ご両親がいずれ認知症にかかってしまうのではないかと不安に感じていませんか?
出典、厚生労働科学研究費補助金 認知症対策総合研究事業 「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(平成21~24)
上記の図からもわかるように、認知症の最大の要因は加齢です。
65~69歳で認知症になる確率は1.5%ですが、以後5歳ごと倍に増加し、85歳では27%に達します。
この図を見ると不安な気持ちになるでしょう。
認知症には発症する前の軽度認知障害の状態があります。
国立長寿医療研究センターの研究によると、軽度認知障害と診断された人を年間追跡調査したところ、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常に戻っていることがわかりました。
出典:https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/24/22xx-16.pdf
したがって、適切な方法をとれば、認知症はある程度、予防をしたり発症を遅らせることが可能です。
この記事では、認知症についての知識と、具体的な予防法、認知症になった場合の対応策についてお伝えいたします。
ご両親に健康に過ごしていただき、できるだけお互いの生活が維持し続けられるようにしましょう。
目次
1.認知症とは
認知症とは、厚労省によると「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」のことを指します。
つまり、「認知症」は様々な病気により脳の働きが低下して起こる一連の症状を表すため、病名ではありません。
認知症の原因になる病気は様々で、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍などがあります。
アルツハイマー病学会国際会議で発表された報告書では
(1)若年期の早期教育の不足
(2)中年期以降の高血圧
(3)肥満
(4)高齢期の難聴
(5)喫煙
(6)うつ病、社会的な孤立
(7)糖尿病
の7つが認知症発症要因の35%を占めると発表しています。
また、若い頃から糖尿病に関する早期教育を行い、中年期の肥満・高血圧・難聴を治療し、改善することで認知症の発症率を20%減らせることがわかりました。
それに加えて、高齢期に以下の5つ全てを満たすことで、認知症の発症率をさらに15%低下できることも判明しました。
(1)喫煙しないこと
(2)うつ病を治療すること
(3)運動をしっかりとすること
(4)社会的な交流を増やすこと
(5)糖尿病を治療すること
次の章では、具体的な予防方法を紹介します。
2.食事編
2-1.飲酒、喫煙をやめましょう
喫煙は、喫煙は脳を委縮(小さく)させると言われています。
また喫煙者の脳は同年齢の非喫煙者よりも萎縮しています。
萎縮の進行度合いは 5~10 歳年上の非喫煙者と同等と言われています。
また、同様に飲酒でも脳を萎縮させることが、アメリカ・ウェルズリー大学の研究チームによって示されました。
昔は、「酒は百薬の長」という言葉もありましたが、現在は否定されつつあります。
出典:https://style.nikkei.com/article/DGXDZO39490270Q2A310C1MZ4001/
2-2.糖尿病と高血圧になるような食事を避ける
糖尿病はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症引き起こします。
また高血圧による動脈硬化は脳血管性認知症のリスクを高めます。
食事の内容を炭水化物中心から低糖質、低塩分にするとよいでしょう。
様々な栄養素を含む食品をバランスよく摂りましょう。
少しずつ、食生活の習慣を見直して行くことをおすすめします。
また、ご自身で料理をすることで認知症予防の効果があると分かっています。
出典:国立国際医療センターhttp://dmic.ncgm.go.jp/content/070_060_01.pdf
2-3.バランスよく食事をとる
バランスよく食事をとることも大切です。
赤ワインやココナッツオイルなど、認知症予防に有効だといわれる食品があります。
このような情報を定期的に収集することは大切ですが、過度に取りすぎてはいけません。
情報のリソースをしっかりと確認する必要があります。
一汁三菜を意識して旬な食材を食べましょう。
3.運動編
週に2~3回以上の有酸素運動がオススメです。
いきなり、激しい運動をすることが難しい場合は、まずは家から出て公園で散歩することから始めましょう。
適度な運動は、動脈硬化や呼吸器機能の改善、血管疾患のリスクの低下などの効果があります。
特に、身体を動かしながら何かを考えることが認知症予防に大変良いとされているので、取り入れてみてください。
また、認知症予防のために開発されたコグニサイズという運動もあります。
運動の例
・一日の出来事を思い出しながら散歩をする
・ラジオ体操
・水中ウォーキング
・ヨガ
4.脳トレ編
脳を刺激する知的な活動をしましょう。
脳トレは、脳がエネルギーを使い血液の流れが良くなるため、認知症予防に効果があると言われています。
認知機能が低下する原因の一つに、脳の血液量が低下し、必要な酸素や栄養が脳に行き届かなくなるのがあげられます。
そのため、脳トレを行うことで脳に酸素や栄養が行き渡り、認知機能の低下を防げるのです。
脳トレは、楽しみながらやることでより効果があります。
義務感でやるとストレスを感じてしまい、血流が乱れ逆効果です。
また、コミュニケーションをとりながらやりましょう。
多様な方法がありますが、大きく3種類に分けて紹介します。
4-1. 体を動かす
実際に体を動かして行う脳トレです。
運動機能の維持や、筋力効果が期待できます。
人数や広い場所が必要であり、デイサービスで行われることが多いです。
具体例としては、以下が挙げられます。
・風船でバスケット
・ペットボトルを使用したボーリング
・お手玉
・ラジオ体操
・フルーツバスケット
4-2. 頭の体操
頭を使って行う脳トレです。
人は問題が解決した時に、脳が刺激され活性化されます。
身体の自由がきかなくても、実践できる脳トレです。
具体例としては、以下が挙げられます。
・しりとり
・なぞかけ
・回文
・連想クイズ
・漢字読みクイズ
4-3. 手先を動かす
実際に何かを作り出す脳トレです。
頭で考え、指先を動かすことで脳に刺激が与えられます。
具体例としては、以下が挙げられます。
・塗り絵
・手芸
・折り紙
さらに詳しい脳トレの方法はこちらをご覧ください。
https://carers-navi.com/training
5.その他の予防法
5-1. 居場所を見つけること
他者との社会的交流で、他の人に対して気を使ったり、頭を使うことが神経細胞ネットワークを強化できると考えられます。
自分の居場所となるコミュニティや趣味を見つけましょう。
また、家族がが親の趣味や交友関係を把握しておくことは、居場所を見つけるためにも大変重要です。
5-2.話をすること
コミュニケーションを取るようにしましょう。
脳は怠け者で、使わない機能は衰えていきます。
身近に話し相手がいない場合は、一日に10分程度で良いので、テレビ電話などで家族と話しましょう。
5-3.昼寝をする
日中に20分ほど昼寝をしましょう。
睡眠不足は、脳内に有害なタンパク質がたまることを促します。
この時、20分以上寝てしまうと、深い睡眠に入ってしまいます。
夜に寝るタイミングで眠ることができなくなる可能性があるのでご注意ください。
6.まとめ
認知症は予防や発症を遅らせることが可能であり、生活習慣の見直しが必要です。
特に、食事と運動が重要です。
生活をすぐに大幅に変更することが難しいので、家から出て公園で散歩する、飲酒、喫煙の量を減らす、家族とTV電話をする、などから行うとよいです。
まずは、できることから少しずつ始めて行きましょう。