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要介護4とは、日常生活の様々な行為に全介助が必要な状態。要介護4でかかる費用・流れを解説

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1.要介護4とは日常生活の様々な行為に全介助が必要な状態

要介護4の状態像の目安とは日常生活の様々な行為に全介助が必要な状態を言います。

要介護4は5段階中の4段階目なので、重度の介護が必要な状態です。

要支援1 日常生活の能力は基本的にあるが、要介護状態とならないように一部支援が必要
要支援2 立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで一部介助が必要だが、身体の状態の維持または改善の可能性手がある
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで一部介助が必要
要介護2 起き上がりが自力では困難。排泄、入浴などで一部または全介助が必要
要介護3 起き上がり、寝返りが自力ではできない。排泄、入浴、衣服の着脱など全介助が必要
要介護4 日常生活の低下が見られ、排泄、入浴、衣服の着脱など多くの行為で全介助が必要
要介護5 介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態。意思伝達も困難

要介護4の状態像の目安は、「食事、排泄、入浴といった日常生活全般においての介助が必要である」状態です。

これは要介護3とほぼ同様ですが、よりADL(日常生活動作)の低下がみられるケースが多く、意思疎通が難しかったり、日常生活に支障をきたす問題行為を頻繁に起こしたりしていることもあります。

要介護4になると、家族だけの在宅介護では負担が大きく、限界を感じ始める事が多くなり、施設入所の検討を始めるケースも出てきます。

要介護4では以下のような状態が見受けられるようになります。

・見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。

・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。

・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。

・排泄が自分ひとりでできない。

・いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

2.要介護4のお金事情

2-1.要介護4と公的介護保険

まず、介護費用は、公的介護保険によって一定額賄うことができます。

介護保険は要介護度によって異なります。

区分 認定区分 区分支給限度額(1単位=10円の場合) 自己負担額(1割)
予防給付

(予防サービス)

要支援1 50,030円 5,003円
要支援2 104,730円 10,473円
介護給付

(介護サービス)

要介護1 166,920円 16,692円
要介護2 196,160円 19,616円
要介護3 269,310円 26,931円
要介護4 308,060円 30,806円
要介護5 360,650円 36,065円

*福祉用具購入費、住宅改修費はそれぞれ限度額がもうけられており、上記の支給限度額に含まれない

 福祉用具購入費:1年間10万円(自己負担1万円または2万円、3万円)

 住宅改修費:同一住宅20万円まで(自己負担2万円または4万円、6万円)

要介護認定を受けた場合、介護サービスを受ける際に国が提供する公的介護保険を利用できます。

介護サービスを利用した時の事業者への支払いは、原則として利用料の1割または2割、3割と決められています。(自己負担の割合は所得によって決まる)

介護保険で利用できる限度額、利用料は要介護度によって違いがでます。

その中でも要介護5と認定された方は他の介護状態よりも区分支給限度額が高く、自己負担額も多く利用することができます。

介護保険を使うことによって介護費用をある程度賄うことができます。

2-2.在宅で介護をする場合

公益財団法人家計経済研究所が実施した2016年度「在宅介護にかかる費用」によると要介護4の方の在宅介護にかかる費用は月々5.9万円であることが分かっています。

この費用に、食費、光熱費、生活費、医療費などを含むと費用はおおよそ月々11.5万円程です。

また、その他にも家の中に手すりをつけたり、段差を無くしたりする施策を施すために、住宅改修費も必要になります。

しかし、1章で解説したように要介護4では、介護施設への入居を推奨されるのが一般的です。

次章では介護施設での費用を解説していきます。

2-3.施設で介護をする場合

ここから介護施設を利用した場合の費用を解説していきます。

介護施設の費用は、特養老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームでの費用の3つを解説していきます。

    介護付有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム・

サ高住

グループホーム
支出 月額費用

(家賃・管理費など)

106,000円 70,000円 80,000円
生活費

(食費・水道光熱費など)

105,000円 75,000円 54,000円
介護サービス費

(自己負担1割の場合)

21,960円 35,208円 24,660円
医療費 5,270円 5,270円 5,270円
介護用品購入費

(おむつ・介護食等)

17,997円 17,997円 17,997円
その他

(妻の生活費など)

90,000円 90,000円 90,000円
支出合計 346,227円 293,475円 271,927円

要介護3から入居することができる特養老人ホームは、入居する際の一時金はかかりません。

また、他の介護施設よりも割安でサービスも充実しているため、待機者もでるなど、非常に人気の施設です。

有料老人ホームがホテルのような雰囲気であるのに対して、グループホームは家庭的な雰囲気でやや小規模な施設になるので、価格がやや安い結果になっています。

3.要介護認定に納得できないときの2つのパターンを紹介

要介護認定に納得できない場合には申し立てる2つの方法があります。

3-1.介護保険審査会に不服申し立てをする

要介護認定の結果に納得がいかない場合、都道府県の介護保険審査会に対して、申立を行うことができます。

審査請求では、区市町村が行った行政処分の取り消しを求められます。

介護保険審査会は、処分に違法または不当な点が無いかを審査し、審査請求に理由があると認めた時は、裁決により処分の全部または一部を取り消し、区市町村が改めて処分をやり直すことになります。

・審査請求の方法

審査請求書を作成し提出することにより行います。

4つの必要書類(東京都の場合)

(1)審査請求書  2通 (2通ともに押印すること) 

(2)委任状 (代理人が審査請求をする場合のみ提出)1通

(3)審査請求に関する処分通知の写し  2通

(4)その他添付資料 2通

東京都福祉保健局

3-2.区分変更を申請する

区分変更は認定後に心身の状態が変わった場合に、次の更新(次の更新までの期間は3〜36ヶ月ほど)を待たずに認定調査する方法です。

流れとしては、区分変更の申請をすることで、再度認定調査を受け、主治医に意見書を発行してもらい、介護審査会を通して新たな要介護度が決定するというものです。

区分変更をしたい場合は、担当のケアマネージャーか地域包括支援センターに相談するようにしましょう。

ただし「区分変更」は、本来あくまで「状態変化があった場合」に利用する制度です。

認定結果に不服があるからといって、必ず区分変更申請を受け付けしてもらえるものではありません。

また、「不服申し立て」であれ「区分変更」であれ、必ずしも希望する要介護認定がおりるというものではなく、あくまでも”認定結果”と”実際の状態”に「ズレ」がある場合において救済措置となる可能性がある手段も用意されている、と理解しておきましょう。

4.まとめ

いかがだったでしょうか?

要介護4とは「日常生活の様々な行為に全介助が必要な状態」のことです。

自力での介護だけでは、なかなか負担が大きくなります。上手に介護保険を使い、介護サービスを使うようにしましょう。

介護認定に不満があっても不服を申し立てることによって、介護認定が変わる場合もあります。第4章を参考にしてみてください。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

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