「統合失調症って何?」
「統合失調症になってしまったら、施設を利用できる?」
こうした疑問を抱えていませんか?
統合失調症は、妄想や幻覚などの症状があり、程度によっては入居できる介護施設が限られることもあります。
早めに情報を集めることでいざという時に慌てることなく、ご本人もご家族も豊かな生活にしていきましょう。
この記事では、統合失調症の症状や原因、治療、介護施設まで詳しく紹介します。
目次
1.統合失調症とその原因
統合失調症とは、脳機能のバランスが崩れ、情報を統合する能力が低下している精神疾患の一つです。
感情や思考を繋ぐ脳内のネットワークがうまく機能しないことによって起こります。
統合失調症とは、認知症とは異なります。
認知症は、脳が萎縮して色々な障害が起こるものです。
統合失調症の原因には大きなストレスや遺伝が関係していると言われていますが、はっきりと判明していないのが現状です。
2.症状
2-1. 陽性症状
陽性症状とは、健康だった時にはなかった状態が現れることをいいます。
例えば、幻覚や妄想、幻聴、混乱、奇妙な行動、興奮などです。
妄想は誤った内容を信じてしまい、周りの意見を受け入れられない考えのことです。
妄想の中には、ニュースで自分に関する情報を流していると思い込む関係妄想などもあります。
幻覚や妄想は本人にとっては現実の事として感じられます。
そのため、その症状が病気に起因しているという自覚が難しい場合が多いです。
2-2. 陰性症状
陰性症状とは、健康だった時にあったものが失われることをいいます。
例えば、意欲や思考力の低下、感情表現の減少が挙げられます。
具体的には、以前と比較して返答に時間がかかったり、物事への関心が低下したりが挙げられますす。
また、一人でいる時間が増えたり、話がまとまらず支離滅裂になったりすることもあります。
2-3. 認知機能障害
認知機能障害とは、文字通り、物事を認知する機能が低下することをいいます。
具体的には、集中力や注意力が低下することなどが挙げられます。
また、記憶力が低下することにより、日常生活における問題解決能力が低下することも症状の一つです。
3.治療
3-1. 薬物療法
薬を用いる治療方法では抗精神病薬の使用が一般的です。
抗精神病薬は幻覚や妄想などの陽性症状に効果があります。
場合によっては、気分安定薬や睡眠薬等も補助的に用いられます。
しばらく症状が安定していても自己判断で薬の服用をやめてしまうと、再発の恐れがあり危険です。
薬をいつまで使うか聞きたい時や、副作用がひどい時などは、自己判断せず医師に相談するようにしましょう。
3-2. 心理社会的治療
心理社会的治療とは、リハビリテーションや精神療法を組み合わせて、社会生活を送るのに必要な機能を回復させる治療方法を指します。
具体的には、集中力や持続力を回復させる作業療法や、病気についての知識を深める心理教育などがあります。
4.統合失調症の方に必要なケア
統合失調症の方に必要なケアは、孤独感や不安を理解して、ご本人に寄り添うケアです。
統合失調症では、妄想や幻覚が現れます。
そしてその妄想は、ご家族や友人など身近な方が対象になることが多いです。
身近な方からすると、困惑することも多々あるでしょう。
しかし、妄想や幻覚の原因や真実を追求するのではなく、ご本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
5.統合失調症と介護施設
5-1. 統合失調症の方の受け入れ体制
統合失調症は、妄想や幻覚などの陽性症状により、施設の同居者にも影響が及びます。
そのため、統合失調症の経過や、介護施設の特徴によっては受け入れができないこともあります。
ある程度社会的に自立しており、他の同居者の方ともコミュニケーションを取れる場合は、入居が可能な施設もあります。
5-2. 統合失調症の方に適した施設
統合失調症の方に適した介護施設は、医療機関と提携しているところや、統合失調症の方の受け入れ実績がある施設です。
医療機関と提携していることで、いつでも相談できるという安心感につながります。
また、統合失調症の方の受け入れ実績があれば、入所の申し込みも通りやすいです。
5-3. 統合失調症の方が施設を利用するメリット
5-3-1. 専門的なケア
医療機関と提携している施設であれば専門的なケアを受けられます。
また、統合失調症の方の受け入れ実績がある施設であれば、スタッフが陽性症状等への対応に慣れていることも多く安心です。
5-3-2. 家族の負担軽減
介護施設を利用することで、家族の負担軽減に繋がります。
たとえ親であっても、介護をするのは精神・肉体的にも負担が大きいです。
特に、統合失調症の場合は肉体的な介護だけでなく、意思疎通の観点からも負担が大きくなってしまうことも多いです。
介護施設を利用することで、負担軽減となるだけではなく、介護の相談などもしやすくなります。
6.まとめ
まとめると、統合失調症とは情報を統合する能力が低下している精神疾患の一つです。
妄想や幻覚などの陽性症状や認知機能障害などが見られます。
特に陽性症状は、ご本人からすると実際に起こっていることのように感じています。
ですからご家族は、妄想などの真実を突き止めようとご本人に訴えるのではなく、ご本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
ただし、寄り添うことにも限界があります。
ご家族の負担が大きくなりすぎないよう、施設の利用も検討しましょう。
介護施設を検討している場合には、精神障害の方の受け入れ実績があったり医療機関と提携していたりする施設がおすすめです。