り、食欲もわかないということが起きがちです。
そこでオススメなのが、誰かと一緒に食事をとることです。
月に1回は家族や親戚と食事をとることや地域の仲間と食事をすることで、食欲もわき、栄養もとれるようになります。
また、バランスよく食事をとることも大切です。
赤ワインやココナッツオイルなど、認知症予防に有効だといわれる食品があります。
このような情報を定期的に収集することは大切ですが、過度に取りすぎてはいけません。
情報のリソースをしっかりと確認する必要があります。
一汁三菜を意識して旬な食材を食べましょう。
4-3.健康診断を定期的に
定期的に健康診断を受けましょう。
生活習慣病などの病気だけではなく、フレイルの状態になっていないか、認知症の予兆がみられないかなどもわかる可能性があります。
フレイルの状態では、対処の方法によっては健康な状態に戻ることができるため、早期発見が大切です。
4-4.十分な睡眠を
十分な睡眠をとりましょう。
睡眠不足は、集中力や注意力の低下を引き起こします。
さらに、睡眠不足では日中の活動意欲がなくなり、筋肉量も低下しがちです。
筋力が少なくなり、注意力が低下すると、わずかな段差でもバランスを崩し転倒してしまいます。
要介護になる10%以上の原因は転倒と言われており、高齢者の転倒は一層の注意が必要です。
4-5.禁煙をする
喫煙は脳を委縮(小さく)させると言われています。
また喫煙者の脳は同年齢の非喫煙者よりも萎縮しています。
萎縮の進行度合いは 5~10 歳年上の非喫煙者と同等と言われています。
また、喫煙は、介護が必要になる要因の1つである心臓病を招くリスクが高くなります。
特に一酸化炭素やニコチンが心臓に悪影響を及ぼします。
4-6.社会とのかかわりを持つ
他者との社会的交流で、他の人に対して気を使ったり、頭を使うことが神経細胞ネットワークを強化できると考えられます。
自分の居場所となるコミュニティや趣味を見つけましょう。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
現在の日本では、平均寿命と健康寿命の差が広がっています。
平均寿命だけでなく、健康寿命を伸ばすことで豊かな老後を過ごすことができます。
以下6つが健康寿命を伸ばすポイントです。
・運動をする
・食生活を意識する
・健康診断を定期的に
・十分な睡眠を
・禁煙をする
・社会とのかかわりを持つ
あなたのできる範囲で取り組んでみてください。