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川の氾濫にご注意ください

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昼ごはんを食べていると、雨が止んで少し日も差してきた。変な天気ね、と言いながら、母が、川沿いを歩くのは気をつけなくちゃね、と言いだした。人吉の集中豪雨のことが念頭にあったのだろう。「H川もむかしはしょっちゅう水が溢れていたんだから」と言った。H川というのは、テレワークになってからわたしが毎朝散歩するようになった町の西のはずれの川のことである。

実は、H川沿いの水田地帯には、母の両親の実家が隣り合って建っている。むかしのことではあり、隣の家に嫁にやられるのは日常茶飯事だったようで、祖母の姉は実家のそばの寺の隣、妹は川向こうの竹やぶの家に嫁がされたのだという。なので川が氾濫する話は、小さい頃から何度も聞かされていたが、わたしが中学生の頃、治水工事が行われ、それ以後、氾濫の話は聞かなくなった。

昨年の台風の時、多摩川などと共に、H川の映像がTVのニュースに出た時は、だからずいぶん驚いたが、氾濫したというのではなくて、氾濫危険水位に達したというものだった。ぎりぎりセーフだったのである。

むかし母から繰り返し聞かされていたのは、わたしが歩いているところよりはだいぶ下流の「おおまがり」と呼ばれる大きく蛇行している部分で、散歩とはあまり関係がなかったが、昨年のニュースに映った映像は、今毎日歩いている橋そのものだったので、記憶に残っていた。H川がTVに映るときはたいていはるか下流の河口部分だったからである。近くに海水浴場があるのだ。

いずれにしても、増水の危険があるときに川に近付くつもりはなかった。母は覚えているかどうか知らないが、わたしの中学の同じ学年の生徒が、このH川で水死しているのである。別に洪水というわけではなかったものの、降り続いた雨で川の水がかなり増水していたときだったと思う。自殺ではないかとも言われたが、真相はわからずじまいだった。

川で人が亡くなるのは、日常茶飯事というわけではないが、どこの川にもかならずある話で、心配し始めればきりがない。それより個人的には、テレワーク太りのほうがよほど大問題のような気もするのだが。

※こちらの記事は、2020年7月20日にながさごだいすけ氏によって、note上にて公開されたエッセイになります。

https://note.com/carenavi/n/n4a01cefd2ea9

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