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老人性うつとは|高齢者のうつ病は、認知症と間違われる?

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認知症のうつ症状ととうつ病の違いって??

定年退職した父の元気が全くない。

老人性うつってどんな病気??

このような悩みや疑問を抱えているのではないでしょうか?

65歳以上の高齢者がかかるうつ病を総称して「老人性うつ」と呼ばれています。

高齢者のうつ病は、認知症と間違われることが多いため、周りがなかなか気付けず、知らないうちに症状が進行してしまうことがあります。

認知症とは違い、老人性うつは早期に正しく治療をすれば治る病気です。

そのため、周りの家族が正しい知識を持ち、早い段階で適切な対応を取ることが求められます。

適切な対応を取るにはどんな知識が必要なのでしょうか?

1.「老人性うつ」とは?

老人性うつとは、正式な名前ではありませんが、65歳以上の高齢者がかかるうつ病を総称して呼ばれています。

老人性うつは、認知症の初期段階の症状と大変似ており診断が難しいです。

認知症は治療が難しいですが、老人性うつは早期に正しく治療をすれば治る病気です。

様子がおかしいと思ったら、認知症と決めつけず、老人性うつの可能性も同時に疑ってみましょう。

1-1.原因

老人性うつは、大きく環境的要因と心理的要因の2つの要因によって引き起こされます。

環境的要因では、「定年退職してやることがなくなった」「子どもが独立した」「引っ越しをした」など環境の変化が原因となります。
また、心理的要因では、「配偶者が亡くなった」「重い病気にかかった」「長年かっていたペットが亡くなった」など心理面での原因があります。

1-2.症状

うつ病は、気分が落ち込む、注意力が散漫になる、物事への興味や幸福を感じない、やる気が出ない、食欲が落ちる、眠れないなどの症状が出ます。

そのような症状に加えて、老人性うつの場合は、「頭痛やめまい」「肩こり」「吐き気」「耳鳴り」「しびれ」などの身体的な不調が現れます。

また、記憶力がや判断能力が低下するなどの症状も現れるため、認知症ととても間違われやすいです。

上記の症状をそのまま放置していると、病状はどんどん悪化していき、最悪の場合自殺に至るケースもあるため、早期に医師の治療を受ける必要があります。

2.老人性うつと認知症の6つの違い

うつ状態はあらゆる認知症で見られる症状です。

しかし、認知症と老人性うつは違います。

早い段階で適切な処置をするためには、認知症との違いの把握が必要です。

老人性うつと認知症の違いについて解説します。

2-1.症状の進行速度

認知症は徐々に進行するのに対して、老人性うつは比較的短い期間に複数の症状が現れます。

特に環境の変化など何かのきっかけがあり、短い期間に複数の症状が現れるため、家族や周りの人が気づきやすい特徴があります。

2-2.自責の念の有無

老人性うつの場合は抗うつ気分がより強く、自分が周りの人に迷惑をかけてしまっているという自責の念が強くなります。

その結果、物事に対して悲観的になったり、最悪の場合には死にたいと思うこともあり注意が必要です。

一方で認知症の場合は、一般的に自責の念というようなものはありません。

2-3.本人の自覚の有無

認知症では、初期段階でこそ自分の認知機能の低下を不安に感じることがあります。

しかし、症状が進行すると自分の症状に無関心になることが多いです。

一方で老人性うつの場合、その前後で自覚できるため、自分の症状が悪化していないか気にするようになります。

2-4.記憶障害(物忘れ)の有無

記憶障害は、老人性うつと認知症の両方にみられますが、症状の現れ方に違いがあります。

老人性うつは、環境の変化などのきっかけを機に突然数日前の出来事を忘れてしまいます。

また、忘れてしまったことを自覚しているため、心配や不安を感じることが多いです。

一方認知症は、軽度の記憶障害から始まって、徐々に進行していきます。

そして、記憶障害があるという自覚もなく、心配や不安を感じることはあまりありません。

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2-5.質問に対する受け答え方の違い

質問に対する受け答えにも違いがあります。

認知症の場合は、見当はずれの回答をしてしまいます。

同じ質問を老人性うつの人にすると、考え込んでしまい回答がはっきりとできない場合が多いです。

2-6.大きなライフイベントやきっかけの有無

高齢になってからのうつ病は、定年退職や配偶者との別れなど大きなライフイベントがきっかけになることが多いです。

きっかけに心当たりがある場合は、うつ病の可能性が高まります。

3.老人性うつの治療方法

医療機関を受診の上、老人性うつと診断された場合、一般的なうつ病と同じく3つの治療法があります。

3-1.薬物療法

一般的なうつ病と同じように、抗うつ剤などを使用するのが基本です。

うつ状態の方は、「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれる脳内の神経伝達物質の働きの低下が影響しているといわれています。

そのため、その物質の働きを促す薬を処方されます。

しかし、薬によっては、血圧をあげてしまったり、尿が出にくくなるなどの副作用もあるため注意が必要です。

3-2.環境の改善

老人性うつの原因の一つに環境的要因があります。

これは、活力を取り戻せるような環境を整えたり、家族と定期的に会えるようにするなどが効果的です。

また、進行に応じて施設への入居も検討しましょう。

ゆっくり休んでもらいつつも、心身に適度な刺激を与えられることが重要です。

3-3.精神療法

「頑張れ」などの励ましは、病気を悪化させることもあるため避けましょう。

接し方については、症状や原因、その人の性格によって一概には言えないため、専門家に相談しましょう。

症状が回復してきたら、社会との接点を徐々に増やし刺激を与えていくとよいです。

症状にもよりますが、デイサービスなどを利用するとよいでしょう。

4.うつ病と併発の可能性も

ごくまれに、認知症とうつ病を併発しているケースもあります。

この場合、うつ病が認知症の症状に拍車をかけたり、その逆も起こりうります。

また、うつ病が原因で、認知症のような症状を発症する「仮性認知症」と呼ばれる状態もあります。

いずれにせよ、医師による診断が必要ですので、兆候がある場合は専門機関を受診しましょう。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

高齢者のうつ病は、認知症と間違われることが多いため、周りがなかなか気付けず、知らないうちに症状が進行してしまうことがあります。

認知症とは違い、老人性うつは早期に正しく治療をすれば治る病気です。

老人性うつと認知症の6つの違いを理解することが大切です。

日々の行動や様子を観察して、しっかりと医師に伝えることで診断もより正確になります。

いつもと様子が異なるときはなるべく早くかかりつけの医師に相談しましょう。

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