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認知症の症状のひとつである「帰宅願望」とは?効果的な対処法を解説

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介護している中で理解が難しい症状はいくつもありますが、その中でも対処が難しいこととして挙げられるのが”帰宅願望”です。

認知症患者に関わらず他人の考えていることを完璧に理解することは難しいですが、介護現場においては特に要介護者の気持ちに寄り添って帰宅したいという気持ちを感じ取ることが大切になります。

とはいえ、そもそもどのような症状なのか、どのように対処すればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、帰宅願望について症状の詳細や正しい対処法について詳しく解説していきます。

帰宅願望とは?

帰宅願望は認知症の症状のひとつとして挙げられ、「帰りたい」と何度も言うようになったり、ときには実際に外へ出てどこかに帰ろうと行動することを指します。

その名の通り”帰りたい”という意志の現れなのですが、老人ホームに入居している場合はもちろん、自宅で介護を受けている場合に関しても「帰りたい」と言うこともあります。

また、帰宅先が自宅の場合ももちろんあるのですが、生まれ育った故郷の場合もあれば、親しい親戚の家の場合もあるため、かならずしも家に帰りたい気持ちがあるという訳ではありません。

このような症状は認知症の初期症状ではなく進行がある程度進んだ段階で現れる症状として知られており、環境への不適応が主な原因として挙げられているものの、なぜ帰りたくなってしまうのかは本人にしか分からないことなのです。

帰宅願望を緩和することは可能なのか?

結論から申し上げますと、帰宅願望を緩和することは可能です。

認知症介護情報ネットワークの「帰宅願望場面における認知症ケアの考え方 」では、最終目標を「不安や焦りの緩和」と「帰宅要求の頻度を減らして表情が和らぐこと」の2つとしています。

認知症の症状が進行して、自分がどこにいるのか分からない、周囲の人が誰なのか分からないなどと思い込んでしまうと、急に自分のいる環境が居心地が悪いと感じます。

そのような感情は、帰りたいという気持ちにつながるため、まずは不安や焦りを緩和して今いる環境でも穏やかに過ごせる対処する必要があります

帰宅願望への正しい対処法

帰宅願望への正しい対処法は下記の4つです。

・生活環境を整える

・発言を否定しない

・興味のあることを進めてみる

・行動を抑制しない

それぞれの対処法について詳しく解説していきます。

1.生活環境を整える

帰宅願望を訴えている方の多くは現状の環境に居心地の悪さを抱えているため、生活環境を整えることで症状が緩和することもあります。

例えば、複数人と同じ部屋で生活しているのであれば個室に移動するのもひとつの方法ですし、見える場所を部屋の中から窓の外に角度を変えてあげるだけでも落ち着いた環境を作ることができます。

このように、居心地が悪いと感じている現状の環境を少し変えてあげるだけでも居心地の良い環境に感じることも多いです。

2.発言を否定しない

帰宅願望に対して否定的な発言をしてしまうと、混乱を招いてしまいさらに不安や焦りを感じさせてしまうため、肯定的な声かけをすることが大切です。

例えば、「今から家に帰らなくちゃ」と言われた場合に「ここが家ですよ」「家には誰もいないよ」などと否定的な声かけをするのではなく、「今日はここに泊まるって言ってましたよ」のように、本人が納得するような声かけをすることで不安や焦りを感じさせなくなります。

3.興味のあることを進めてみる

今まで没頭していた趣味や興味のありそうなことを進めてみることで、帰りたいという気持ちが薄れることも多いです。

帰りたいと思っているときはネガティブな感情になっている場合がほとんどですので、ポジティブな会話をしてみてたり、今まで熱中していた趣味を再開してみるなど、少しでも気持ちが明るくなるように気持ちの焦点をずらしてあげるといいでしょう。

4.行動を抑制しない

帰宅願望への対応では、行動を抑制しないことが大切です。

例えば、「帰りたい」と発言した後にどこかに行こうと歩き出してしまったとしても、部屋に閉じ込めたり「行ってはいけない」と行動を制限するのではなく、どうして帰りたくなるのかの原因と会話をしながら知ることが根本的な解決につながります。

もちろん自宅や介護施設の外に歩いていってしまうと事故などの危険にも繋がるため、自由に行動させることは危険ですが、押さえつけるのはやめましょう。

まとめ

本記事では、帰宅願望について症状の詳細や正しい対処法について詳しく解説していきました。

安心できる場所に帰りたくなる気持ちは、悪いことではありません。

しかし、居心地の悪い場所に居続けるということは精神的にも肉体的にも辛いことですので、帰宅願望に対して正しい対処をすることが必要になります。

老人ホームなどに入居している場合は介護スタッフも対応してくれますが、自宅での介護の場合はご自身で対応する必要があるため、難しいと思ったらデイサービスやショートステイなどの介護サービスを利用して専門家に相談してみるのもいいでしょう。

 

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