市民後見人とはどんな制度?
市民後見人になるためには何をすればいい?
市民後見人の報酬はいくら?
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
市民後見人とは、市区町村等が実施する養成研修を受講するなどして成年後見人等とし
て必要な知識を得た一般市民の中から、家庭裁判所が成年後見人等として選任した方です。
この記事では、市民後見人になるための方法や活動内容、課題について解説します。
目次
1.市民後見人とは
市民後見人とは、市区町村等が実施する養成研修を受講するなどして成年後見人等とし
て必要な知識を得た一般市民の中から、家庭裁判所が成年後見人等として選任した方です。
最高裁判所の定義では、『弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士、行政書士、精神保健福祉士及び社会保険労務士以外の自然人のうち、本人と親族関係(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)及び交友関係がなく、社会貢献のため、地方自治体等が行う後見人養成講座などにより成年後見制度に関する一定の知識や技術・態度を身に付けた上、他人の成年後見人等になることを希望している者』となっています。
市民後見人は、被後見人と同じ地域に住む市民としての目線で、地域に密着した活動が期待されています。
1-1.成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症により判断能力が低下した人や、知的障害により適切な財産保護がでできない方をサポートする制度です。
第三者や親類がその財産を管理することにより、不当な契約から財産を守る目的で用いられます。
一般的には、財産を守る人を「後見人」、守られる人を「被後見人」と呼びます。
1-1-1. 法定後見のメリット
法定後見のメリットは5つあります。
①家庭裁判所において、適切と認められた人だけが成年後見人に選任されます。逆に言えば、適切だと認められない人は成年後見人にはならないため安心です。
②被後見人の判断能力がなくても、必要な手続きが可能です。
③被後見人の財産管理を適切に行えます。
④相続が発生した際にも財産把握が容易です。
⑤公的な地位の証明になります。契約内容が公的書類に登記されるためです。
1-1-2. 法定後見のデメリット
法定後見のデメリットも3つ押さえておきましょう。
①手続きに最低でも半年の時間が必要です。
②高額な費用がかかります。
③被後見人が選挙権を失います。
2.市民後見人の活動内容
市民後見人は、成年後見人などが行う後見活動と同様に、被後見人の意思を尊重しながら福祉サービスの利用契約や資産の管理などを行います。
ただし、不動産売却や遺産分割協議への参加など、高度な財産管理の担当は担えません。
活動内容は、以下のような内容になります。
活動例
〇被後見人の生活費を出入金する
〇被後見人の健康観察
〇福祉サービスの利用契約や変更
〇家庭裁判所へ報告するための書類作成
参考:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/n7j/seinenkouken/shiminkouken.html
3.市民後見人になるには
まず、お住まいの地域で行われている基礎研修や実践研修を受講し、社会福祉協議会が行う法人後見事業のサポーター活動などを行い経験を積みます。
一定の知識と経験を積むことで、市民後見人候補者名簿に登載されます。
その後、案件に応じて市町村から成年後見人等として推薦され、家庭裁判所から選任されることで市民後見人となります。
※地域によっては、市民後見人の養成を行っていない場合もあります。
参考:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/n7j/seinenkouken/shiminkouken.html
4.市民後見人の現状
平成26年度時点で市民後見推進事業を実施している市区町は、158市区町(36都道府県)です。
しかし、利用状況としては、平成28年の時点で264人、全体の1%にも満たない件数となっています。
5.市民後見人はボランティア?
市民後見人は、ボランティアとして報酬を受け取れないのでしょうか?
市民後見人の報酬は家庭裁判所によって異なります。
ボランティアとして無償の場合もあれば、報酬を受け取る場合もあります。
報酬の相場としては、専門職後見人の報酬を下回る場合が多いです。
このように報酬額が明確に定まっていないことも、制度が広まらない要因の1つとなっているかもしれません。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
市民後見人について解説しました。
市民後見人とは、市区町村等が実施する養成研修を受講するなどして成年後見人等とし
て必要な知識を得た一般市民の中から、家庭裁判所が成年後見人等として選任した方です。
市民後見人は、被後見人と同じ地域に住む市民としての目線で、地域に密着した活動が期待されています。
ぜひ興味のある方はお住まいの担当課へお問い合わせください。