脊椎圧迫骨折とは、背骨に上下からの力が加わって起こる骨折です。
通常は、高所からの転落などによって生じる骨折です。
しかし、骨が年齢とともにもろくなっている場合、尻もちをついただけでも骨折してしまいます。
寝返りの時に背中が痛んだり、背中が曲がってくると感じたら、脊椎圧迫骨折を疑いましょう。
この記事では、脊椎圧迫骨折の原因や症状、予防法などについて解説します。
目次
1.脊椎圧迫骨折の原因と症状
1-1.脊椎圧迫骨折の原因
脊椎圧迫骨折の主な原因は、骨粗しょう症です。
骨粗しょう症とは、骨の強度が弱くなり骨折しやすい状態をいいます。
性別をみると、骨粗しょう症の患者は女性980万人、男性300万人で、女性の方が圧倒的に多くなっています。年代別では女性で40代、男性は50代から増えはじめ、年齢とともに増えていきます。
参照:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
骨粗しょう症になると、くしゃみや咳などのわずかな衝撃や、少し躓いて転倒しただけで骨折し、最悪の場合には寝たきりになってしまうこともあります。
その中でも、衝撃によって脊椎がつぶれてしまうことで脊椎圧迫骨折になってしまいます。
1-2.脊椎圧迫骨折の症状
脊椎圧迫骨折の主な症状は、腰の痛みです。
症状が悪化すると、下肢の痛みや痺れ、麻痺などヘルニアに似た症状を発することもあります。
一方で、人によっては、全く骨折をしても痛みを感じない方もいらっしゃいます。
そのような場合には、脊椎の他の部分も骨折してしまうリスクがあり、早めの治療が必要です。
2.脊椎圧迫骨折の治療
脊椎圧迫骨折の主な治療は、保存療法と手術療法の2つです。
2-1.保存療法
保存療法は、ベッドの上で安静にしたり、コルセットやギブスを装着したりして安静に過ごす療法です。
個人差はありますが、1ヵ月~数ヵ月ほどでの保存療法で症状の軽減につながるとされています。
しかし、長期間ベットで治療してしまうと、寝たきりになってしまうリスクもあるため、治療方針は慎重に検討しましょう。
2-2.手術療法
保存療法で治らない場合に、手術療法が行われます。
手術療法では、固定術と呼ばれる背中を切開して骨を固定する手術と、骨折部分に骨セメントを充填して、安定化を図る椎体形成術の2種類のいずれかを行います。
3.脊椎圧迫骨折の予防法
3-1.骨密度を低下させない食事
骨の形成に関係する栄養素を摂りましょう。
骨密度の低下を防ぐ主な栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKになります。
3-1-1.カルシウム
カルシウムは、骨を作る重要な栄養素です。
75歳以上の方のカルシウム摂取量は、男性700mg、女性600mgが推奨されています。
【カルシウムを多く含む食品】
牛乳、チーズ、いわし、さんま、大豆、緑黄色野菜 など
3-1-2.ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける栄養素です。
主に魚介類に多く含まれます。
また、食事を取らなくても、日光に当たることで皮膚からビタミンDは作られます。
そのため、散歩などで日光を浴びることも大切です。
【ビタミンDを多く含む食品】
鮭、うなぎ、さんま、まぐろ、しいたけ、きくらげ、しめじ など
3-1-3.ビタミンK
ビタミンKは、カルシウムの吸収を助け丈夫な骨づくりに関わる栄養素です。
油に溶けやすい性質を持っているため、油を使用した料理で吸収が促進されます。
【ビタミンKを多く含む食品】
納豆、油揚げ、卵、ほうれん草、アスパラガス など
3-2.転倒防止のための運動
転倒予防に有効な筋肉である、お尻と太もも(前後)、ふくらはぎのトレーニングも大切です。
また、下半身だけでなく、上半身も鍛えることで体のバランスが安定します。
ここでは、家にあるもので簡単にできる体操を2つ紹介します。
ぜひ実践してみてください。
3-2-1.柔軟性をアップするタオル体操
タオル体操は、筋肉の萎縮を予防し柔軟性がアップする効果があります。
タオルの端を両手で持ち、横向きに振ったり、縦向きに振ったりしましょう。
3-2–2.新聞紙体操で指先の運動
新聞紙をちぎることで、指先や握力の機能訓練ができる体操です。
新聞紙を用意し、複数人で行います。
ひとり一枚の新聞紙を、制限時間内に何分割にできるか競いましょう。
この時、「両手で」「片手で」「親指と人差し指で」のように制限することで身体の多様な場所を動かせます。
制限時間は、1分から2分程度が目安です。
3-3.住居環境の整備
転倒を防ぐために、住居環境の整備も欠かせません。
階段や廊下、トイレ、浴室などに手すりの取り付けや玄関や浴室などの段差や傾斜を解消、滑りの防止のため床の張替などが必要になります。
ご自宅の中でどこに問題があるか確認しましょう。
また、介護保険の制度には在宅介護に必要な住宅改修費が含まれています。
これは、介護のための住宅改修を支援する仕組みです。
住宅改修を行う場合、工事費用の7~9割が支給されます。(上限20万円まで)
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
脊椎圧迫骨折とは、背骨に上下からの力が加わって起こる骨折です。
骨粗しょう症が主な原因となるため、骨粗しょう症の予防に努めましょう。
万が一、寝返り時の背中の痛みや転倒後の背中の痛みを感じている場合は、かかりつけ医に相談してください。
痛みが少ない場合でも骨折している可能性は十分にあります。